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まっかつ改 さんの投稿された作品が432件見つかりました。

 
  • 航宙機動部隊第二章・16

    リク=ウル=カルンダハラが連れて行かれたのは、監獄でも取調べ室でもなく、やや広めのフロアにフラットな上面の縦長シートが列を成して置かれた、割と閑散とした場所だった。士官用の休憩所らしい。到着するや否や、ムハマド=ハザイは手を掲げて憲兵二人を下がらせた。『あ、あの…自分はどうなるのでしょうか』虎口を脱した様にも見えるが、代わりに鷲の爪に掴まれて巣へと連れ込まれただけかも知れない。どれだけ理由が有っ
    まっかつ さん作 [471]
  • 航宙機動部隊第二章・15

    警備隊長は躊躇を示した。『だ…だが、この者の容疑は明白。今更憲兵の容喙等、有難迷惑…』その台詞に接して、ムハマド=ハザイの黒い瞳がきらりと光った。『で、あるからこそ、我々が責任を持って彼の身を引き受けます』『何を増長を!この船の治安を守るは私だ!職権乱用も甚だしい!』『ほう…では、このテロを防げなかった全ての責任は貴方が負われると?』『…ぐっ』警備隊長は言葉に詰まった。そこへ大佐は相手の耳元に口
    まっかつ さん作 [497]
  • 航宙機動部隊第二章・14

    『ちょっ…ちょっと待て!』当然こんな話、納得出来る訳がない。『良いのかよ、こんなんで!知ってるだろう、あいつ等のやって来た事を!』制服のスクラムの中で激昂に両手を振り回し、観戦武官は抗議したが、『これが我々の任務だ。文句があるなら取り調べ室で聞く』それで突き崩すには警備隊長の仏頂面は堅固過ぎた。『任務!?お前等任務の意味が分かってるのか!?』自分の前面にそそり立った、隊長の分厚い胸板に向けて、必
    まっかつ さん作 [533]
  • 航宙機動部隊第二章・13

    連中のリーダー格、太子党の総帥・フーバー=エンジェルミに怯む様子はなかった。調べた限りではリクより一つ上、大財閥エンジェルグループの御曹司にして、名門キーンネ侯爵家の第一後継者。良く言えば繊細、悪く言えば神経質そうな危うさを感じさせる美貌をしていた。クリーム色の頭髪は綺麗に長さが揃えられ、青い目にはあからさまな軽蔑の光が湛えられている。純白の肌は妖しい芳香を放つ反面、艶には著しく欠け、無機質で生
    まっかつ さん作 [584]
  • 航宙機動部隊12

    『くそう、まだ居やがるのか』状況を罵りながらも再びその場に這いつくばり、リクはハンドレイを持ち直した。しかし、第二射の気配は感じられなかった。そこで恐る恐る起き上がりながら、撃たれた男の背中から真っ直ぐ向こうの木立を見ると、その蔭の間に逃れ去ろうとする後姿がうごめいていた。恐らくは口封じの為に射殺したのであろう。暗殺・テロでは割と使われる手口だ。人々がパニックし、嘆き悲しむ声が次第に密度を増す噴
    まっかつ さん作 [621]
  • 航宙機動部隊第二章・11

    緑色に煌めく光条が、立て続けに走った。リクは容赦しなかった。容赦しようにも出来る状況でもなかった。相手は武装した大の男四人だ。しかも、恐らくは銃器の扱いに長けている。幸いと言うべきか、観戦武官の射撃の技量は、ずば抜けた名手ではないが、第一線級の兵士として充分通用するレベルに届いていた。熱い血が頭部に集まり、反面恐怖と緊張に満ちた寒さで身体中が小刻に震えるのを感じながらも、死を知覚した本能の成せる
    まっかつ さん作 [483]
  • 航宙機動部隊第二章・10

    しかしその感慨が覆されるのに、僅か五00Mも歩く必要すらなかった。同じ区画の公園に差し掛かったリクは、一群のデモ隊に出くわした。反太子党で集った人達であるのは言うまでもない。たまたま帰り道と重なったので、別に気にする事もなく入口から噴水を抜けようと彼等の中に観戦武官が紛れこんだ時―\r悲劇が起こった。やや遠くから何発もの乾いた破裂音が鼓膜を打ち、噴水の辺りを占していた百人余りのあちこちから、悲鳴
    まっかつ さん作 [529]
  • 航宙機動部隊第二章・9

    『そう言えば、戦争中なのよね』食事が終わって店を出た二人は、辺りをぶらぶらしていた。『まだ回避の余地がある』歩きながらふとこんな事を尋ねて来たマエリーに、リクは前を向いたまま口を開いた。『…と、信じたいんだけど…』『やっぱり、闘うのは嫌?』『どちらも決戦の構えですからね…止めろって言って止めれる物でもなし』軍事大国の星民らしからぬ意見の次に、観戦武官は軽い溜め息を付け加えた。すると、その様子が余
    まっかつ さん作 [499]
  • 航宙機動部隊第二章・8

    どうやら彼女は和食には疎いらしい。リクは軽い解説を加えながら無難なメニューを二人前注文した。『あの…所で』『はい?』琴の音が流れる中、不自然な沈黙を保つのは正直耐えられなさそうなので、今度はリクから話を振ってみた。『太子党…なんですよね?』『まあ、そう言う事になるのかな』バリバリの太子党は、しかし、漆塗りの卓に片肘を突いて、その掌の上に載せた笑顔で別に悪びれる事なく答えた。『その貴方が、何だって
    まっかつ さん作 [564]
  • 航宙機動部隊第二章・7

    リクの隣に並んだ相手は、彼とほぼ同い年位だろうか。白桃色の肌をした、快活にして可憐さに満ちた実に魅力的な少女だった。天然繊維製のスラックスに薄手のトレーナーと言う簡素で身軽な服装を着こなし、手や顔は小振りな造形をしていた。茶色の眉目を持ち、それと同色の頭髪は、後ろを勢い良く上向きに波打たせて、個性を際立たせている。『あら、自己紹介が遅れましたね。私はニー・ウー伯爵公女、マエリーよ』『失礼しました
    まっかつ さん作 [489]
 
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