携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> 公募投稿作品の一覧

公募投稿作品に含まれる記事が496件見つかりました。

 
  • 子どもは家を選べない〜その11〜

    ここに登場する人物やストーリーは、実は、架空のものではない。 家庭内で家族間が百パーセント上手くいく例の方が珍しいのである。 人は、常に、誰かを傷つけ、傷つけられている。 各々の心の持ち様がさまざまであるからこそ、世の中は、日々目新しく、確実に、1日前とは違う自分を生きていて、他人の価値観とすっくり同じようにいかないジレンマを抱えている。それゆえ、各人一人一人の生は尊重されるべきであって、親兄
    真理康子  [967]
  • 子どもは家を選べない〜その10〜

    千鶴子と房子は、結衣子のものをクスネルことを常習する内に、結衣子の一人息子を、自分たち二人と共に居させたくてたまらなくなっていった。房子は、幼少時より、近隣の子どもを呼びつけて、自宅の箪笥に閉じ込めて泣かせたり、長じて生徒を持つ立場になって、気に入らない生徒は、窓際まで担いでいって、窓から突き落とすと脅迫した。ゆかりという子どもは、十年たっても、そのトラウマから抜け出せずにいる。それを笑っていら
    真理康子  [1,066]
  • 子どもは家を選べない〜その2〜

    結衣子の妹の房子は、実に風変わりな子どもだった。大変気性が激しく、気に入らないと泣き叫んで、周囲の手を煩わせた。その内、うるさいので、泣き叫んで欲しがるようなものは、与えておくような扱いを受けた。子どもには、そんな事情は判らない。泣き叫べば、世の中は自分の思い通りに鳴門いう風に理解したようである。この五月蝿い子どもの守りが、幼少時の結衣子の仕事だった。結衣子は、祖父に連れられて出かける時以外は
    真理康子  [992]
  • 子どもは家を選べない〜その10〜

    千鶴子と房子は、結衣子のものをクスねることを常習する内に、結衣子の一人息子を、自分たち二人と共に居させたくてたまらなくなっていった。房子は、幼少時より、近隣の子どもを呼びつけて、自宅の箪笥に閉じ込めて泣かせたり、長じて生徒を持つ立場になって、気に入らない幼児は担いで窓から突き落とす脅迫をするような残虐性を備えていた。結衣子は、ボランティア活動で、房子が随分昔に、気にくわないと言っては、幼いゆか
    真理康子  [754]
  • 子どもは家を選べない〜9〜

    結衣子は、自分を、強くなったなあ…と思う。病を持つ体らしき煩わしさと付き合い出して40年以上の歳月が流れた。失ったものも多い。大病を患っているからといって、親に甘えることが出来たわけではない。病と家族の内の二人という「大勢」との戦いのある自宅は、結衣子にとって何一つ、心が安らぐ処ではなかった。それでも、長年続いてきた家の末裔である重みが、結衣子に、人でなしの母親と妹との完全な別居を踏みとどめた
    真理康子  [918]
  • 子どもは家を選べない〜その7〜

    児童虐待は、一種類ではない。 子どもに対して無関心なネグレクト、外から傷を追わす仲間には性的虐待も含まれる。 もっとも厄介なのは、精神的な苦痛を与え続けることであって、外傷と、危害を加える側の良心の呵責が少ないために、周りも加害者側も、それが虐待であるとは気付かないケースが多い。まさに、一軒の家の中の密室性がそれらに拍車をかけた。 幼い子どもなどは、その苦痛から逃れるために、卑怯な生きざま
    真理康子  [826]
  • 子どもは家を選べない〜その7〜

    結衣子の病は、重かった。 ただ、過剰なストレスを与えない限り、その症状は、軽くて済んだ。だが、あまりにも、自分勝手な千鶴子の言い分と、ナイーブな親友が傷つくことの悲しみを思うと、輝かしい、地域の名門高校への進学が囁かれ、心ひそかに、そういった期待に添おうと日夜励んできた健気な少女には、耐え難い苦しみとなり、以前からあった脳腫瘍を刺激した。 毎月のMRIなど存在しなかった世界では、結衣子は、た
    真理康子  [787]
  • 子どもは家を選べない〜その7〜

    千鶴子は、焦っていた。 なぜ、結衣子は、からだを壊さない? ずいぶん、遠い昔、不倫がうまくいき、つい、誰かに自慢したくなった。 相手は、結衣子の親友の父親である。 近いうちに、二人の生活を築ける目処もついた。 本来、舞台で歌を歌いたいような千鶴子にとって、この嬉しい秘め事を黙り続けるのは億劫だった。 ちょうど、そこに、不倫だと聞けば、嘆き悲しみそうな、親から見ても、清廉潔白そのものの実娘がいた
    真理康子  [1,365]
  • 子どもは家選べない〜その6〜

    今回、結衣子が服を買うには訳があった。 結衣子は、情けない家族に心の中で決別してきたことを行動に移す予定だった。 実の親と妹と縁を切ることは、人に、心の有り様等を語る立場の人間は、あまりしようとはしないだろうが、結衣子は、あえて、彼女達との別離を選んだ。 それにしても、60年に近い日々を、ずいぶん、くだらない感情に付き合わせたものである。
    真理康子  [982]
  • 真理康子

    梅が、香った。 結衣子は、ゆっくりと坂道を登った。 今日の仕事を終えたら、一着、服を見に行くことにしていた。 贅沢でもなんでもなく、結衣子は、時たま、外出用の衣類を買った。 若い頃より、自分で働いた賃金の一部を、おしゃれに使った。 それは、ずいぶんささやかな金額でも、結衣子にとっては、自力を振り返る良い機会であった。一人息子の衣類も、モノの良いものを選んだ。 若い頃、買った服は、千鶴子と房子が
    真理康子  [1,208]
 
利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス