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hiroさんの投稿された作品が88件見つかりました。
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未来殺人犯取締法2 ―現在―
「じゃあ、幼い頃に鬼頭の両親は警察に連れていかれたってことか?」田中は、人のことを追求するのが好きみたいだ。「まあ、簡単に言えば。」僕は曖昧に答える。「何で連れてかれたんだ?理由があるはずだろ?」田中は、いつだってしつこい。「理由なんかいいから、父さんたちを返してほしい。」今も、帰って来ると信じている。「今、鬼頭の一番嫌いなものは?」「警察に決まってる。」「だろうね。」「いつか殺してやる。」「誰
hiro さん作 [533] -
未来殺人犯取締法1 ー11年前―
「おい、鬼頭!お前の両親ってどんな人だ?」田中の声が教室内に響く。「優しい人だった。」僕はこう答えてから、11年前のことを思い出す。今高校生だから、僕が5才の頃だ。「手紙かぁ、誰からだ?」父が母に言う。「『未来犯罪防止センター』って書いてあるわよ。」と、母。「中を見てみようか。」それからしばらく、父と母は手紙を読んでいた。まだ幼かった僕は、気にもせず、車のおもちゃで遊んでいた。その後のことも、鮮
hiro さん作 [527] -
悪夢と現実2
僕は、家の玄関のドアを閉めて、朝の光を浴びながら、昨日の夢を思い出していた。不気味な声に、恐ろしい夢を見る、と言われる夢を見て飛び起きた。その後すぐに寝て、本当に恐ろしい夢を見た。今も鮮明に覚えている。「そう言えば、あの悪夢も玄関のドアを閉めるところから始まったなぁ。」確か、自分の家が突然火事になっていた、あの悪夢では。まさかと思い家を見上げるが、火事にはなっていない。家を出たら小さな道に出る。
hiro さん作 [806] -
悪夢と現実1
「お前は今晩、夢を見る。恐ろしい夢だ。」老婆のような、幽霊のような不気味な声が、ゆっくりと僕に言ってくる。「恐ろしいことが起こるんだ。恐ろしい夢だぞ。」僕が口を開くことはない。「家が火事になったり、転んで怪我をしたり…。」誰の声なんだ?不気味で仕方がない。「恋人と別れたり、雨に降られたり…。」その声は、僕の耳にはっきりと入り込んでくる。「お前が自殺したり…。」本当に誰の声なんだ?そして、ここはど
hiro さん作 [886] -
猫のラブレター4〜旅〜
いつの間にか、ヒト君の家の前にいた。やっぱり、いない…。もう会えない気がした。もう、会わない方がいいのかもしれない、とも思えた。所詮は猫と人間なんだ。恋なんて…。わたしは落ちていた空き缶を蹴ってから「人間に恋するなんてありえなーい!」と大きな声で叫んでしまった。ありえないんだ。そこで、あの日のことが頭に浮かんだ。手紙を渡した日。ヒト君がわたしの手紙を受け取ってくれて、すごく喜んでくれて、頭を撫で
hiro さん作 [479] -
猫のラブレター3〜幸〜
やっぱり優しい人だ。温かい。ヒト君は、すぐにわたしに気付いて、近づいてきてしゃがんでくれた。「かわいいネコだねえ。君がチャイムを鳴らしたのかい?」何か言っているが、わからない。何て言っているのかすごく気になる。とりあえず、口にくわえた手紙をヒラヒラさせてみる。「これ、僕に?ハートかあ。嬉しいなあ。」ヒト君は手紙を受け取ってくれた。「白いネコかあ。ネコだから、ネコちゃんだね。」ネコちゃん?そんな風
hiro さん作 [449] -
猫のラブレター2〜心〜
大きな背中を見ながら歩く。本当にほっとする。ヒト君は時々、通りかかる人間に声を掛けられているように見える。あくまで時々だけど。みんなに人気があるのかなあ?嫉妬してしまう。しばらくすると、小さな木造の家に来ていた。とても古くて、小さくて、ボロボロ。倉庫みたいな家だ。上を見ると、『山田』という人間の字があった。名前だ、と予想がつく。気付くと、ヒト君は家の中へ入っていってしまっていた。今日はあきらめて
hiro さん作 [458] -
猫のラブレター1〜恋〜
小さな山を越え、田圃だらけの道を歩き、白い体を汚しながら、この小さな町にやってきた。たくさんの友達に会うために。2年振り、かなあ?いつの間にか、商店街まで来ていた。それなりに賑わっている。道の脇にテレビが置いてあるのが見える。電気屋かな?立ち止まってテレビに目をやる。〈崖っぷちシンガーソングライター、TAKA。今度こそ売れるか!?〉人間の字が映っているようだ。人間の作った字など、わたしには当然読
hiro さん作 [547] -
優しい巨人のうた
これは、誰かが拾った手紙……。《小さな人間へ。みんな、信じてくれないかも知れないけど、僕は、背伸びをすると、雲の上まで手が届くんだ。僕の姿は、みんなに見えないかも知れないけど、僕は、地球の上に、独りぼっちで生きてるんだ。だから、小さなみんなを見て、いつも元気をもらうんだ。だけど時々、みんなに悪戯をしちゃう。僕に気付いてもらいたくて。みんなのよく知っている、『地震』は、僕が飛び跳ねて起こるんだ。た
hiro さん作 [909] -
タイムテレフォン5ー現在ー
「おーい。昼食まだか?」と、兄の声が聞こえた。ちょうど、受話器を下ろしたところだった。「もう5時だよ。夕方だって。」「ああ、寝ぼけてた。って、おいおい。」「どうかした?」「何で泣いてんだ?」「ああ、これは、目が痛くて…」そこで、玄関から音が響いた。父が帰ってきたのだ。父がソファに腰を下ろした。昼間のことを思い出したが、すかさず肩を揉みにいく。「おい、いきなり何だ。何の風の吹き回しだ?」父は、怒鳴
hiro さん作 [622]