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大家さんの投稿された作品が38件見つかりました。
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迷子の部屋
僕の部屋には扉が無い。あるのは、真っ白な部屋に真っ白な机とベッドと小さな窓がひとつ。産まれてから10年、一度も外に出たことがない。学校にも行けないから、字なんて読めない。でも、知ってる言葉が1つだけある。『ココカラダシテ』どういう意味をしているかは知らないが、僕が唯一発せられる言葉。だから、いつか窓の外にいる人が僕という存在に気づいてくれるよう。僕は今日も『ココカラダシテ』と窓に向かって言う。「コ
大家ヒロトさん作 [792] -
低空飛行
放課後の教室の隅。私が本を読んでいると、ふと頭に紙飛行機らしき物がこつんとあたった。すると、「氷野、ごめん。怪我無い?」とクラスメイトの彼は心配そうに近づいてきた。「別に……」と返すと、彼は少し戸惑って。「そのさ…俺、正直に言うと本当に、氷野の事心配してるんだ…………だから氷野も、もっと自分を大切に…正直にして欲しい…と思ってるから……痛かったら痛いって素直に言えよ?」私はすぐにはその言葉の意味を
大家ヒロトさん作 [561] -
勇者の説明書3
お母さん。『ユサ』は谷から落ちて、気がつくと知らない人の家のベッドにいました。「………ここは一体誰の家でしょう……困りました。落ちてからの記憶が全くありません」「あっ!やっと起きられましたね。赤ずきん様」そこには、黒の衣でおおわれた長身の青年がちょこんと座っていました。(……よかった。耳もシッポめない、どうやら同じ人間みたいですね)「貴方が私を助けてくれたのですか?」すると、青年はニコリと笑い。「
大家さん作 [481] -
勇者の説明書2
お母さん。今『ユサ』は人国を出発して、人国と獣国を結ぶ山道を歩いています。しかし、早くも問題が生じてしまいました。山と山を結ぶ橋が、今にも壊れそうな程腐っていたのです。「私とした事が……前もって偵察するべきでした………」(でも、獣国に行くには必然的にこの橋を通らねばならないんですよね)「はぁ………覚悟を決めましょう」私は、フード付きの紅色マントをきつく体に巻き付けると、腐りかけの橋に足を踏み入れま
大家さん作 [483] -
勇者の説明書
お母さん私。『ユサ』16歳は今日から立派な勇者になる為に旅立ちます。私達の大陸には【獣国】と【人国】があって、交遊関係が最悪です。その二つの内の一つ、【人国】に私は住んでいます。私の国では勇者はみんなからの憧れ的な職で、私は勇者見習いを卒業する為、最終試験を受けます。その最終試験の内容が《獣国に行き、人間とバレる事なく腰に下げた剣をある人に届ける》だそうな。えっ?簡単そう?そんな楽々とできたらみん
大家さん作 [485] -
青春カルテ6
「改めまして、保険医の黒坂 恵ことクロエだ」「…はじめまして、1年の白木 命です」クロエ先生は中村先生が書いたであろうカルテを確認していた。「ん。もう今日はいいよ」ぶかぶかの白衣で、少し乱れたベッドをさす。それにしても……つくづく自由な所だここは。「あの……」「なんだい?」先生は長い髪を揺らした。「クロエ先生は本当に先生なんですか?」「………どういう意味だ?」んー…、伝わりづらかったかぁ。「えっと
大家さん作 [551] -
青春カルテ5
「「誰だ。お前は?」」名も知らない、少女……いや幼女と表した方が合っているかもしれない、ぶかぶかの白衣を着て、サーターアンダギーを持っている幼女は俺の顔を見て「……何だい?その間抜けッ面は」「産まれて15年、ずっとこの顔ですが……ていうかあなたは?」すると、幼女は口にサーターアンダギーをほおりこみ、保健室の一番奥にある保険医の机の上にどすんと座った。「私は、『黒坂 恵』。皆からは『クロエ先生』など
大家さん作 [596] -
青春カルテ4
八王子先輩に何をしたらいいか聞くと。いらだった声で「寝てろ、害虫」とけなされた。ってな訳で、俺は今保健室のベッドでゴロゴロしている。ベッドはふかふかで快適だし。このまま1日過ごしていいかもなぁ。そう、まぶたを閉ざした瞬間。「たっだいまーーー!皆の衆!!」誰かが保健室に入ってきた。「ん?誰も居ないんかい?つまんないの」と言って次々にカーテンを開ける音がする。段々、その音は近づいてきてシャッついに、俺
大家さん作 [600] -
青春カルテ3
−次の日−ガラッ!「おはよぅござぃます…」人気のない保健室の扉を開ける。俺はまだ誰もいないだろうと思って、強く扉を開けると、もう先客が一人いた。「……誰だ。お前は?」先客の多分年上であろう男はイケメン?な顔立ちをしており眼鏡かけて、こちらを睨んでいた。ただし、歯磨きをしながら。「誰って……白木 命といいますが」名前を聞くと、男はああと納得し。「クロエ先生と中村が言っていた、引きこもりの青二才か」「
大家さん作 [566] -
青春カルテ2
中村先生は「代理の保険医」と言った。「…では……本当の保険医の方はどちらに…」初日から不在だなんて、タイミング悪すぎだ。事前に連絡していたはずなのに……。「んー…本人曰く、出張中…らしいよ?」そう、言い聞かされた後今日は帰りなと苦笑いで玄関まで送ってくれた。意外と紳士的な人だ。そして、本当の保険医にはいつ会えるだろうか……。俺、白木 命はそんな気持ちでいっぱいいっぱいだった。
大家さん作 [562]