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拾諸填 さんの投稿された作品が7件見つかりました。
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美しい命
絵の具を塗りたくったような真っ青。空に張り付いて取れやしない。じっと見ていると吸い込まれるから、私は下を見ながら進んだ。土、もぐら、蟻、ダンゴムシ。私の足元では生命がひしめいていた。踏まないように歩いた。でも、目に見えない小さなダニは、この足の下で短い生涯を終える。生命は美しい。野性動物の筋肉の躍動感、木陰で奏でられる虫達の愛のメロディ。私は傷つけたくなかった。だから立ち止まることにした。これ以
拾諸填 さん作 [402] -
ちんとんしゃん
ちんとんしゃん唐紅の紅ひいて涅槃(ねはん)は遠く夢のごとし
拾諸填 さん作 [348] -
うそつき
人生は儚い。「うそつき」言葉を口にする。喉がからからに渇いていた。「お前はうそつきだ。俺より先に逝くなんて」目頭が熱くなる。『オレ、兄貴の最期、看とるから』さっきそう言った弟の顔がまざまざと目の前に浮かんで見えた。弟の死顔はとてもきれいだ。まるで交通事故とは思えない。「高橋さん。そろそろ病室に戻った方が」看護師が心配して声をかけてくる。末期がんで余命一ヶ月の俺より先に逝くなんて…。人生というのは
拾諸填 さん作 [405] -
コエヲ クダサイ
声を下さいほんの小さな囁きでもいい冬に咲く白く冷たい儚いものでもいいから例えそれで僕が凍ってしまってもコエヲ クダサイ
拾諸填 さん作 [341] -
もつ鍋
今夜は何故か、いつも無口な妻が饒舌だった。そしてこんなことを言い出すのだ。「あなた、あたしね、今日人生をリセットしたのよ」どういうことなのか私は尋ねずに、そのまま妻の話を聞き流していた。「もう、聞いてるの?美味しいでしょ?今日の夕飯」私はもつ鍋をつつきながら、ああ、と生返事をした。「そういえば、母さんはどこに行ったんだ?」妻は「目の前にいるじゃない。美味しいでしょ、もつ鍋」そう言って笑った。
拾諸填 さん作 [970] -
彼と私
ゴールデンウィーク、どこか連れてってくれるわよね?どこか広くて、緑がいっぱいの所。「おい、行くぞ」彼が来た!さ、連れてって。どこへ行くのかしら?私を驚かせてみせてよ。「ちょっと待ってよユウ。この子連れて行く気?」私と彼とのデートは、あの女にブレーキをかけられる形になった。「新車なんだからよして」「どうせ使えば汚れる。まぁ、いいじゃないか」そう言って、彼は私に手を伸ばしてくる。早く早く!私は彼に抱
拾諸填 さん作 [462] -
もぐもぐ、ごくん。
マルクスさんちのポトフはひと味違う。今日も一人分、小さな鍋に入れてもらって持ち帰り。小さな我が家の小さな食卓。鍋の蓋を開けて、そのままぼくは「いただきます」。もぐもぐ、ごくん。うん、うまい。そこでぼくは一番好きなソーセージにフォークを刺した。ゴリッ。あれ?何かおかしい。ソーセージの中に芯がある。見るとそれはよく煮えた人間の人差し指で、芯だと思ったのは骨だった。うっかり者のマルクスさんが、慌ててソ
拾諸填 さん作 [974]
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