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麻呂さんの投稿された作品が616件見つかりました。

 
  • チンゲンサイ。?

    俺がチンゲン菜を食えなくなった事には訳がある。あれは忘れもしない入社1年目の、忘年会の席での事。昔から、上司に媚びへつらう事が苦手だった俺にとって、こんな酷な行事は無かった。初めての忘年会という緊張もあってか、何とも辛いひとときだった。さすがに、俺の真横に座る上司の事は無視出来ず、俺はそいつに御酌をした。その時、そいつは言ったのだ。目の前のチンゲン菜の御浸しを見て。『お前は、チンゲン菜みたいな奴
    麻呂 さん作 [522]
  • チンゲンサイ。?

    その日の夕食は、俺の嫌いな、チンゲン菜の炒め物だった。『おい。ユキエ。俺がチンゲン菜が食えない事、知ってるだろ?!』妻は、少し苛立っていた俺の顔を、じろりと睨みつけた。『あら?!そうだったかしら?!嫌だったら食べないでください。後で片付けますから。』少し膨れっ面の妻の顔を、今度は俺が睨みつける。『まぁいい。今は、そんな事よりも、父さんからリョウとユウに話さなければならない事があるんだ。』テーブル
    麻呂 さん作 [462]
  • チンゲンサイ。?

    『君に何の相談も無しに、勝手に仕事を辞めた事については、悪いと思っているよ。俺も色々考えて、辞表を提出するタイミングをうかがっていたんだ。もしかしたら、君と夫婦でいられなくなるかも知れない。そんな、最悪の事態まで考えたよ。だが、そんな心配はいらなかったようだ。これでハッキリ分かったよ、君の気持ちが!!』恐らく、結婚してから初めてだった。妻と、こんな風に正面から向き合った事が。
    麻呂 さん作 [510]
  • チンゲンサイ。?

    『あなた、どうするつもりよ?!リョウとユウ。2人共、今年は受験生なのよ?!そもそもあなた、私に何も相談してくれなかったじゃない。1人で決断して、事後報告じゃ、納得出来ないわよ!!』今回ばかりは、さすがの妻も、感情的に俺を責める。次長と課長は、結局俺を説得出来ずに帰って行った。アイツらも、これで肩の荷が下りただろう。これで“引き留めた”と言う事実が成立した訳だ。パートのババァ共が、アイツら会社側に
    麻呂 さん作 [512]
  • チンゲンサイ。?

    妻は、いわゆる潔癖症である。性格もおとなしく、平和主義だ。俺の様な気弱なタイプの人間には、普通、キツい女房がつく傾向があるが、我が家に、その一般論は全く当てはまらなかった。早い話が似た者同士なのである。お互いに性格が似ている為、相手の行動パターンや考え方など、分かり過ぎる位分かってしまうのだ。他人から見れば仲が良く、夫婦円満に見えるのだろうが、実はそうではない。俺達は、常にお互いにけん制し合い、
    麻呂 さん作 [479]
  • チンゲンサイ。?

    * * * * * *俺が辞表を提出した次の日、次長ってヤツと課長ってヤツが、揃って俺の自宅へやって来たのだが、やはり、アイツは来なかった。ヤツにとって、俺が退社した事は、後々痛手となるはずだ。何故ならまた、ストレスのはけ口として利用する、新たなるターゲットを見つけなければならないであろうから。つくづく、ケツの穴の小さい男だと思った。彼らが自宅へやって来た時、ちょうど息子達2人も居合わせた。『リ
    麻呂 さん作 [480]
  • チンゲンサイ。?

    ――山田君。山田 太郎君。君は、現場の責任者だという自覚はあるの?!――――はぁ。自分は、認識不足でした。申し訳ありませんでした。――俺が係長という立場で、現場作業責任者としての仕事をする様になってからというもの、俺より3歳年上で、工場長という立場のその男は、毎日俺に説教じみた事を語りやがった。某有名大学出身だという事で、社長からの信望も厚いと自負している、何とも生理的に受け付けない相手であった
    麻呂 さん作 [482]
  • チンゲンサイ。?

    そもそも俺は、この会社のシステム開発課の課長をしていた。中小企業であり、そこそこ名の通った、食品製造会社であったが、人を捨駒の様にこき使うなどのマイナスイメージが、いつも先行して流れているといった具合だから、経営者は、益々変わり者だと言う事が想像出来るだろう。この変わり者の社長は、事あるごとに人事異動をさせるのだが、その頻度の多さから、単なる社長の気紛れだと言うのが、もっぱらの噂だった。かくいう
    麻呂 さん作 [545]
  • チンゲンサイ。

    一身上の都合により――今日、俺は会社に辞表を提出した。提出したと言えば、聞こえはいいが、実際の所は、叩き付けたも同然だ。思えば、この会社には高卒で入社し、20年勤務したのだが、長いようで短く感じた20年だった。『家族に何て言おう‥‥‥。』一言呟いてみた。誰も返事など、してくれる訳ないのに。公園のベンチで独り、物思いにふける。『あんなクソ上司の下で働いてたら、こっちまで人間腐っちまう。』感情的にな
    麻呂 さん作 [585]
  • 奈央と出会えたから。<392>

    『京谷サンが、どうしても連れて来たいヤツってのは、森宮 ヒロキだと思うゼ。』アヤカさんへ向けて発せられた、聖人の言葉から、これからココで、何かが始まるのだというコトだけは、あたしにも想像出来た。『フフフ。さすが聖人ね。正解よ。龍二は、バイクで隣町のK中まで向かったわ。森宮 ヒロキを迎えにね。』トップでまとめられた、明るいベージュ色の長い髪に、ハッキリした目鼻立ちの彼女は、まさしく洋風美人といった
    麻呂 さん作 [591]
 
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