トップページ >> 麻呂さんの一覧
麻呂さんの投稿された作品が616件見つかりました。
-
奈央と出会えたから。<192>
* * * * * *今日で2度目の聖人の家――初めて来た時は、まだ秋だった。―“斉藤”――そう、1階が大家さんの“斉藤さん”の家で、2階が聖人の家。『あんま緊張すんなって。バカな親父だからよ。んな気ぃ遣うコトねぇから。』『うん。』聖人は、そう言うケド、やっぱ初対面だもん。緊張するよぉ。『親父ぃ!!奈央、連れて来たぜ。』ドッキィーンッッ☆ま‥聖人、声大きいってばっっ!!一瞬目を瞑ってしままったあ
麻呂 さん作 [590] -
奈央と出会えたから。<191>
聖人の家には、一度行ったコトあるから、場所は知っていたケド、聖人は、途中まであたしを迎えにきてくれるらしい。あたしが家を出る頃には、朝から降っていた雪は、すっかりやんでいた。白いコートを羽織ったあたしは、赤いマフラーを結び、ロングブーツを履いたら、少し急ぎ足で聖人の家へ向かった。聖人のお父さんて、どんな人なのかな。あたしの頭の中では、色々な“お父さんキャラ”が想像されていた。『奈央。』聞き慣れた
麻呂 さん作 [792] -
奈央と出会えたから。<190>
えぇ〜〜〜っっ!?“俺ん家来ない?!”だなんて。そんな‥いきなり言われても。あたしだって‥‥心の準備が‥‥‥。聖人ってば、やっぱこういう所が強引。でも、ホントどうしよう。まだ大掃除だって終わってないし。今日は、お母さんも早めに帰って来るって言ってたし。でも‥‥。あたしも会いたい‥‥‥。あたしも聖人に会いたいよぉ‥‥‥。そうだっっ!!大掃除は、手早く午前中に終わらせて、午後からなら‥‥なんとか。お
麻呂 さん作 [582] -
奈央と出会えたから。<189>
大晦日の過ごし方については、特に聖人と話していなかった。あたしは毎年大晦日は家で静かに過ごしていた。今年の初詣は、年が明けて直ぐに、母と2人で近くの神社までお参りに行ったっけ。お賽銭を投げて、小学校生活最後のお願い事をしたのを覚えている。―お母さんとあたしにとって、今年も良い年であります様に――って。来年は多分、お母さんが忙しいし、行けないかもなぁ。ブー‥ブー‥ブー‥‥。その時、あたしのマナーモ
麻呂 さん作 [611] -
奈央と出会えたから。<188>
暫くその場にうずくまっていたあたしは、時間の流れと共に少しずつ呼吸の落ち着きを取り戻していった。これって何?!俗に言う過呼吸ってヤツ?!まさか。だってあれってこんな簡単に治まらないじゃん。でも――あたし、今本当に死んじゃうんじゃないかと思う位、息苦しかった。こんな事初めてだよ。何だろう。怖い。また今みたいな発作が何時起こるかも分からない。更に言い様のない不安と孤独感に襲われていくあたし。最近、睡
麻呂 さん作 [618] -
奈央と出会えたから。<187>
あたしはその場にうずくまってしまった。体がガタガタ震えていた。だ‥誰か‥‥た、助けて。く、苦し‥‥息が苦しいよ‥‥‥‥。あたし‥‥変。どうにかなっちゃいそうだよ‥‥‥。抜け出せないの?!あたしは、ずっとこの闇の中から抜け出せないの?!あたしの心は孤独だった。何処までも孤独だった――
麻呂 さん作 [626] -
奈央と出会えたから。<186>
大掃除って誰が考えたんだろ。パタパタパタパタ――ハタキを掛けるあたし。ひぇっ‥ほ、埃がっっ。ふ‥ふ‥‥ふぁっくしょん!!あ〜もうっっ!!サイテ〜!!やだ‥鼻水が。あたし、見事にアレルギー性鼻炎かも。掃除をしながら、あたしは聖人のコトを考えていた。聖人。今頃何してるかな。冬だから大好きなバイクは乗れないし。勿論、新谷先輩と大沢先輩も、御自慢の車には乗っていないと思うし。聖人は、スキーやスノボは、や
麻呂 さん作 [573] -
奈央と出会えたから。<185>
* * * * * *クリスマスが終わると、次に来るのはお正月。今日は大晦日――冬休みって何故か夜型人間になっちゃうあたし。今朝も、ちょっとハマっちゃったケータイ小説読んでいたら、何時の間にか窓の外が明るくなっていた。でも、あたしにとってダラダラ過ごせちゃうのが休みの醍醐味なんだ。『奈央。母さん、奈央の好きな黒豆と旨煮だけは作っておいたからね。今年も母さんの知り合いに頼んで、御節を予約してあるの
麻呂 さん作 [595] -
僕は君の未来を永遠(トワ)に。<70>
『ねぇエリカちゃん。今度、ユキちゃんも連れて、十勝観光しようか?!』なんとか拗ねてしまったエリカちゃんの機嫌をとる僕。『あっ。それいいわね。あたしのお父さんの知り合いが、酪農やってるから案内出来るわ。搾りたての牛乳と美味しいチーズが食べられるわよ。』つい今まで拗ねてた彼女が、もう機嫌が直った。尤も、こんな気の強い彼女の事を大好きなのが僕。僕の好きな言葉の中に“輪廻転生”という言葉がある。そう、人
麻呂 さん作 [492] -
僕は君の未来を永遠(トワ)に。<69>
最後まで読み終えた時、ずっと助手席のドアを開けずに外に立っていたと思われる彼女が、わざと今来たばかりという風に、助手席に乗り込んだ。『あは。未來。読んでくれたんだね。』彼女はジュースホルダーに缶コーヒー2本を置き、スケジュール帳に、ユキちゃんの手紙を大事そうに挟み込んだ。『“おんなとおんなのやくそく”だったんだね。』『あたし‥今日、このユキちゃんの手紙を、こうして持って来たのは、未來に見せる為だ
麻呂 さん作 [420]