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麻呂さんの投稿された作品が616件見つかりました。

 
  • 奈央と出会えたから。<212>

    さっきから、あたし達の側に立っていたユカは、あたしと聖人の前を素通りして行くのだと思っていたんだケド――『‥‥奈央‥‥‥。』ユカに久しぶりに名前を呼ばれて、ビクンとしたあたし。『え?!なぁに?!ユカ。』返事をしたあたしもユカの名前を久しぶりに呼んだコトに気付いた。『あ、あたしさ‥‥奈央に酷い事いっぱいしたし、今更許して欲しいって言っても無理だって分かってるケド、さっき、渋川にああ言わなきゃ後から
    麻呂 さん作 [666]
  • 奈央と出会えたから。<211>

    『先生!!待ってください!!』なんと、その声の主は――秋田谷 ユカの声だった――ユカ‥‥‥?!まさか、ユカが渋川を呼び止めるなんて思わなかった――ただ――ただ、あたしはユカの口から発せられるであろう次の言葉を待つだけだった。『ん?!何だね秋田谷?!』ユカの声に、振り返る渋川は、一瞬、眉間にシワを寄せたかと思うと、愛用の銀縁メガネのズレを手で直した。『先生。木下さんの言っている事は本当です。いきな
    麻呂 さん作 [607]
  • 奈央と出会えたから。<210>

    悔しくて‥‥悔しくて‥‥‥。泣きそうなのを必死に堪えて叫んだんだ‥‥‥。だから――喉の奥から込み上げて来る悔しい気持ちと――悲しい気持ちで――喉が痛くて――痛くて――『みんな‥‥見てたじゃん‥‥‥。見てたじゃん‥‥‥‥‥。』最後には、もう声にならなくて――あたしの目から大粒の涙が溢れ出た――渋川は、そんなあたしを冷たく見ていた――銀縁の眼鏡の奥の、細い冷酷な瞳で――クラスメイト達は、誰一人として
    麻呂 さん作 [573]
  • 奈央と出会えたから。<209>

    『ま‥やはり私の思ったとおりと言う事だな。ケガの具合を見てから、タツヤからも事情を聞く事にする。北岡。義務教育で良かったな。お前の父親にもこの事は連絡しておく。』渋川が教室から出て行こうとすると、さっきからずっと黙っていた聖人がこう叫んだ。『おい!!親父は関係ねぇだろ?!俺1人の処分でいいじゃねぇか!!』聖人の言葉に渋川は足を止め、こちらを振り返った。『何言ってんだ!!このガキが!!お前1人の処
    麻呂 さん作 [565]
  • 奈央と出会えたから。<208>

    『北岡。何故、お前はそんなに問題ばかり起こすんだ?!』再び、こちらに向き直った渋川が聖人に言った。聖人は、つい今までタツヤに向けていた鋭い眼光を、今度は渋川へ向けていた。クラスメイト達は皆、事の一部始終を見ていたクセに、まるで、何事も無かったかの様に、シラケていた。誰も、聖人のコトを庇う者はいなかった。酷い――酷いよ‥みんな――ずっと――さっきから見ていたクセに――あたしは、勇気を振り絞って渋川
    麻呂 さん作 [542]
  • 奈央と出会えたから。<207>

    聖人とタツヤに身長差は、そんなに無い。けれど――実力の差は、かなり有り過ぎると思った。『‥‥い‥痛ぇ‥‥‥‥‥。』一言そう漏らしたタツヤの鼻から鼻血が流れ出て来た。ドクッドクッと、かなりの量の出血だ。聖人の一発は、凄い破壊力なんだ。“キャーッ。血よ!血よ!!”“お見事っっ!!”“鼻折ったんじゃねぇの?!”“まさかぁ〜。”“おい。ヤバいんじゃね?!血が止まらねぇってよ。”思わぬ場面での出血は、更に
    麻呂 さん作 [628]
  • 奈央と出会えたから。<206>

    ち、違う。何言ってるのよ、タツヤは!!バ、バカ。やめてよっっ!!やめてっっ!!や‥‥やだ‥‥‥。恥ずかしさと悔しさで、あたしは顔が徐々に赤くなっていくのが分かった。聖人の手には、拳がギュッと握られていた――その手が小さく小刻みに震えている――聖人は今にも爆発しそうな怒りを抑えるかの様に、大きく息を吐いた。そして――『何が言いたいのよ?!タツヤ?!』斜めに傾けた顔。聖人の少し長めの前髪から覗く、キ
    麻呂 さん作 [606]
  • 奈央と出会えたから。<205>

    この日も何時もの様に聖人と一緒に登校したんだ。あたし達は、たわい無い話をしながら教室へ向かった。『‥でね、聖人、それでね――』『おぅ。』ガラッ―ー‐聖人が教室の扉を開けた。この日の教室は、何時になく重苦しい空気が漂っていた。バンッ―ー‐何時もの様に、自分の席に乱暴にカバンを置く聖人に、斜め後ろの席に座っていたタツヤが突然、吐き捨てる様にこう言ったんだ。『アツイアツイ!!真冬だというのに、おかしい
    麻呂 さん作 [617]
  • 奈央と出会えたから。<204>

    * * * * * *3学期が始まっても――あたしと1-3のクラスメイト達との関係が変わる事は無かった。聖人が教室でタツヤと争ったあの日以来、クラスメイト達からのあたしへの嫌がらせは、無くなってはいたものの、あたしは完全に、クラスの中では孤立していたんだ。誰もあたしに話し掛けて来る者は、いなかったし、視線さえも合わせてくれない。気が付くと――クラスの中で、あたしは空気みたいな存在になっていたんだ
    麻呂 さん作 [567]
  • 奈央と出会えたから。<203>

    3学期の初日は、あたし達にとって――ちょっぴりケンカ気味の初日だったけれど――少しずつ――少しずつ――また距離が縮まった様な――そんな気がしたんだ――これが分かり合えて行くってコトなのかな――信じ合えて行くってコトなのかな――心と心でぶつかり合って行くコトは――とても大切なコトなんだね――
    麻呂 さん作 [578]
 
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