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ミステリに含まれる記事が2060件見つかりました。

 
  • 欲望という名のゲーム?74

    雅則はテーブルの下にかがみ込み、よいしょと掛け声をかけ、何かをテーブルの上に持ち上げた。それは、あちこちのドアに下げられている、例の黒い金属製の雅則の笑顔だった。「この屋敷のいたる所に、これが下げられているのを、すでに諸君達は見て知っていると思う。どうかね。なかなかよく出来ているだろう」雅則はそう言って、それを自分の顔と並べて見せた。「これにも名前を付けるとしようか。…そうだな、笑っているから、
    矢口 沙緒  [412]
  • 欲望という名のゲーム?73

        3いつもの時間に夕食は始まった。しかし、昨夜とはやや様子が違う。今日は明彦の機嫌が良い。時々思いだした様にクスクスと笑う。そのたびに、深雪が明彦を睨み付ける。完全に立場が逆転した。喜久雄と友子は、いつも通り何かをコソコソと相談している。夕食が終わり、孝子にデザートが運ばれてくる。「アイスクリームのグラタンでございます」牧野が言う。「アイスクリームのグラタン?」「はい。グラタンと申しまして
    矢口 沙緒  [460]
  • 欲望という名のゲーム?72

    「どうなさいました、孝子様?」「やだ、左のコンタクトを落としちゃった」「コンタクトを…それはいけませんね。さっそく探しましょう」そう言って動こうとする鹿島を、孝子が手で制した。「あっ!動かないで!踏んじゃったら、替えがないから。大丈夫よ。私のすぐ下に落ちていると思うから」孝子はその場に両膝を着いて、手で床を撫で始めた。鹿島はその様子をしばらく見ていたが、どうする事も出来ないのを悟って、自分の作業
    矢口 沙緒  [440]
  • 欲望という名のゲーム?71

    図書室の掃除が終わった事を、孝子のいるトランプの部屋まで、牧野夫人が知らせにきてくれた。孝子は遊んでいたトランプを置くと、牧野夫人と一緒にホールまで降りて来た。孝子がホールに着くと、隅のほうで鹿島が、ガチャガチャと何かをしきりにやっている。「何をしてるの?鹿島さん」「いや、まいりました。深雪様が鎧をバラバラにしてしまって、そのまま放置して、行ってしまわれたのです。ほかの人も行ってしまわれて…結局
    矢口 沙緒  [439]
  • GO AWAY#61

    第十四話 ヤクザと抗争「(えぇっと………何でこんな状況になっているのでしょうか?)」雪野は目の前で自分たちに起きている状況が理解できずにただ立ち尽くしていた。理解できないのは当たり前だ。二人の目の前には優よりも怖い顔した人や顔に多くの傷跡や怖い刺青を入れているヤ○ザさんがたくさん立ち、中心の縁側に親分みたいな人までいたのだから。あれは、たった一時間前の出来事であった。雪野の不本意な提案により二人
    速見  [392]
  • 欲望という名のゲーム?70

    深雪は鎧をガチャガチャと解体し始めた。それは思ったよりも複雑で、関節の部分などに小さな死角がたくさんあった。腕の部分、足の部分、胴の部分、裏を返したり、手でコツコツとたたいたりもした。その様子を四人は、遠巻きに見ている。それ以上近付くと、深雪が大声で騒ぐからだ。その根気強い作業を、彼女は一時間以上も続けた。すでに鎧は見る影もなく、鉄くずのような有り様に変化していた。そして、その作業に没頭する深雪
    矢口 沙緒  [444]
  • 欲望という名のゲーム?69

         2三階一号室を調べ尽くした喜久雄と友子は、なんら成果を得られないまま、がっくりと肩を落として部屋を出た。そして、廊下を走る深雪とぶつかりそうになった。深雪は二人にはまったく目もくれず、下に走り降りて行った。「どうしたんだ、深雪のやつ?」「深雪さん、血相かえてたわね」すると、ニ号室のドアが開いて、孝子が顔を出した。「深雪姉さん、見付けたかもしれないわよ」孝子の一言で、二人は深雪のあとを追
    矢口 沙緒  [438]
  • 欲望という名のゲーム?68

    「ほら、笑った!」「御免なさいね。ほんと、ごめん。雅則兄さんにも謝らなくっちゃね。でも、あんまりおかしくって…」そう言いながら、まだ笑う。「そんなにおかしいかしら?だって、女の人に髭があるのよ。あたしの頭じゃ、おかま以外何も浮かばないわ」「おかまっていうのは、見事な発想ね。でも、それもちょっと変よ、この場合。だって、おかまっていうのは、女っぽい男の人のことでしょ。つまり、そのベースは男なのよ。女
    矢口 沙緒  [477]
  • 欲望という名のゲーム?67

    「きっとこの中のクイーンに、何か手掛かりがあるはずよ」深雪は興奮してそう言うと、テーブルの上にトランプを広げた。「こ、これだわ!これが手掛かりよ!」深雪が指差したダイヤのクイーンには、なんと髭が書き込んであった。「姉さん、すごい!とうとう見付けたわね。…ところで、この髭なぁに?」「分かんないわよ。これから考えるのよ。あんたはどう思う?」「全然分からない」二人は、髭のある女王様を間に挟んで、すっか
    矢口 沙緒  [494]
  • 欲望という名のゲーム?66

    「じゃ、チェスのクイーンも『Q』で表すのかしら?」「確かそうよ」「だったらさ、隣のビリヤードの部屋にある『キュー』って、ちょっと気にならない?」「全然。だってスペルが違うもん。ビリヤードのキューは『CUE』って書くのよ。アルファベットの『Q』とは、何の関係もないわ。ちょっと発音が似てるだけよ。それよりも、こんなのはどうかしら?クイーン、つまり『Q』が捕らえられているのは、アルファベットの中だった
    矢口 沙緒  [506]
 
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