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麻呂さんの投稿された作品が616件見つかりました。
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奈央と出会えたから。<139>
* * * * * *あたしが、お鍋と食器を洗って、後片付けをしていたら、ソファーの上に寝転がって、バイク雑誌を読んでいた聖人が、突然話し掛けてきた。『奈央。俺、前にBOOWYのCD貸してやるって言ってたけど、まだ貸してなかったよな。今日持ってく?!』『うん。全部、一気にあたしが借りてったら、聖人が聴けなくなっちゃうから、取り敢えず、今日は聖人オススメの一枚を借りて行きたいな。』『ん〜‥じゃあ、
麻呂 さん作 [581] -
奈央と出会えたから。<138>
トントントントントントントントン――『冷蔵庫に何があったっけ。おっ、ベーコンがあった。あと、卵はあるし。』ジュワッ――――ッカチャカチャカチャカチャ―――――\r聖人は手際良く、ベーコンと玉葱を炒め始めた。『チャーハンはさ、フライパンで炒めた方が、パラパラの美味しいチャーハンが出来るんだぜ。』『へぇ。あたし、いつも中華鍋で作ってた。』タンタンタンタンタンタンタンタン―――――\r『普通は中華鍋で
麻呂 さん作 [664] -
奈央と出会えたから。<137>
『でも、どうして移り住んだ街が、小樽なのか‥‥。そこは、俺にもよく分からないんだ。多分、親父は母さんが亡くなった日の事を、早く忘れたかったのだろうけど、全てを忘れてしまうのが怖かったんだろ。だから、神戸の街に、どこか雰囲気が似ている‥‥小樽の街を選んだのだと―\r俺は、そう思ってる‥‥‥。』『聖人は神戸で生まれたけど、赤ちゃんの時に直ぐ、小樽に来たから、神戸での記憶は、全く無いんだよね?』『ああ
麻呂 さん作 [607] -
僕は君の未来を永遠(トワ)に。?
『しょんべん小僧!!』必死に、ひとりあやとりの連続技を繰り返していた僕の耳に、突然、澄んだよく通る女の子の声が飛び込んで来たんだ。その声の主は―\rなんと、今までデジタルビデオカメラを構えて、僕達のオーディション風景を撮り続けていた“Tシャツにジーンズ姿の女の子”だった。え?!この子どうして僕が小学校の時のあだ名を知っているんだろう。僕は、一瞬今のこの状況が分からなくなる程、動揺してしまった。―
麻呂 さん作 [533] -
僕は君の未来を永遠(トワ)に。?
『やま。かわ。あみ。うまのめ。つづみ。ふね‥‥。』僕は、ひとりあやとりを披露した。これは昔、死んだ婆ちゃんが僕に教えてくれたんだ。小学校に入学して、間もない頃、内気で大人しくて、友達を作るのが大の苦手で、いつも仲間外れにされて、一人で泣いていた僕に、優しく教えてくれたんだ。天国の、婆ちゃん。見てる?!僕は今、婆ちゃんに教えてもらった、ひとりあやとりを、こんな大勢の前で披露しているんだよ。ひとりあ
麻呂 さん作 [426] -
僕は君の未来を永遠(トワ)に。
僕は、“中年ノーネクタイ男”に一礼し、更に大変失礼な事にお尻を向けざるを得ない、他のエントリーしている人達に対してもペコリと頭を下げた。そして、再び“中年ノーネクタイ男”と“Tシャツにジーンズ姿の女の子”の方へ向き直った。意外に僕は落ち着いていた。昔から人一倍気が弱くて、小心者なくせに、こういう人前で何かを披露するといった事は、わりかし平気な方だった。本番に強いって事なのだろうか。でも、考えよう
麻呂 さん作 [434] -
僕は君の未来を永遠(トワ)に。?
オーディションが進むにつれ、僕はある一つの疑問が脳裏に浮かんだ。――このオーディションを受けようとしている人達は、このオーディションを一体何のオーディションだと思って応募したのだろう――何故なら、現時点で七人のネタが披露されたが、その中で“お笑い芸人志望者”と納得出来る様な人材は、今の所見受けられなかったからだ。トップバッターの女性の、ある人気アーティストの歌真似から始まり、ドラマの中の数々の名
麻呂 さん作 [391] -
僕は君の未来を永遠(トワ)に。?
一番手の人が名前を呼ばれた。どうやら、このコは物真似を披露するつもりらしい。見た目のキャラと流れ出した曲のイントロで、それが誰の物真似なのかを想像できた。歌が上手に歌える人に対し、音痴の僕は、凄く強い憧れを抱いている。僕は、さっきのアンケート用紙の最後の質問事項を思い出した。“あなたの一番得意とする芸は何ですかー”得意とする芸と言ったってー僕だって、こういったオーディションへ来たのは初めてだし。
麻呂 さん作 [410] -
僕は君の未来を永遠(トワ)に。?
さっきの女性スタッフ曰く、今この部屋に入って来た“中年ノーネクタイ男”と“Tシャツにジーンズ姿の女の子”は、、このオーディションの担当者だと言うが、要するに、この二人がこれから、僕を含め、今此処に集まったお笑い好きな男女約五十名の審査をしてくれると言うのだろう。だけどそれにしては、あまりにも頼りないと言うに相応しい“中年ノーネクタイ男”のその出で立ちと大胆さに、僕は正直な所、かなり驚いた。“中年
麻呂 さん作 [415] -
奈央と出会えたから。<136>
『ハハハハハハ。』あたしが浴室からリビングを通り、聖人の部屋へ行きかけた時、聖人の部屋から突然、笑い声が聞こえてきた。聖人は、あたしに気を遣ってか、ずっと部屋のドアを開けっ放しにしてくれていたから、笑い声は、部屋中に響き渡った―\r『聖人。どうしたの?!』あたしは聖人から借りたスウェット姿だ。『ハハハ‥。うん、昔のアルバム見てたらよ、なまらウケる写真がいっぱい出てきてさ。』聖人ってば、目に涙まで
麻呂 さん作 [616]