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十日十月さんの投稿された作品が328件見つかりました。
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alone 50=少年の最期=
(教祖…。我らが神の教祖…よ)圭は、最後の力を振り絞って鎌を振るった。(俺は お前を信仰したことは…ない)皆神の兵は、情に流されそうになったが、負けるわけにもいかない。各々の銃器を持ち、応戦する。(ましてや お前に仕えた覚えも…ない…)圭は、背に銃弾と 腹に矢を受けるが、怯まない。右目の辺りを斬りつけられ、圭は片目だけになるが、それさえ気にしない。(俺が仕えていたの…は)後方から膝を撃ち抜かれ、
兼古 朝知 さん作 [436] -
alone 49=ありがとう=
「水鶴様、もう平気で…す。戦え…ます」圭の言葉に、今まで呆けていた皆神の兵が身構えた。「本当にか?」水鶴が念を押して聞く。「はい。…ただ――」「何だ?」「俺を残し…て、ここから離れていただけません…か…?」「…!!」水鶴は圭の胸中を察した。これだけ出血が酷いのだ。陣に連れ帰ったとしても、圭が助かる確率は非常に低い。しかし…「…駄目だ!!」水鶴は首を盾には振らなかった。「水鶴様、俺は…もう」「言う
兼古 朝知 さん作 [389] -
alone 48=恐らくここで=
「み つる…?」晶は驚き、声をあまり出せないでいた。「お前ぇえぇぇえッ!!」水鶴は あらん限りの大声を出し、刀を振りかざし、圭の腕を斬った兵を刺し殺した。「水鶴…様!?」圭が驚いた顔で水鶴を見る。水鶴はキッと圭の方を向いた。「お前は馬鹿か!!腕を斬り落とされてそのままにする奴があるか!!死ぬ気か柊!!」水鶴が叱り飛ばすようにして言うと、圭は少し視線を落とした。「…!!…俺…は…」「いい、喋るな!
兼古 朝知 さん作 [351] -
alone 47=少年盾になる=
「もぉやめてくれよ!!」晶が声を張り上げた時だった。――ヒュンッ圭は目の端に、3方向から水鶴に向かって飛ぶ矢を捉えた。3方向からの矢は、いかに水鶴と言えど一人ではどうにも出来ない。考えるより早く、体が先に動いた。――ドスドスドス…ッ「…柊?」水鶴が、圭の名前を呼んだ。圭は水鶴に覆い被さるような状態で、水鶴の盾になっていた。圭の背には、放たれた3本の矢が刺さっている。「……ッ」圭は、黙って背の焼け
兼古 朝知 さん作 [383] -
alone 46=届かない声=
「お前もしかしてッ…」晶が言いかけたときだった。――タンッ晶の後方から銃弾が飛び、水鶴の左頬を掠めた。水鶴の頬に赤い線が入り、微量ながら血が流れる。「な…!?」突然の事に戸惑いつつ、晶が銃弾の軌道を目線で辿ると、銃器や刃物を携えた、大勢の皆神宗信者がいた。「晶君ッ、大丈夫か!?」「中村と柊がいるぞ!!」「撃て!!撃ち殺せ!!」信者たちが辺りにわめき散らし、より多くの皆神宗信者が集まる。「水鶴様、
兼古 朝知 さん作 [401] -
alone 45=わずかな可能性=
晶がギリギリと音を立てながら鍔ぜり合いをしつつ、水鶴を見る。水鶴は続けた。「ただ戦争が嫌だ嫌だと訴えるだけで…平和ばかり主張する。お前の主張は具体性が無さすぎる」「具体性ならある!!」晶は堂々と反論した。「!…ふん、ならば言ってみろ」水鶴は意外そうに目を丸くしたが、すぐに元の温度の無い顔に戻って言った。晶は胸を張って言った。「お前や圭や夕や皆が!!笑っていられるならそれが俺の平和だ!!」そして大
兼古 朝知 さん作 [431] -
アルバムを
とある日、たまたま ほこりかぶったアルバムが目についたので、何となく取り出して広げてみた。私は昔と ほぼ顔つきは変わっていなかった。だけども 思ったこと。――あぁ、この頃は目が死んでないなぁ…。アルバムと鏡を見比べて、ちょっとだけ虚しくなった朝知でした!苦笑
兼古 朝知 さん作 [438] -
alone 44=無想だな=
「よっ、早いじゃん」あの林のあの場所周辺を訪れると、水鶴が圭を従えて立っていた。晶は にこやかな笑みを浮かべ、手を挙げた。圭は晶をギロリと睨んだ。見知らぬ客に威嚇をする番犬のように。水鶴は「あぁ」と小さく返事をするのみだった。三人とも雨に濡れ、髪の先や指先などから雨粒を滴らせていた。水鶴が口を開いた。「安心しろ。柊はお前に手を出さない。たとえ私が死のうとな…」水鶴が ちらと圭に目をやると、今まで
兼古 朝知 さん作 [366] -
alone 43=死なないで=
――ザァアアァアァァ…いつもの招集。いつもの掛け声。いつもの出陣。それらがこれで最後かもしれない…。「…晶!」「何だよ?」夕は晶を呼び止めた。(泣いてはいけない、泣いてはいけない…!!)夕の理性は そう言っていたが、夕は堪えきれずに泣いた。「死なないで…!!」「…わかんねーよ、そんなん」困ったように晶は首をひねって言う。「駄目よ、死なないで…だってあたし、独りになりたくない…!!」夕は晶にすがり
兼古 朝知 さん作 [362] -
ネガティブ
悪臭ただよう街中でたった一人で過ごしてる汚い僕と綺麗な君出逢った事が間違いなら喜んで僕は消えますよ綺麗に見える気がするよ過ぎた過去がそれなりにだけど恐らく気のせいね死にたい連呼のあの頃をずっと僕は忘れない遥か遠くの空だけが汚い街に映えてるの憧れはしても行けないよもしあの空に行けるなら何だって僕は出来ますよ君も過去も空も全部僕には綺麗に見えますよ僕のこの存在が一番汚く見えますよほら 今日もそんな事
兼古 朝知 さん作 [446]