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紗弥佳 さんの投稿された作品が53件見つかりました。

 
  • 角砂糖が溶けていくように ??

    少しあけてある窓の隙間から、風が入ってカーテンが気持ちよさそうに揺れている。昼間はまだ暑いときもあるけれども、夜は涼しくて入ってきた風に頬を撫でられると心地良い。そんな中、梨花とこうしてふたりで笑い合っていられる。ふたりともカフェに出かけるのが好きで、そこで他愛もない話をして、僕はカフェオレで、梨花はブラック。お店の中を漂うコーヒーの香ばしくて、なんだかゆったりと時間が流れていくように感じる香り
    紗弥佳 さん作 [373]
  • 角砂糖が溶けていくように ??

    梨花はどうしたら、笑顔を見せてくれるときみたいに幸せそうな寝顔を見せてくれるのだろう。今は笑っているけれど、さっきまで泣いていたみたいだ。涙のあとが目尻に少しついていて、瞼が少し腫れている。「でも淳は甘いの好きだもんね。」梨花はいたずらっぽくまた笑った。僕も同じように笑って返す。「それにしたって、これは甘過ぎ。」隣で笑っていてくれて、幸せそうに眠って欲しい。なんで眠れないのか訊いたことがあるから
    紗弥佳 さん作 [492]
  • 角砂糖が溶けていくように??

    眠れなくて困っている梨花のいるリビングに、水を飲みに行く振りをして入る。梨花は電気もつけないで、ソファに座ってコーヒーカップを見つめてぼーっとしている。キッチンの電気をつけて、コップに水を注ぎながらカウンター越しに梨花に話しかける。「眠れないの。」梨花は、背を向けたまま怠そうに「うん。」と返事をした。リビングの電気もつけて、水の入ったコップを持って梨花の隣に座る。コーヒーテーブルの上のコーヒーは
    紗弥佳 さん作 [419]
  • 角砂糖が溶けていくように ?

    目を覚ますと、梨花は隣に居なかった。キッチンでコーヒーを淹れて、ブラックで飲んでいるのだろう。不眠症のくせに。また、眠れなくて困っているに違いない。どうせ眠れないのなら、眠ろうとするために無理にベッドに入って目を閉じるよりも起きてぼーっとしている方が自然だと思う、なんて言っている。コーヒーを濃いめに淹れて、ブラックで何杯か飲んで飽きてくるとテーブルの上のシュガーポットからコーヒーシュガーをだして
    紗弥佳 さん作 [428]
  • 角砂糖が溶けていくように?

    本当は、誰かひとりだけを見ていたい。でも、誰も私だけを見ていてくれないと思っていた。私以外の人、こと、もの…。別のものを見て、別のことをしている間に少しでも、片隅に私のことを残しておいて欲しかった。そんな風に思っていたあの頃。一人だけを見ていられなかったのは私の方だった。砂糖はもう、一杯のコーヒーに4つ入っている。あなたと出会う前の、私に会いに行く度にいってきますのつもりで落としていた角砂糖。眠
    紗弥佳 さん作 [474]
  • 角砂糖が溶けていくように?

    雨は相変わらず降り続いている。電子レンジのデジタル時計が青白く浮かび上がっている。真夜中。一人でソファーに腰掛けている。一人でコーヒーテービルとその上にちょこんと居座っているコーヒーカップとシュガーポットと向き合っている。シュガーポットの蓋を開ける。陶器がぶつかる涼しい音。もう一つ、砂糖を小さなトングでつまんでカップに落とす。砂糖が深い海に落ちていく石みたいに見える。冷めてしまっているコーヒーの
    紗弥佳 さん作 [523]
  • 角砂糖が溶けていくように?

    「梨花。」彼は吸っていた煙草を私の口元に運んでくれる。一本の煙草をシーツに包まれて交代に吸う。「梨花にはあと何回会えるんだろう。」「え?」彼が見せた最初で最後の悲しそうな顔。「俺が、こんな真夜中は無理でも、呼んだら来てくれる?」「行かれる限り行くよ。」たぶん、それは嘘じゃなかった。行かれる限り、行っただろう。「あと何回梨花とこうして一緒にいられるんだろうね。」私ははっきり答えられなかった。あと何
    紗弥佳 さん作 [425]
  • 角砂糖が溶けていくように?

    「どうしたの?」優しい声。優しい指。優しい腕。優しい手。もうだめだ。はじめから行き止まりなのは分かっている。でもこの行き止まりに今は居たい。指先でずっと涙を拭ってくれている。そして、唇が頬に触れる。涙を拭っていた指が唇に代わった。そして、頬に伝い続ける涙を拭いきらないうちに唇と重なった。私達はそのまま倒れ込んだ。優しい声。優しい指。優しい腕。優しい手。優しい唇。もうだめかもしれない。今、このとき
    紗弥佳 さん作 [389]
  • 角砂糖が溶けていくように?

    「また誰も居なかったんだね。」「うん。」「大丈夫、俺は今ここに居る。」背中に回された腕がさらにぎゅっと強くなる。それに安心して私も彼の背中に腕を回す。なぜか、その時泣いた。ありがとう、と言いたかったのに、言葉の代わりに涙が出てしまった。頭に手が置かれる。髪を優しくなでられる。どうしていいのか分からない。目の前には、確かに彼が居てくれている。でも、分かっている。彼が帰ってしまった後、虚しさに襲われ
    紗弥佳 さん作 [400]
  • 角砂糖が溶けていくように?

    図書館、新宿の紀伊國屋書店、高島屋の10階のパウダールーム、サザンテラスのスターバックス。いつも本を読んで、高いところから街を見下ろしてやり過ごしていた。その日も全く同じだった。ちょうど万策尽きて、授業は午前中だけだった、と言い訳が出来る時間帯になると外に出る。彼氏は友達と麻雀に行きたいと言っていたので、このあとの時間のつぶし方を考えながら。南口から目的もなくアルタのある東口方面に向かう。ちょっ
    紗弥佳 さん作 [411]
 
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