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柊梛菜 さんの投稿された作品が6件見つかりました。
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思い出をトッカータにのせて(第1章4)
…本当に。私、このクラスにいられて良かった。私なんかのためにこんなに考えてくれるクラスメイトがいて。たかが前髪なのに…。「みんな、ありがと。」私はちょっと涙目になりながら言った。「そうだな…。礼!! せっかくだからわかめちゃんヘアーみたく、奇抜な感じにしてやったらどうだ? きっと優子も喜ぶだろう。私が許す。」…へ?「じゅんちゃん。確かにゆーこちゃんなら似合うかもしれないけど、さすがに可哀想だ
柊梛菜 さん作 [413] -
思い出をトッカータにのせて(第1章3)
本当に気づいたらこの長さだったのだ。…オン・ザ・まゆげ。伸びるのにどんくらいかかるかな。まゆげトークで盛り上がっていたせいか本鈴がなったのに気づかなかった。先生遅いな。「…でもさ。…」クラスのマドンナ、夢殿あいがヘアピンを手にやって来た。「ほら、こうやって後ろ髪とかも使いながら上げて…ピンが交差するように止めたら、アクセントにもなっていいんじゃないかな♪」あいちゃん。きみはなんて優しいんだ。涙が
柊梛菜 さん作 [391] -
思い出をトッカータにのせて(第1章2)
「あ、ゆーこ。おは…」「「「えぇぇ?。」」」私が来たことに真っ先に気がついた神崎蛍がおはようを言い終らないうちに、教室中が驚きの嵐となった。…凄まじいシンクロ率である。「…おはよう。」とりあえず私は挨拶する。挨拶は大切だよ。うん。暗いオーラを出しながら、私は一つだけ空いている窓際の自席へと着いた。「…どしたの?その前髪。何をどーしたらそうなるわけ!?」私の前に座る兵部綾香が尋ねてきた。「ハハハっ
柊梛菜 さん作 [385] -
思い出をトッカータにのせて(第1章1)
《憂うつだ》こんなに憂うつな日はあっただろうか。いや、ないだろう。(反語)そんなことを考えながら、私(矢田優子)は校門をくぐった。本鈴の5分前を告げる予鈴が鳴っている。この学園に入学してから6回目の4月。…そして最後の4月…。新年度の登校初日。まだ幼げな面影を残したままだった6年前の入学式の日でさえ、もっと希望に満ちていた。《みんな、これ見たらなんて言うかな…》私は前髪をいじりながら歩き続けた。
柊梛菜 さん作 [439] -
思い出をトッカータにのせて(序章2)
私たちの学校がたまたま6年一貫教育でたまたま私たちが6年間クラス替えのないクラスに居たからかもしれない。 この6年間でしてきた様々なことは、今や私たちに無くてはならないものとなっていた。 …自分でも気付かないうちに。 そしてその事に気づいた時には、例によってやはりもう全てが終わっているのだ。 どんなに足掻いても戻ることの出来ない過去。 もう繰り返すことのない毎日。 気づいてしまう
柊梛菜 さん作 [464] -
思い出をトッカータにのせて(序章1)
誰でも一度は卒業式なるものを経験したことがあるだろう。 校長やら来賓やらの長い話を聞き、卒業証書をもらう。 最後のホームルームをして、放課後は仲のよかった子たちと適当に過ごして家路につく。 それだけの一日。 でも次の日の朝目覚めると、もう学校へは行く必要がないのだ。 遅刻しそうになって学校まで走ることも、あんなに面倒だと思っていたエプロン着用が義務の掃除をすることも、たまに嫌いないもの
柊梛菜 さん作 [382]
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