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放浪者 さんの投稿された作品が16件見つかりました。
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セイバー 12話
「それは・・。」シャネルは何か言いかけたが、すぐに口をつぐんだ。「そりゃそうよね。忠誠心の塊みたいなあなたが、まさか裏切るなんてこと出来るわけないわよ。」淡桃の髪の女は、くすくすと手を口の前によせて、さも上品に微笑んだ。「ったく、とっとと終わらせようぜ?」どうでもいいからとばかりに、ラグナは大きな欠伸をすると、腰のあたりから何やら黒曜石のような、美しく、どこか寂しげな魅惑の輝きを放つ物体を取り出
放浪者 さん作 [403] -
セイバー 11話
「・・私は聞いていないぞ?」赤髪で隻眼の男が怒りを露にする。「今さら決定を覆すことは出来ん。これは任務だ。」白髪の大男が渋い声を発する。「では私は辞めさせてもらおう!」「何だと?」「ちょっと落ち着いて、二人とも。」と、淡桃色の長髪の女が仲裁に入る。「ったく、面倒くせーな。だから一人でいいって言ったのによ。」黒髪の男は、耳に小指を入れながらため息をついた。「なんだとラグナ?」「やんのか?」赤髪の隻
放浪者 さん作 [346] -
セイバー 10話
二人は大広間を出、両側に砂で出来た騎士の銅像が立ち並ぶ場所を通りすぎて、左右に別れるT字路に行き当たった。(『魔人の鐘』は大広間に置いてきた。)「どっち行くんだよ?」「確か、このあたり。」ダグラスは、前方の壁にトーチをかざし、黒字で書かれた意味不明な文字を上から目で追っていく。「読めるのか?」フェレットの問いかけには答えず、ダグラスはただ黙々と目を走らせる。そして、『見つけた。』と言うと同時に、
放浪者 さん作 [328] -
逃避
辛い時、君はすぐに投げ出す。苦しい時、君はいつも弱音を吐く。悲しい時、君はうずくまって目を赤くする。こんなんじゃ駄目だって分かってるのに。責められると、君は他人のせいだと言い訳する。失ったら、君は失望して前を見なくなる。傷ついたら、君は哀れな自分自身を慰める。いつも君は自分勝手。いつも君は自分のことばっかり。現実から目を背け、自分を守るためにそれと闘おうとしない。答えを知っているのに知らないフリ
放浪者 さん作 [333] -
セイバー 9話
「え?どういう意味だ?」ダグラスは首をかしげる。「カルティミアがいると誰に聞いたんだよ。」「そりゃ、お前・・・・・・。噂だって言ったろ?」「何だよ今の間は?」妙な間の取り方にフェレットが食い付く。「ああ!とにかくいるんだって!」「ムキになることで違いますと主張しているようなもんだぞ?」もういいと言うとダグラスは、そっぽを向き、大股で歩き出した。「どこいくんだよ?」「カルティミアがいるって証拠を見
放浪者 さん作 [361] -
ゆらりゆらりと
朝目覚めると、何の疑いもなく日常の行動。何も考えず、心にぽっかり空いた穴をかかえながら日常の所作。それが何になるのか分からず。何のためなのかも分からず、ただひたすら。戦いに縛られ、絶望に打ちひしがれ、誰かが「もう、いいんだよ。」って言うのを待ってる。「もう、休んでいいよ。」って言うのを待ってる。それに抗って、自由がほしいと叫んでみても、どうせ叶わない夢と諦める。誰もが心に傷を負い、それを隠しなが
放浪者 さん作 [347] -
セイバー 8話
『魔人の鐘』なるものを両手で持ち上げ、そのまま走り出した。「待て!この野郎!コケにしやがって。」すぐさまフェレットもその後を追いかける。しかし、この男ダグラス・ミックハイムは、走りにおいては絶大なる自信を持っていたし、事実、彼を追いかけて捕まえた者は過去に誰一人としていなかった。彼と並走できるようなことを許された者が果たしてこの世に何人いるのだろうか?無論、フェレットとてそれは承知の上であったが
放浪者 さん作 [346] -
セイバー 7話
それは、短剣だった。黒い鞘から引き抜いてみると、その偉大さが露骨に分かった。「護身用だ。」ダグラスは屈託のない笑みでそう言う。「よっぽど俺に死んでほしいみたいだな。」錆びだらけの、もはや輝くことすら忘れてしまったその短剣は、お役御免とばかりにフェレットの手を撫でた。「おいおい、それは家の家宝なんだぜ?それなりに価値はある代物だ。」「仮にそうだとして、お前のその腰に帯びている刀が、この短剣をはるか
放浪者 さん作 [355] -
セイバー 6話
冷静になって考えてみると、面白そうな話だ。あの『カルティミア』が一体何をしているのだろうか。バイカルド王国第三地上部隊、通称『カルティミア』。その名の由来は先の戦争で名を馳せた英雄、カルティミア・ローデンバーグがこの隊に所属していたからに他ならない。彼は勇猛果敢に戦場を駆け回り、畏怖と敬意から『死神』と呼ばれたほどであったが、終戦後人知れず姿を消した。しかし、彼の影響をうけた者は多く、第三地上部
放浪者 さん作 [346] -
セイバー 5話
「俺がいつ何に嫉妬したんだ?」フェレットが、やる気のない声で尋ねる。「だから、この『魔人の鐘』を羨ましいと、そう感じてるんだろ?」「それが本当なら、俺は鉄の塊としか見れないものに羨望の眼差しを向けていることになるぞ。」「またまた、そんなこと言っちゃって。」「・・・・。」返す言葉もないとはまさにこのことだ。この男、ダグラスは世界最高の面倒臭さを持っているのだと、フェレットは改めて確認した。「まあ、
放浪者 さん作 [345]
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