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にゃんぷちさんの投稿された作品が6件見つかりました。
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サーカス
回転木馬に乗りながら、青ざめた顔をした少女の夢を見た。くしゃくしゃのもつれた黒髪が頬に張り付き、ついさっきまで泣いていた目が充血している。 湿度の高い空気はねっとりと輝きを帯び、飴細工のように触れそうだった。僕はいつ買ったのか覚えのない綿菓子の袋…まっしぐらにはしれ!、とコロコロした字で書いてある…を持っていた。メランコリックなアコーディオンがどこからともなく鳴り響き、赤い旗はひらめいて、バターの
にゃんぷちさん作 [1,017] -
幻想怪奇談 短編〜以前に投稿したものです〜
▼ 2011/08/06 09:18「私には何故だかわかりません」 ビデオテープから聞こえてきた細く無機質な女の声。 抑揚がなく、コンピュータで合成されたかのような声だ。 画面は時折、稲妻のような光が走るだけで真っ暗なまま。 俺は後悔していた。 取材で行った樹海に、コレは落ちていた。 年末にやる特番で「自殺する若者」を追うという有りがちな収録だ。 しかし実際の樹海は予想より遥かに薄気味悪く、枝にぶ
にゃんぷちさん作 [892] -
幻想怪奇談 短編
青白く照らし出された公衆電話。 今となっては使う人も殆どいない。 過去の異物のように、ひっそりと神社の横に立っている様子は、うら淋しい存在を一層引き立てている。 僕はそれを憐れに思っていたし、孤高の佇まいに魅力を感じてもいた。 だからこうして僕は、ボックスの扉を開ける。 緑色の、昔ながらの電話。 なかで羽蟻がぐるぐると円を描き、蛾が突然の侵入者に驚きはためく。 あれば無用の長物と言われ災害時には、
にゃんぷちさん作 [768] -
幻想怪奇談 短編
私の友達のA子は、非常にやっかいな人で、ことあるごとに「霊」の話をしては周りから引かれていた 自称「霊感体質」なんだという。 しかしいい年をして未だにそんなことを言ってるなんて確かにマトモじゃない でも私自身、あまり人と巧くいかないこともあってマンションで仲良くしているのはA子と他、数人しかいなかった。 この日もA子をお茶に招いたのだが、なにがなし彼女は落ち着きがなかった。 「どうしたのよ?」 「
にゃんぷちさん作 [787] -
幻想怪奇談・短編
眠れないんだよな 熱帯夜、僕は全国的に蔓延してる「節電」を無視できずに何とか扇風機で凌いでいた。 手元の目覚ましは深夜の1時を指している。 明日、バイト早番なんだけどなあ 苛立ちはますます眠気を遠ざけて、僕はため息と共に起き上がった。 かといって、テレビをつける気にもなれない。 そういや、アレあったな 昨日、バイト仲間に借りたCDがあったっけ。 サカナクションの新曲。 まだiPodには入れてないか
にゃんぷちさん作 [710] -
幻想怪奇談 1
あそこには、何かがいる。 私はそんな気がしてならなかった。 その家は私が幼い頃から既に古くて、触れただけで自分まで侵食されるのではと思うほどのあばら家だった 庭は荒れ放題、窓は所々われているのをガムテープで補強している。 屋根瓦はいびつに配列されていてあろうことか、雑草まで生えていた。 人は住んでいるのかも解らず、強風に倒れないでいることが奇跡のような、そんな家だ。 窓という窓は、磨りガラスで外側
にっちょびさん作 [911]
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