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ミステリに含まれる記事が2060件見つかりました。

 
  • 欲望という名のゲーム?9

    明彦は金色の金具で1の付いた部屋に入った。ワンルームを想像していた明彦は、ドアを開けた瞬間やや戸惑った。十ニ畳ほどの広さの部屋で、やはり基調は落ち着いたアイボリー。窓を大きく取ってあるせいか全体に明るい。ドアのすぐ右にホームバーのカウンターがあり、カウンターの奥の棚には、いろいろな銘柄のウイスキー、ブランデー、あるいはジンリキュール類などがびっしりと並べられている。部屋の中央よりやや奥に応接セッ
    矢口 沙緒  [344]
  • 『クライアナノナカ』 の真相 〜7〜

    五人目は、かなり特異なパターンだ。名前:ホリゴメ タロウ年齢:1歳(男性)今回の対象者は乳児だ。本人情報はかなり乏しい。有名大学卒で、派遣社員の若い父親と、16歳の母親の間に産まれた。当初から気難しい性格で、よく泣く子だったらしく両親も相当手を焼いていたらしい。常に、何かに怯えるように。まるでこの世に生を受けた事を嘆くかのように。ハイハイや捕まり立ちが出来るようになった頃、忽然と行方不明になる。
    ヤルンヴィドの番犬  [393]
  • 欲望という名のゲーム?8

    「いくらある」明彦がぶしつけに聞いた。「兄貴の遺した財産は、いったいいくらあるんだ」「動産、不動産もろもろを全て合わせますと、約ニ百八十億円というところです。「ニ百八十…」深雪が言葉を呑んだ。その金額は、誰の想像をも大きく上回っていた。「滞在に異論はございませんね」鹿島が澄まして言う。勿論、異議を唱える者はいない。「何も聞いてなかったから、着替えがないわ」孝子がぽつりと言った。鹿島は大丈夫という
    矢口 沙緒  [404]
  • 欲望という名のゲーム?7

    「もともとはフランスの富豪が、日本に長期滞在するために造られた屋敷だったのですが、その富豪が手放したものを雅則様が手に入れられたのです。ここからご覧になってお分かりのとおり、ニ階には左右に各三部屋づつ、計六部屋の客室がございます。便宜上、部屋には番号が打ってあります。右側の三部屋が一号室、ニ号室、三号室、そして左側が四号室、五号室、六号室となっています。その内の六号室は、現在私が使用させていただ
    矢口 沙緒  [390]
  • 欲望という名のゲーム?6

        2鹿島に従って屋敷に入った五人は、中の様子に思わず目を見張った。奥行きの深い、広く天井の高いホール。その天井から下がった巨大なシャンデリア。右側の壁には大小様々の絵画と角の大きな鹿の頭部の剥製。その向かいの壁には西洋の甲冑が飾られている。全体に落ち着いたアイボリーで統一されている豪華な空間。床は一辺がニメートル以上もあるかと思われる正方形の大理石が、白黒交互に市松模様になっている。前方正
    矢口 沙緒  [378]
  • 欲望という名のゲーム?5

    「とにかく、ここにいてもしょうがない。中に入って弁護士の鹿島とかいう男に事情を聞いてみよう」明彦は決心したようにそう言うと、正面のドアに近付いていった。そして、そのドアの前まで来て立ち止まった。「おいおい、こりゃなんの冗談だい」呆れたような声を上げる。それを聞いて、他の四人もドアのそばまで来た。それまで気が付かなかったが、ドアに異様な物が下がっていた。大きな分厚い木で出来た観音開きのニ枚ドアで、
    矢口 沙緒  [410]
  • 欲望という名のゲーム?4

    「おい、一週間もここに居ろっていうのか!俺は忙しいんだ。まったくどういうつもりなんだ」明彦が吐き捨てるように言う。「そんな事言ったって、バスはもう行っちゃったわよ。それともなぁに、あの道を歩いて帰るって言うの?冗談じゃないわよ!」深雪がイライラした調子で言い、口に煙草をくわえた。「一週間はここから帰れないんでしょうか?」誰に言うともなく、喜久雄は言った。そばにいる友子も不安を隠せない様子だ。孝子
    矢口 沙緒  [367]
  •  『クライアナノナカ』 の真相 〜6〜

    四人目にいこう。名前:ニラサキ ハノン年齢:25歳 (女性)某中小企業の受付嬢。性格は男勝りでやや短気。社内でも女性社員のリーダー的存在で、白黒はっきりつけたがる。趣味はモータースポーツ観戦で、自らの車もかなり手を入れていたようだ。会社からの帰りに車ごと行方不明になったのだが、直前にYトンネル付近で彼女の車と同じ、メタリックピンクのクーペが目撃されている。…またしても類似する。『クライアナノナカ
    ヤルンヴィドの番犬  [367]
  • 欲望という名のゲーム?3

    かなり大きな屋敷にもかかわらずそれが小さく見えるのは、この広大な敷地のせいだろう。周囲を円形の森に囲まれた敷地の中央に、その白い洋館は建っていた。とても日本の一部とは思えないような、まるで写真で見たスイスの山奥にでも案内されたような奇妙な感じだった。長い車寄せの道を、ゆっくりとマイクロバスは進んだ。道の周囲は花畑のように春の花が咲き乱れている。洋館の中央にある大きなドアの前でマイクロバスが止まる
    矢口 沙緒  [437]
  • 欲望という名のゲーム?2

    隣に座っている女性は三十二、三というところか。美人というのとは違うが、しかしそれなりに魅力的な容貌をしている。どちらかと言えば愛嬌のある顔と言ったほうが適切だろう。普段は明るくて多分よく笑う女だと思われるが、今は青い顔をしてうつ向いている。この女性、雷音寺喜久雄の妻友子は乗り物に極端に弱く、かつてこれほどの遠出は経験がなかった。そのふたつ後ろに、かなり派手な身なりの女性が座っている。大きくウェー
    矢口 沙緒  [431]
 
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