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ミステリに含まれる記事が2060件見つかりました。
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欲望という名のゲーム?49
第四章翻弄という名の序盤戦四月十七日朝食には全員が顔を揃えたが、口を開く者は誰一人いなかった。明彦はトーストとコーヒーを流し込むように口に入れると、そそくさと食堂を出て行った。少し遅れて、友子が明彦の後を追うかのように食堂を出た。喜久雄は眠そうにあくびばかりしている。そんな喜久雄を、深雪は気に入らなそうに見ていた。しばらくして、友子が帰ってきた。そして喜久雄と何やら小声で相談している。「友子さん
矢口 沙緒 [404] -
欲望という名のゲーム?48
孝子が落ち込み気味だったので、鹿島が話しを変える。「そうだ、さっきお話に出た『ビトゥイン・チェス』ですか?あれをひとつやってみませんか?」「あれを?いいわよ。じゃ、この本を衝立にして、経験者の私が黒で、あなたが白ね」「白という事は、私が先手というわけですね」「雅則兄さんが死んじゃったから、このゲームを知っているのは、世界中で私とあなたの二人だけ。つまりこれは『ビトゥイン・チェス』の世界選手権とい
矢口 沙緒 [402] -
欲望という名のゲーム?47
「なぜですか?」「兄さんがとてもいい人で、それにすごく楽しかったから、大事な事に気付かなかったのよ。なぜ突然兄さんが私に会いに来たのかを、深く考えなかったの。あの時もう兄さんは、自分の命が長くない事を知っていたのね。でも、結果的に財産を独り占めしたような形になっているから、明彦兄さん達には会いずらかったのよね。でも私だけは、まだ養ってもらってる身でしょ。だから私に会いに来たのよね。…私がもう少し
矢口 沙緒 [388] -
GO AWAY#57
優は、「すまんすまん」と、言いながらパソコンに向かい、カタカタ鳴らしながら「昨日も夕方に一人の刑事が単独でここに来て同じことを聞かれたよ」と、笑いながら説明した。優は検索できたのかENTERを景気よく鳴らして京都と雪野の方にノートパソコンを向けると2人は驚きを隠せなかった。「見たことあるだろう?こいつはお前らと昨日交渉………もとい交戦をしたと言ってきた奴だ。こいつも最後にお前と同じ質問をしてきた
速見 [365] -
欲望という名のゲーム?46
「それでね、『おっ、なかなかいい部屋じゃないか』とか言って、入って来ちゃうし。私、人を呼ぼうかと思ったりして。…でもね、話しているうちに、本当の雅則兄さんだって事が分かって。それでね、『突然どうしたんですか?』って聞いたらね、『一緒にチェスをしようかと思ってね』だって。呆れたわよ、私。雅則兄さんが変人だとは聞いてたけど、まさかこれ程とは思わなかった。兄さんはニコニコしちゃって、『どうだ、やらない
矢口 沙緒 [389] -
記憶の中の記憶5(一日目)
(本文)その日の夕方入院した。入院のたびに何故かこの部屋だ。3階の角の個室。満室の時でもどんな手を使っているのか、必ずこの部屋だ。カメラでもあるのか?西先生と、栗本師長、他のスタッフの方がたか必死に配慮して下さっているのだろうスタッフの方がたも、皆にこやかで・・おかえりー今回はしっかり入院しとくのよ、とか声をかけられ、そのつど、はいはいと返事する。ドアの外側に松下じゅんDr西受け持ちNARS森永
いおり [339] -
記憶の中の記憶4
先生大丈夫ですよ考え込まないで下さい。困った顔の私を、先生は、はげまして下さった。私は西先生が大好きだ。私が落ちこめば一緒に落ちこんでくれる。私が笑えば一緒に笑ってくれる。先生だけが全てを、理解して下さってる気がした。例えば私が急に死んだとしても、何処に、何があり、どうしてほしかったのか。自殺した場合その理由は、何だったのか。全ておみとうしだ。逆に先生からすると、私は先生の、心の中の、とても厄介
いおり [352] -
記憶中の記憶3
珈琲のむ?うん!いつもの朝だ。彼の入れてくれる珈琲はうまい。珈琲を飲みながら他愛のない話しをする。そういえば昨夜ずっと、譫言いってたけど夢でも見てたの?。彼と私は同い年て、夫婦というより友達だ。セックス歴五年。どうでもいい感じになってきている。実は今朝変だったんだよね。かいつまんで話してみた。彼は寝ぼけてたんじゃないといった。違う!この海老男めが!!どうしても納得いかない私は、掛かり付けの西先生
いおり [331] -
欲望という名のゲーム?45
4コンコン、と孝子の部屋をノックする音がした。すでに夜も十時を回っている。「どうぞ」彼女が応えると、鹿島が入ってきた。「夜分遅くに失礼します」「大丈夫よ。まだ寝るには早いから」ソファーに座り、テーブルの上のチェス盤とにらめっこをしていた孝子は、鹿島のほうを振り向いて答えた。「今夜お見せしたテープの、ダビングテープをお持ちしました。それと、一言お礼が言いたくて…」「お礼?」「はい、食堂での
矢口 沙緒 [386] -
欲望という名のゲーム?44
「そうなのか、鹿島?」「私はあの猫の名前の由来は、知らないのです。ですが、今の孝子様のお話を聞いていて、十分に考えられる可能性だと思います」「ねぇ、孝子さん。この食堂にピカソの絵はあるの?」友子が食堂に掛けられた絵を見回しながら聞く。「そうねぇ、ここにはないわね」「よし、ホールに行く。孝子、お前も一緒に来てくれ」そう言い残して、明彦が食堂を出た。「僕達も行ったほうがよさそうだ。鹿島さん、あなたに
矢口 沙緒 [382]