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十日十月さんの投稿された作品が328件見つかりました。
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alone 11=同じことが言えるのか=
「身内を殺されてもそれが言えるのか?友が殺されても同じことが言えるのか?私が人を殺しただけで呆気にとられ 間抜け面をしていたお前が…親しい者を殺されても冷静でいられるのか?」「…」圭は水鶴が口を開いたことによって攻撃をやめていた。晶は まるで返す言葉がなく、目に光のない水鶴の顔を文字通り『間抜け面』で見ていた。辺りは静かになった。「…行くぞ柊」水鶴はくるりと方向を変えて歩きだした。「承知しまし…
兼古 朝知 さん作 [317] -
母の言うこと
夜が来たら、思い出してしまいます。ちょっとしたことで母と、口喧嘩になったあの日。「あんたなんか、ホントは中絶してたのに。」あぁ、そうですか。そんなに私は、不必要ですか。昔、先生から聞いた言葉。「大人の言うことは、ちゃんと聞きなさい。」あぁ、そうですか。そんなに私は、間違ってましたか。あぁ、そうですか。そんなに私は、望まれないんですか。あぁ、そうですか。そんなに私は、望んではいけませんか。あぁ、そ
病んでる朝知 さん作 [409] -
alone 10=義手ではなく=
晶はヒイラギと名乗った少年をまじまじと見る。切れ長の目に、黒髪、黒い瞳、黒い服。何もかもを黒で統一されている中、口元を隠すように巻いたマフラーは青い。そして何より目立つのは左手…。義手…いや、手の代わりに刃がついている。鎌状の刃がついているのだ。(ヒイラギ、ケイ?水鶴の従者か!)晶は、自身の首の傷口をを押さえる。「死んでもらう…ぞ」ボソリと呟くように言い、圭は左腕を振り上げ、真っ直ぐ晶の方へ向か
兼古 朝知 さん作 [351] -
alone 9=それだけのことだ=
水鶴の真っ黒な髪は背中まで伸びており、茶色の瞳は冷たく、光を灯してはいなかった。黒服の上から着ている白のアウターは、血に濡れていた。顔にも返り血がついているが、水鶴は気にする様子もなく平然としている。「おま、え…何、してんだよ」「部下を殺した。それだけのことだ」「それだけってお前ッ」晶が突っかかる。「黙れ。敵に馴れ馴れしく話しかけるな」水鶴は晶の言葉を遮り、刀の切っ先を晶に向ける。その瞬間。「水
兼古 朝知 さん作 [327] -
訴え
「この世はホントにつまらない」またそう言って煙草ふかして殴られたアザ 気にするの「なぁもう俺は飽いたんだ」「信用されない 信頼されない」「人間でいることに飽いたんだ」あなたは私に訴えた「この世はホントにつまらない」またそう言って頬杖ついて窓から月を 見ているの「なぁもう俺は飽いたんだ」「信用できない 信頼できない」「信じる行為に飽いたんだ」あなたは私に訴えた私はあなたに こう問うた「私も信じてく
兼古 朝知 さん作 [439] -
折れてんじゃねぇ
そんな所で折れてんじゃねぇもう少し踏ん張れるだろ?そんな所で折れてんじゃねぇやめた直後に まだイケる気がするだろ?そんな所で折れてんじゃねぇたとえお前がただの小枝だとしてもそんな所で折れてんじゃねぇ腐り落ちるまで貼りついてろよそんな所で折れてんじゃねぇなぁまだやれるハズだろ?そんな所で折れてんじゃねぇ。
兼古 朝知 さん作 [470] -
alone 8=現れた少女=
その時だった。――バサッ!!湿らせた木綿の手ぬぐいを振ったような音が聞こえた。晶は、自身の顔に何か温かい液体がついたのを感じた。「…は…!?」先程まで泣いていた兵の首が、斬られていた。晶の顔についたものは、兵の血だった。「…ち、使えん粕が」どこからか、忌々しげな舌打ちが聞こえた。声のする方を見ると。「…ミ…ツル?」「何だ?」かつて共に笑い、遊んでいたあの少女が、日本刀に似た刀を片手に立っていた。
兼古 朝知 さん作 [355] -
alone 7=全ては教祖様の為だ=
――バララララッ!!大きな音をたて、弾丸が弾けるように飛んだ。だが。銃口から放たれた弾丸は、標的の晶に掠りもせずに目の前の大木を穿っただけだった。何故なら そこに晶はいなかったから。晶は兵の真横にいた。「…人を殺すのが怖いなら…撃たなきゃいいだろ?」晶が諭すように言うと、兵は懐に忍ばせた小刀を晶に向けて言う。「黙れ!全ては教祖様の為だ!!」「あんたらの教祖様はそんなに怖いのか?」「!!」「あんた
兼古 朝知 さん作 [365] -
alone 6=撃てよ=
空は曇っていた。明日は雨が降るらしい。戦場に着いてから、晶は未だ敵と遭遇していない。その理由は皆神と自神それぞれの信者数の差にあった。皆神宗信者が約900人であるのに対して、自神宗信者は約200人前後しかいない。どちらも非常に少ない所が伺えるのはもちろん、この点を考えてみると、自神の兵士がどれ程までに屈強かが伺える。いや、正確には水鶴と圭が強いのだろう。彼女たちと遭遇して生き残った者など、殆どい
兼古 朝知 さん作 [370] -
alone 5=歳なんて関係ない=
教祖は申し訳なさそうに言った。「君は...本当は嫌じゃないのか?」「何が…ですか?」教祖の言う意味がいまいち分からず、晶は首をかしげる。「まだ15歳なのに…こんな戦争に駆り出されて…人を殺し、自分の命さえ危うい環境に放り出されるのは、やはりつらいだろう?」うつむいて教祖は言う。「…歳なんて関係無いですよ」晶が口を開くと、教祖は顔をあげた。「15歳が人を殺しても...40歳が人を殺しても...一緒
兼古 朝知 さん作 [359]