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公募投稿作品に含まれる記事が496件見つかりました。
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恋、おおき一年間
「はぁ〜 はぁ〜 何で、こんな事にぃ…!?」 私、ゆうかは逃げている。何からって? そんなの分からないわ。 ただ単に「何か」からなの。でも必死に逃げて逃げ続ける。 「何で!? 携帯が繋がらないの?」 みしっ みしっ みしっ だんだん「何か」が近づいてくるのが、はっきりとわかる。 「助けを求めようにも、こんな時間で… しかも場所も場所だし… 携帯も…」 もう足跡が、すぐ近くまで来てるのがわかる。
烏稼啄 [741] -
子どもは家を選べない〜番外編〜
その日、「彼」は、樹を見上げていた。 そこは、いつも、空が低く感じられた。 苦手な虫。 寒い季節には、決まって、それが『いる』 でも、なぜか『きれい』な樹。何も言わないのが『いい』。 わけもなく、ただ、虫が嫌いだ。 『在る』こと自体が耐えられないのに、カラカッてくる『やつら』がいる 。 なぜだ? 放っておいてくれたらイイノニ。だったら、まだ、虫の方がマシだ。 虫が、一度、大きく
まりこ [1,211] -
汝、闇に溺れることなかれ。
暗くて狭い空間…僕は、突っ立っている。僕は、何をしたら良いのかわからないから歩いた…。すると、向こうの方から光が見え声が聞こえた。『汝、闇に溺れることなかれ。』そして僕は、気付いた。僕は今、闇に溺れていたのだと…。だから、必死に走った。光は、どんどん大きくなり、やがて僕は光に出た。僕は、思い出した。親友が死んで僕は、親友のもとへ行こうとしていたんだ…。そして、また僕は気付いた。たとえ、どんなに真
己景&羝斗 [670] -
子どもは家を選べない〜その40〜
ある種の告発の意味を込めて、小説として掲示してきたが、家庭内における陰湿な事象の数をあげるときりがない。 実在のモデルに、この小説を見せても、自分の過ちを認める輩ではない。 裁判が起きたとして、しらを切って埒があかない。 私どもができることは、早々に結衣子さんが房子や千鶴子と距離を置くことを勧めるだけなのである。 一方で、発覚した虐待の加害者が服す刑罰の徹底を急ぐことの二点に限る。 行政も警察
真理康子 [785] -
子どもは家を選べない〜その39〜
このような、結衣子さんが、曲がりなりにも家庭内での陰湿な事象に屈しないことが、彼女の成長過程で形成されていったことは、実に稀で、ある意味、勝者の成功事例である。 いかに、私ども、児童虐待防止アドバイザーの肩書きを持つ立場の人間が真剣に虐待をなくしたいと思っても、すべての家庭に入り込めるわけがない。 また、手遅れになったが、近所の通報を受けて家庭訪問をした仲間が、家族ぐるみの虐待が行われているの
真理康子 [686] -
子どもは家を選べない〜その38〜
結衣子が、この瞬間を克服し得たことで、生涯、この子を大切に想い続け、結果、何事にも屈することなく成長出来たことを通念で『守る対象が出来れば、人は強くなる』と解説したがるのは一理ある。 だが、本当に大切なことは、結衣子が、愛する相手を強く想って護ろうとした自分を、この小さな闘いの中で『愛せた』ということなのである。 つまり、無意識の内に、【全自分】を肯定し、受け入れ、愛せたのである。 【愛する
真理康子 [786] -
子どもは家を選べない〜その37〜
【彼】は、虫が嫌いだった。 虫がこの世にいるという事実ですら我慢できないようだった。 体の中で、取り分けて小さく見える手で、必死に虫から逃げていた。 結衣子は、いつも遠くからハラハラしながら見守っていた。 その子の手が、体のバランス上で大きければ心もさほど騒がなかったのだろうが、どう見ても、手足の小さな子どもだった。 その子が、身体いっぱいに、虫を避けている。 結衣子も虫が苦手だっただけに、気
真理康子 [741] -
子どもは家を選べない〜その36〜
梅の花の香りが強まった。 結衣子は、古風な造りの喫茶店で休憩をとることにした。 如何に、自宅の中に頭痛の種が山積みであろうと、日々の多忙は、拍車をかけていく一方で、それは、感謝すべきことなのだと自分に言い聞かせていたが、体力的な疲れには勝てなかった。 若干、カフェイン中毒に近いような多量の珈琲の飲み方で睡眠不足を誤魔化してきた。 ぬるめの珈琲を口に運ぶ時は、一服の清涼剤として、はるか昔の小さ
真理康子 [671] -
子どもは家を選べない〜その35〜
結衣子は、このような支えを得て、自分なりの成長を遂げたが、千鶴子の常軌を逸した言動は、親として、虐待の域にある。 房子の低次元の言動も、一種のハラスメントではあるが、これを裁くような優秀な施策はまだない。 注意されれば逆切れする嫌な人間を周りがもて余すだけである。 この打開策はないのだろうか?
真理康子 [637] -
子どもは家を選べない〜その34〜
結衣子は、受賞を機に増えた周囲との兼ね合いは【義務】のようにこなしていった。 学友や親戚縁者も嫌いではない。 それでも、結衣子は、小さな恋人に会いたいとばかり思っていた。 少し時間があれば、あの子は又泣いていないだろうか? あの小さな手は、今日も作業をしたのだろうか?などと思いを巡らせていた。 話をするでもなく、触れたこともない幼児で、常に頭の中は一杯で、【彼】に聴かせるつもりで音楽を奏で、
真理康子 [726]