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ミステリに含まれる記事が2060件見つかりました。
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欲望という名のゲーム?26
鹿島がテレビのスイッチを切った。「今の説明にもありました通り、今日を含めて七日目が有効期限の限度となります。今日が四月の十五日ですから、従って四月二十一日が最終日となります。四月二十二日では手続きが間に合いません。この事だけは、はっきりと認識しておいてください」「七日の期限。おまけにヒントは猫ときた」明彦がグラスのワインを一気に空けた。「実質的には六日ですよ。今日はほとんど終わりですからね」喜久
矢口 沙緒 [400] -
欲望という名のゲーム?25
「だがね、この首輪に意味はないよ。これは私の屋敷に所属しているという印にすぎない。従ってこの首輪には、仕掛けも手掛かりもない。だから、やたらとこいつを捕まえたりするのは、止めてもらいたい。肝心なのは、こいつが『三毛猫』で、そして名前が『パブロ』だという事だけだ。しかし、これだけではちょっと難しいだろう。だから、日を追うごとに少しずつヒントを出していくとしよう」彼はテーブルの下に猫を戻すと、またワ
矢口 沙緒 [362] -
欲望という名のゲーム?24
「ではさっそくゲームの詳しい説明に移ろう。まず宝を隠してある範囲だが、それはこの屋敷及びその周囲の庭とする。つまり、庭を取り巻くあの林は『O・B』という事だね。勿論あの一本道も除外する。次に特別除外エリアについて説明しておこう。この特別除外エリアとは、この屋敷の中にあって、絶対に宝を隠していないという場所の事だ。まず、二階の一号室から六号室までの六部屋が、これに相当する。ここを除外しておかないと
矢口 沙緒 [347] -
欲望という名のゲーム?23
第二章屋敷という名のゲーム盤 1「畜生!兄貴はなんて気違いじみた事を考えだしたんだ!」明彦がテーブルを強く叩いた。「でもさ、宝探しなんて、ちょっとワクワクするじゃない」友子が無責任な事を言う。「ちょっと、静かにしててよ!こんな馬鹿な事を止めさせる方法がないか、今考えてるんだから!」深雪がヒステリックに叫び、煙草に火を着けた。「それはちょっと無理みたい」孝子がアイスクリームの最後の一匙を口に
矢口 沙緒 [375] -
欲望という名のゲーム?22
「鹿島さんは勘違いをしているわ。私はゲームに参加したのではなくて、ただ財産を放棄しただけなのよ」「おっしゃっている意味が、分かりませんが?」「私は最初から財産を貰うつもりはなかったの。今のままでいいの。だからもし財産を四等分すると言っても、私はやっぱり放棄したわ」そこへ明彦、深雪、そして喜久雄と友子の順に食堂に帰ってきた。皆、無言のまま席に着くと、目の前に置かれた書類を読み始めた。「おい、弁護士
矢口 沙緒 [354] -
GO AWAY#52
「何で思い出せないの!?」雪野はお茶の最後を飲み干して落ち着くがどうしても思い出せない自分に腹を立てた。「案外そこにこの事件を解くカギがあるかもね」京都は笑いながら雪野を励まして次に調べることを考えようと言い始めた。今まで調べて分かった事をまとめると青山雪野は未成年にも関わらず全国指名手配になったこと、事件現場付近廃墟ビルの四階から薬莢が見つかったこと。被害者は全員警察官で六年前の反発グループと
速見 [347] -
欲望という名のゲーム?21
「兄貴は本気なのか?こんな馬鹿げた、子供じみた事を本気でしようとしているのか?」明彦が鹿島に聞いた。鹿島はあっさりうなづいた。「兄さんは死ぬ前におかしくなったのよ。頭を癌に犯されたのよ。そうでしょ?」深雪の問いに、鹿島は首を横に振った。「雅則様は、最後までしっかりしていらっしゃいました」「そ、そうだ!」喜久雄が何かを思い付いて声を上げた。「ヒントだ。兄貴はヒントを出すって言ってたじゃないか。封筒
矢口 沙緒 [397] -
欲望という名のゲーム?20
「諸君達がサインした財産の放棄書は鹿島君が預かる。見事封筒を探し当てた者は、鹿島君に名乗り出てくれ。彼がその者の財産放棄書を処分してくれる。かくして、一通の有効な財産相続書と、三通の有効な財産放棄書が出来上がるわけだ。どうだね諸君。完璧だろう」「確かによく出来ているわ」孝子が感心したように言う。「それからね。私はもうひとつ書類を作ったよ。これはすでに鹿島君に預けてあるのだか、内容はこんなふうだ。
矢口 沙緒 [411] -
欲望という名のゲーム?19
5「正気なのか?」明彦が立ち上がって叫んだ。「どうかしてるんじゃない!」深雪が恐怖に近い声を出した。「狂ってる…」喜久雄が怯えるようにつぶやく。目を大きく開いた友子は、口を手で押さえたまま声も出ない。孝子は無言のまま、画面を凝視していた。画面の向こう側の雅則は、変わらぬ笑顔のままだった。「…さて、その方法だがね。ここに四枚の封筒がある」彼はそう言うと、上着の内ポケットから封筒を取りだし、
矢口 沙緒 [422] -
欲望という名のゲーム?18
ガタンと椅子が鳴る音がした。誰かが腰を浮かせたらしい。「私はゲームが好きだ。この世もまた、終わりなきゲームだと思っているよ。世界というゲーム盤の上で、人間という駒を使った、天空の神々がなされる、複雑にして遠大なゲームなのだと。歴史という名のゲームだよ。このゲームの中で雷音寺雅則という駒は、その役目が終わったらしい。だから盤上から取り除かれる時がきたのだ。それだけさ」雅則はワインを口に運んだ。「そ
矢口 沙緒 [380]