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エアロ(猛烈なスランプ) さんの投稿された作品が23件見つかりました。
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The Last Escape 第三章『兄妹』
その、二日後、だっただろうか。能天気な私も、さすがに精神が不安定になりだした。それもそうだ。命をかけての逃亡劇、私やアルファが未だ正気を保っていられるのは、…アルファは一度おかしくなりかけたが、奇跡と言っていい。何にしても、私一人では絶対にここまで来られなかった。だからこそ、不安だった。私は、殺される…「大丈夫か?取り敢えず、最終手段の準備だけはしておくけど…」黙ってアルファに携帯を渡した。「・
エアロ さん作 [398] -
The Last Escape 第二章『眠り』 3
アルファはブロック塀にもたれかかったまま、腰を下ろした。「少し、寝た方がいいわ。」「…でも、」「この辺りは、昼間は人がいないんでしょ?私も見張ってるから、ね?少しでも、お願い」「・・・。」「あなたの体が心配なのよ」「…わかった。けど、誰か来たら、遠慮なく、俺を…」「・・・。」そのまま何も言わない。…つついてみる。「…もう寝ちゃった」それだけ疲れていたのに、無理矢理にでも、走り続けた…なんて強靭な
エアロ さん作 [332] -
The Last Escape 第二章『眠り』 2
「…アルファ?」応えてくれない。耳に入らないみたいだ。絶対ヤバい、そう思った。彼の眼の輝きは、もはや決意の現れではない。狂気。この狂ったゲームのせいで、彼もまた、狂いかけている…?私の不安をよそに、彼は新たに迫りくる追っ手を、…まさしく『ちぎっては投げ』るように、なぎ払いながら、先へ進んだ。かなり狭いブロック塀の間にアルファはもたれかかり、私を降ろすと溜め息をついた。「ここらは住宅街だから、昼間
エアロ さん作 [344] -
The Last Escape 第二章『眠り』 1
その三日後、私達は山を下り始めていた。「ねえ、大丈夫?」私はアルファに聞いた。「何が?」「だって、ずっと寝てないじゃない」私は初めて知った、ずっと寝ていないと、人の顔色がどす黒く変わる事を。「大丈夫だよ、その位」「何が大丈夫よ、どす黒い顔して…」「そんな大きな声を出したら、聞かれてしまうぞ」その時、前から足音が聞こえた。「ほら、おいでなすった」彼は私を置いて歩き出した。その足は、妙にふらついてい
エアロ さん作 [425] -
The Last Escape 第一章『寒波』 3
それから少し歩くと、彼の予想通り、そこにはさらさらと、川の流れがあった。「少し、休憩にしよう」と、アルファが言い終えるや否や、私は膝から崩れ落ちた。「食料を探して来るから、見張っておいてくれ」とだけ言うと、彼はすたすたと川の石を渡って行ってしまった。私はゆっくりと、川に近づいていった。少しだけ、水に触った。「冷たいっ!」そのまんまのリアクションだ。川はどんよりとした曇り空をそれに映し、なんだか冴
エアロ さん作 [337] -
The Last Escape 第一章『寒波』 2
「どうして、そんなにそのジャンパーを大切にしているの?」そう安っぽいという訳でもないが、なぜ人に貸せないと言う程それを大切にしているのか、よっぽどの理由でもあるのだろうか?私には理解しかねた。「ああ、…これな、初めてのバイトの初任給で、っていうか初めて自分で手に入れた金で買ったものだから、愛着沸いちゃって」『本当にそれが理由?』と聞きたい気持ちを抑えて、私は今もっと気になりだした事を聞いてみた。
エアロ さん作 [361] -
The Last Escape 第一章 『寒波』
冷たい風の中を、黒く長い髪が舞う度、人の身体が、次々と飛んでゆく。「まだやるのか?…キリがないな」アルファ・カーマイン。あまりに動きが速いので、どう投げているのかは解らないが、この二、三時間の間に、彼はゆうに百五十人は投げたはずだ。表情一つ変えずに。「そうだ、黙って、そこを退くことだな」じり、じりと音がする。彼は一握りの砂を投げ、私…ソフィア・ルーセントの手を取って走り出した。「どうにか、撒いた
エアロ さん作 [360] -
The Last Escape 6
彼も足を止めた。「賭けに応じなければ二人とも殺すと脅されて、俺は賭けに応じた。1ヶ月の間、先程の条件の中で逃げ切る事が出来れば、裁判を受け、身の潔白を証明させてもらえる。が、捕まれば…」彼はこちらを振り向き、首をカッ切る素振りをした。「あんた、これから、どうするつもりなんだ?」「どうする、って…」どうしようもない。このままでは、私は、捕まって、きっと…でも、それは、『このままでは、』の話だ。私は
エアロ さん作 [355] -
The Last Escape 5
「どこへ行くつもりだ」「だから、急いでるのよ!」彼は、どういうつもりなのだろう?まさか、自分が大金を手にするために、私を助ける振りをして、何故だかはわからないけれど、私を警察に引き渡すつもり…!?「安心しろ。俺はあんたを警察に売るつもりはない」とは言うものの、彼はどうしても私の肩を放してくれない。「じゃあ放してよ!私はこれから、レービアさんに、会いに行かなきゃいけないの!!」「レービア!?」秘書
エアロ さん作 [320] -
The Last Escape 4
「何をした、だぁ!?あんな大それた事しておいて、何を今更!!」「あんたを警察に引き渡すとなぁ、大金が手に入るんだよ!」新たにこちらに近づいて来た、二人のうちの、一人も言った。「大金!?どういう事…そんな…まさか!!」お尋ね者、ってこと!?「なぁ、それよりこいつ、けっこう可愛い顔してんじゃん。」酒臭い息を吹き掛けながら、右側の男が言う。「どうだ?警察に引き渡す前にさぁ…」戦慄が走った。三人は、血走
エアロ さん作 [337]