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稲村コウ さんの投稿された作品が138件見つかりました。

 
  • ほんの小さな私事(47)

    正直な所、呪いと言われても、信憑性が無いと思ってしまうのが普通の人の思考だと思う。しかし私は、自分が持っている能力と、それによって、今まであった体験を踏まえ、呪いという言い方はともかく、弓道部に何かあったのは本当だろうと感じていた。「詳しく教えてもらえないでしょうか?」私がそう言うと、山崎さんは、少し間を置いてから喋り始めた。「まずは去年の秋ぐらいじゃったか。この弓道部の主将が、ここの練習場で他
    稲村コウ さん作 [312]
  • ほんの小さな私事(46)

    射的場に入り、私は周囲を見渡してみる。広さはそれなりにあり、七〜八人が並んで競技が出来るぐらいだろうか?これを私一人で使うのは、ちょっと勿体ない気もする。的は、現在ここが利用されていない故か設置されていなかったが、広場は綺麗に清掃されていたのがわかった。「この奥に道具置き場があるで、必要なものはそこからもってくるといい。昨年の備品が幾らかまだ残っている筈じゃが、それでいて何か足りない物があるのな
    稲村コウ さん作 [334]
  • ほんの小さな私事(45)

    「では山崎さん、牧野の事、よろしくお願いします。」瀧口先生が山崎さんにそう言うと、山崎さんは軽く頷いたあと、私に向かって言った。「うむ。では、ついておいでなさい。」「はい。」弓道場は総合道場の奥にある。施設の大きさも、それなりの規模であった。弓道場に到着すると、まず山崎さんが、入り口の鍵を開けた。続けてそのまま奥に入っていくと、通路沿いに男女別の更衣室があり、更に進んだ先に射的場があるようだ。取
    稲村コウ さん作 [344]
  • ほんの小さな私事(44)

    学校には、八時十分前に到着した。朝のホームルームは八時二十分に始まるので、まだ大分時間がある。私はその時間を使って、一度、弓道場へ向かう事にした。高野さんと山下さんとは、下駄箱前で別れ、私は昨日行った経路で弓道場へと向かう。途中の総合道場からは、朝練に励む剣道部員と、柔道部員の声が響いていたが、やはり奥の弓道場からは、全く音が聞こえてこなかった。取り敢えず私は、総合道場を覗き込む。中では瀧口先生
    稲村コウ さん作 [341]
  • ほんの小さな私事(43)

    「ちょっと、待ちなさいよ!」高野さんは、櫻井君に向かって叫んだが、彼は振り向きもせず、そのまま走り去ってしまった。「櫻井君って、案外いい人じゃないの?」「私もそう思います。」私たちが二人してそんな風に言っていると、高野さんは、首をブンブンと横に振った。「そんな事ない、ないッ!あいつに限っていい人とか、あり得ないんだから。」そう言って彼女は、櫻井君に手渡されたフィルムを投げ捨てようとしたが、投げ掛
    稲村コウ さん作 [356]
  • ほんの小さな私事(42)

    「昨日はパパに怒られちゃってねー。まあ、しょうがないと言えばしょうがないんだけど。あー、考えるとやんなっちゃう。」高野さんは、そう言いながら、カメラバッグから光度計を取り出した。「あれ?それ…壊れたんじゃなかったの?」確かに山下さんが言う通り、高野さんが手にしている光度計は、傷一つない、新品そのものだった。「怒られたには怒られたんだけど、パパが『今度は壊さないように気を付けなさい。』って言って、
    稲村コウ さん作 [344]
  • ほんの小さな私事(41)

    食事も終わり、暫くそれぞれで喋りあっていると、玄関のチャイムが鳴った。潮が素早くそれに反応し、玄関に出ていった。少し間を置いて、潮が戻ってくると、私に向かって言った。「ねーちゃん、友達来てるぜ。」私はそう言われて、壁の時計と、腕時計を交互に見てみる。時間はまだ、七時半前で、昨日約束した時間より早いと思いつつ、玄関へと出ていった。「おはよー!ちょっと早いけど来ちゃった。」玄関には、明るい笑顔を見せ
    稲村コウ さん作 [320]
  • ほんの小さな私事(40)

    朝食をとりながら、藤沢さんの話を聞いていた所、祖父と藤沢さんは、檀家という関係以外にも、幼なじみという関係もあるらしくて、祖父の妻、つまり祖母が亡くなってから、家の面倒を見に来るようになったそうだ。ただ、祖父が自宅に居る場合は、祖父が家事などをしているそうだが、食事は出来合いの物で済ませてしまったり、片付けも、暫く放置して、ある程度たまった所で片付けたり、と、あまりにも粗雑過ぎる為、それを見かね
    稲村コウ さん作 [393]
  • ほんの小さな私事(39)

    そんな二人のやりとりを苦笑いしながら見ていると、キッチンに眠そうな顔をした潮が入ってきた。「おはよー…って…じいさん、なんだよその格好。そんな派手なパジャマ、俺らぐらいのヤツでも着ねぇぞ?」潮は入るなり、祖父の格好を見てそう言った。「ばかたれ!変とか言うな。ぷりちーと言え、ぷりちーと!」「…アホか…。」この二人は、顔を合わせる度に、こうやって言い争いを繰り返している。とは言っても、本気でケンカし
    稲村コウ さん作 [361]
  • ほんの小さな私事(38)

    翌朝、六時半に起床し、学校に持っていく物を確認したあと、私は、洗面所へ向かい、洗顔したのちに、髪の毛の手入れをした。そのまま一旦部屋に戻って制服に着替え、学校に持っていく物を玄関に持っていき、その足でキッチンへと向かった。キッチンには既に、藤沢さんが来ていて、食事の支度をしており、テーブルには、まだ寝間着姿の祖父が座って、テレビをボーッと眺めていた。「おはようございます。」と言ってキッチンに入る
    稲村コウ さん作 [342]
 
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