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ミステリに含まれる記事が2060件見つかりました。
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欲望という名のゲーム?38
「白い毛と、黒い毛と、茶色い毛が混ざった猫の事よ」「じゃあれか?よくその辺を歩いてる、柄がごちゃごちゃした猫か?」「そう、そのごちゃごちゃよ」喜久雄は少し考える。「昨日のビデオだけどな。お前はあのヒントの所で、どう思った?」「別に、どうとも…」「僕は兄貴が三つの事を強調したように思えた。まず『猫』、これが一つ。そしてそれが『三毛』である事。最後に名前が『パブロ』だという事。この三つだ。『パブロ』
矢口 沙緒 [387] -
記憶の中の記憶1
目を開けた白い壁、白い天井、テレビ、ぷーさんのぬいぐるみここはどこ?と、同時に、自分の事さえ解らなかった何が何やら解らなかった。軽いパニックと静けさの中、ゆっくりと起き上がった目の先にリビングがみえた。誰かに気付かれないように、おそるおそるそこえと向かう。の、途中に、白い部屋の隣の部屋に誰かいる。ウッと声を殺し男であろうその人をしばらく見ていた。誰なんだ!?布団に海老のように、丸まってる男は。そ
いおり [511] -
欲望という名のゲーム?36
明彦はボードゲームのある三階の三号室にいた。何列もの棚に、隙間なくゲームが並べられている。この中に、猫に関係したゲームがあるのではないか?あるいは、ずばり『パブロ』という名のゲームがあるのではないか?彼はそう考えていた。膨大な量のゲームだった。しかも半数近くは輸入品らしく、日本語の説明書も付いていない物がざらだった。そのひとつひとつを、彼は丹念に見て回った。そして、この部屋のゲームを全て見終え、
矢口 沙緒 [408] -
欲望という名のゲーム?36
「兄は何て言ってた?」「単なる遊びだと。それ以上は、何もおっしゃいませんでした」「ふぅん、何も言わなかったの…」深雪はしばらく考え込んでいたが、煙草を灰皿に押し付けると、鹿島を見上げた。「ねぇ、鹿島さん。こっちに座らない?」声の調子が、さっきとはだいぶ違う。女性の武器のひとつである、いくらか鼻に掛かった甘い声。そして、甘い物ほど体には悪いのだ。「私はここで結構です」鹿島は毅然とした態度で言った。
矢口 沙緒 [411] -
欲望という名のゲーム?35
第三章 三毛猫という名の駒 1四月十六日八時には、すでに鹿島も含めた全員が、朝食のテーブルに着いていた。スープ、トースト、ベーコンエッグ、サラダ、それにコーヒー。誰も口をきく者はなく、無言のままの食事であった。先に食べ終わった明彦が、失礼も言わず食堂を出ようとするのを、鹿島が呼び止めた。「これからは各人が自由行動をとる事になりますが、夕食だけは六時にこの食堂にお集まりください。昼食は適当な
矢口 沙緒 [403] -
『クライアナノナカ』の真相 〜13〜 かつ、八人目
私は、最後の切り札、すなわち『ジョーカー』を出す事にした。周りを見回すと、客は私とディナー以外はいない。予定通りだ。被害に遭う者は少ないに越した事はない。ディナーに、裁きの鉄槌を。私は、素早くテーブルに手を伸ばし、黒い携帯をかすめとった。ほぼ同時に立ち上がり脱兎の如く身を翻すと、そのままトイレへと駆け込んだ。脇目から覗いたディナーは、別段驚くでもなく、むしろ余裕を持っていたように見受けられた。だ
ヤルンヴィドの番犬 [658] -
『クライアナノナカ』 の真相 〜12〜
私は驚いた。ディナーが、仮に行方不明事件について知っている、或いは後ろめたい事があるのなら、こうも簡単に『切り札』である携帯を見せないはずだ。どういう事だ?それを見透かしているかのような、ディナーの笑み。惑わされて行く私を嘲笑っているのか?彼を罠に嵌めるつもりが、いつの間にか私が術中にはまっている。このままでは、まずい。「…気になりますか…?」「…何?」「…携帯ですよ。さっきからずっと見てるから
ヤルンヴィドの番犬 [616] -
欲望という名のゲーム?34
明彦と喜久雄はすぐにベランダに興味を失い、再びリビングルームに戻った。明彦は勝手にホームバーのブランデーを飲み始める。喜久雄はソファーに座り、何か考え事をしているふうだ。その時、入り口のドアの下のほうで、カタカタと小さな音がした。今まで誰も気付かなかったが、ドアの下の部分に、縦横十五センチほどの観音開きの小さな戸があった。それがゆっくりと向こう側から開き、猫がひょいと顔を出した。「あら、あの猫」
矢口 沙緒 [415] -
欲望という名のゲーム?33
「最後に雅則様の自室をご案内いたします。と言いましても、この部屋には、私も入った事はありませんが」鹿島が廊下の突き当たりのドアを開けた。入るとすぐにリビングルームになっていた。左にはホームバーがあり、やはり洋酒が並んでいる。そしてソファー、テレビ、ビデオと、そのほとんどは各人が割り当てられた二階の部屋とたいした変わりはなかった。ただ、この部屋には左右にドアが一枚づつある。それともうひとつ、入り口
矢口 沙緒 [421] -
GO AWAY#54
京都の話では、今日も優は大学には午後からしか行かないというので予定さえなければアパートにいるはずだ。しかし、昨日もこの家に来たので何か不思議な感じがした。雪野は今まで女の子とは程遠い行動をさせられて女の子の認識を忘れさせられているが彼女はれっきとした女の子………心のどこかでまた風呂に入らせてもらえたらと心の中で期待していたが、まず家の中に入れるかどうかが問題だった。通報はされないと思うが、警察が
速見 [349]