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hiroさんの投稿された作品が88件見つかりました。
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冷たい小人のうた
これは、誰かが拾った手紙……。《大きな人間へ。どうせ信じないだろうけど、私たちは身長が10センチしかない。それに比べて、お前たち人間は私たちより10倍以上も大きい。それなのに頭が悪い。お前たちを見ると、いつも嫌な気分になる。だから時々、お前たちを懲らしめる。例えば、道路に落ちている『岩』。あれは私たちが協力して仕掛けたんだ。直径5センチもある岩も仕掛けた。踏んだりすると痛いだろ?あとは、『花の密
hiro さん作 [777] -
僕、日常、神様、悲壮7
なんで昨日、坂本は柴犬を見て逃げ出したのか。そう、その柴犬はタロウだったのだ。坂本は、父親であるおじさんがタロウを連れて来ているのだと思ったのだろう。さすがの不良も、父親には弱いということか。本当に散歩していたのか、タロウが逃げ出したのか、そこまではわからない。それにしても、こんなことで名探偵気分になる僕って一体…。「あっ、思い出した!」松井がいきなり声を上げる。「何を?」「昨日の忘れ物」「今ご
hiro さん作 [450] -
僕、日常、神様、悲壮6
「吉川、そ、その怪我…」松井が困ったような顔で言った。いつものように、殺風景な田圃道を歩く。「昨日はどうなるかと思ったよ」そう言いながら僕は、昨日のことを思い出す。あの時柴犬が現れて、なぜか坂本は突然逃げ出した。だけどすぐに門の近くで捕まったらしい。体育の先生に。結局、坂本は少年院に送られることになった。「ごめん、吉川」「なんで松井が謝るんだよ」「あの手紙、俺が入れたんだ」昨日、坂本が言っていた
hiro さん作 [519] -
僕、日常、神様、悲壮5
体育館の壁とネズミ色の高いフェンスの間に僕たちはいる。僕と横田と坂本、奇妙な組み合わせだ。「吉川、てめえずっと見張ってたのか?」耳にピアスをした坂本が怒鳴る。バレたからには、僕はやけくそになることにした。「まあね。誰かさんが殺すとか何とか、ごちゃごちゃうるさいから」僕は少しビビりながらも強気で言い放つ。「てめえ、誰に口きいてんだ?ああ!?」「不良なんてゴミくずだよ、ゴミくず」「何だと?」「あっ、
hiro さん作 [469] -
僕、日常、神様、悲壮4
「な、なんでお前がここに?」横田が言う。寒さからか、恐怖からか、声が震えているようだった。「こっちのセリフだ。なんでてめえがいるんだ!」今来たばかりの坂本が怒鳴った。僕はその様子を木の陰から見ている。「そ、それは…、手紙でさ」横田の声にはほとんど力がなかったが、何とか聞き取れた。「バカじゃねーの?それ、俺らが書いたんだよ。バーカ」「ど、どういうことだよ」「俺が書いて、今朝松井に入れさせたんだけど
hiro さん作 [482] -
僕、日常、神様、悲壮3
「ほ、ほ、本当か?」僕は何度も訊き返す。「実は…」嘘でした、と言うのを期待してしまう。「実は、実話です」「ふざけるなよ!」僕の声が教室に響く。一瞬静まり返ったが、一瞬で騒がしくなった。「なんだ吉川、やいてんのか?」「そ、そ、そんなんじゃないってば」「そ、そ、そんなんじゃないってば」「真似するなよ」「真似するなよ」「僕は馬鹿です」「だろうね。でも、吉川と一緒にしたら馬鹿に失礼だな」朝、自分が松井に
hiro さん作 [447] -
僕、日常、神様、悲壮2
「松井、今日は一体何を忘れたんだ?」いつものごとく僕は訊く。「えーと、何だっけ」「お前、忘れ物が何なのかを忘れたのか?」「あぁ、最近さあ、ボケが始まったおじいさんみたいになってきたんだ」そう言いながら、松井は自分の頭を撫でた。「ボケの始まったおじいさんも気の毒だな、お前と一緒にされて」その瞬間、後ろから柴犬のくしゃみが聞こえた。その後松井が、「俺、トイレ」と言って学校に向かって走っていった。教室
hiro さん作 [444] -
僕、日常、神様、悲壮1
「毎日学校なんて面倒くさいなあ」と、僕は毎日思っていた。冬の寒さでさらにいやになる。今日も中学校に行くために、汚い靴を履き、外に出る。「おはよ」「あぁ、おはよ」毎日幼なじみの松井と2人で集合して登校する。クラスは違うけど。歩き出すとすぐに田圃道が広って、風が冷たく耳にあたってきた。「吉川、今日も寒いなあ」松井が、寒くなさそうに言ってくる。「寒いと思うから寒いんだよ。あー、暑い暑い」僕は寒そうに言
hiro さん作 [495] -
わかってる。
わかってる。僕は全部を知っていることをわかってる。僕には好きな人がいることをわかってる。それが君だってことをわかってる。何を叫んでも変わらないことをわかってる。ヒーローになんてなれないことをわかってる。君を守れなかったことをわかってる。自分が馬鹿だってことをわかってる。時間は戻らないってことをわかってる。もう君はいないことをわかってる。僕と君は永遠に会えないってことをだけど、1つだけわからないこ
hiro さん作 [550] -
未来殺人犯取締法3 ―500年後―
ここは、『未来犯罪防止センター』。ここの主な仕事は、殺人を防ぐことだ。「おっ!見つけたぞ。殺人犯。」横井がコンピュータの画面を指差す。そこには、男と女がセットで載っていた。「鬼頭夫妻だって。」「自分の子を殺したのか。最低だ。」「動機は、言うことをきかないから、だって。最低だな。」「よし、犯行の日より、前の時間に逮捕状を送るぞ。」「わかってるよ。」横井がふくれる。犯行日より前の時間に逮捕状を送り、
hiro さん作 [661]