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稲村コウ さんの投稿された作品が138件見つかりました。

 
  • ほんの小さな私事(28)

    「そうそう。お風呂入れてあるから、入るなら入っておいで。その間にご飯も用意しちゃうからね。」「すみません。あれもこれもとやっていただいてしまって。ただ、任せきりなのも悪いですし、後で食事の準備ぐらいは手伝わせてください。」今まで、家政婦に生活回りの事を任せていた事で、それに慣れきってしまっている身だが、このまま人任せな状況になるのも嫌だったし、私としても、家事に関して疎いのをなんとかしたいという
    稲村コウ さん作 [397]
  • ほんの小さな私事(27)

    高野さんたちと別れたあと、私は、寺の敷地内にある家に歩いていった。木造の平屋建てで、随分と年期のはいった建物だが、日頃から、隅々まで手入れされているようで、壁が日にやけているものの、佇まいはしっかりしている。庭も手入れが行き届いていて、木々の並びも美しく、木の葉も丁寧に掃除されているようだ。私は、玄関の扉をあけつつ「ただいま戻りました」と言って敷居をまたいだ。「あら、お嬢ちゃん、おかえり。」私の
    稲村コウ さん作 [400]
  • ほんの小さな私事(26)

    更に色々と話をしつつ、私たちは、中学校を過ぎた先にあるお寺の前までやってきた。高野さんと山下さんは、もう少し行った先に自宅があるので、私はここでお別れとなった。「じゃ、また明日ね。あ、そうだ!明日の朝、一緒に学校いこ?私とカズちゃん、いっつも朝一緒に登校してるし、これから沙羅ちゃんも一緒に行こうよ。」「ええ、喜んで。朝、お待ちしていますわ。」高野さんがそう誘ってくれたので、私は快く了解の返事をし
    稲村コウ さん作 [491]
  • ほんの小さな私事(25)

    後、帰り支度を整え、私たちは帰路についた。その帰り道を歩きながら、それぞれ色々な話をしていたのだが、その大半は、私に対する質問だった。特に包み隠す事をするつもりはなかったから、自分がどうしてこちらに転校してきたのか、家族はどうなっているのかなどと、それぞれ答えた。「両親が居ないの、寂しくないの?」「寂しくない…と言うと嘘になるけれど、それで嘆いていても、両親は喜んでくれないと思うの。生活するのに
    稲村コウ さん作 [434]
  • ほんの小さな私事(24)

    「沙羅ちゃん、どうしたの?私の事ジーっと見て…何かついてる?」私は、高野さんにそう言われて、ハッと我に返った。「あ…ごめんなさい。少し考えごとをしていて…。ええと…お家の方向でしたよね。中学校の側に神社があるでしょう?その隣のお寺の敷地内にある住宅が、今の私の住まいなの。」「そうなんだ。お寺んとこに越して来たのって沙羅ちゃんだったのね。なるほどー。それじゃ、みんな方角は一緒だから、仲良く帰れるね
    稲村コウ さん作 [515]
  • ほんの小さな私事(23)

    「さっき、何だか声あげてたけど、どうかしたの?」少しして、ジャージに着替え、荷物まとめ終わった山下さんが、私たちの教室にやってきて、何事かと聞いてきた。「実は、高野さんのカバンに入っていた…。」私がそこまで言いかけた所で高野さんは、それを遮って慌て気味に口を挟んだ。「あ、いいのいいの、何でもない。うん、何でもないから。大丈夫だから。」そんな高野さんの様子に、私と山下さんは、お互い顔を見合わせ、キ
    稲村コウ さん作 [442]
  • ほんの小さな私事(22)

    何はともあれ、櫻井君の事はともかく、高野さんを助け起こし、改めてA組の教室へ向かう事にした。向かう…とは言っても、目と鼻の先なのだが。まず、山下さんをA組の教室まで送った後、私と高野さんは、B組の教室に、置いてある荷物を取りにいった。B組の教室は、誰も人が残っておらず、電気も消えていて薄暗かった。「一気に暗くなっちゃったね。さっきまでは明るかったのに。」教室の電気をつけ、中に入る私達。先ほどの薄
    稲村コウ さん作 [409]
  • ほんの小さな私事(21)

    「噂には聞いてたけど、ホントに変な人…。」山下さんが、去っていった男子生徒の方を見ながらそう言うと、高野さんは、男子生徒が去っていった方向に握りこぶしをつきだし、親指を下に向け、敵対心まるだしといった様相で言葉を吐いた。「変人どころか、あんなのド変人よ!何考えてるかわかんないし、あいつが作った心霊研究同好会とかなんとか…わっけわかんない!」「心霊研究同好会?」「よく解らないんだけど、さっきの櫻井
    稲村コウ さん作 [395]
  • ほんの小さな私事(20)

    「バカヒデッ!何で真後ろでぼっ立ってんのよ?ビックリしたじゃないの!」高野さんは、そう、ボサボサ頭の男子生徒に怒鳴り付けた。「…いや…そんなつもりじゃ…なかったんだけどね…。あ…どこまで計算したんだっけ…。」彼は、高野さんにそう答えつつ、何やら、手に持っている手帳を眺め、やはり頭をかきながらブツブツと何かを呟き続けている。よく見ると、手帳を持つ手には更に、器用に電卓を持っていて、頭をかいている手
    稲村コウ さん作 [426]
  • ほんの小さな私事(19)

    「高野さん、大丈夫?」私は咄嗟に、床に転んでしまった高野さんのそばに寄り、しゃがみ込んで、彼女の身を案じた。高野さんは、自身が転ぶ際に、持っていたカメラを庇って倒れ込んだようで、したたかに臀部を床に強打してしまったようだ。カメラが大事なのは解るものの、打ち所が悪ければ、ケガをしかねない訳で…。幸い、彼女が肩から下げていたカメラバッグがクッションになったお陰か、衝撃も和らいだようである。それはそれ
    稲村コウ さん作 [462]
 
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