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ミステリに含まれる記事が2060件見つかりました。
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リレー小説「秘密」下:木村蜜実
「ただ、ユーリちゃんを驚かせたくてさ…。」彼はにこやかに笑う。ただ、驚かせたい…。そんな訳がない。洋子は倒れていて、彼の友達(大野君似)までいる…。夜、ユーリが寝付いてしまう間に、直子と洋子が入れ代わった事もわかっている。頭に残る言葉…。『後悔する…。』一体何に後悔するのか…。「何でこんな所に用があるのよ…。」ユーリは3人の顔を見渡した。嘘のカケラも見当たらない顔に、段々と苛立っていく。「やだな
木村蜜実 [573] -
リレー小説「秘密」上:木村蜜実
あの落ちていたTシャツの持ち主は…あの人。そして…直子か洋子かわからない…。(どうしたらいい…?)「何でそんな顔で見つめるの?…もしかして、あたしがどっちだかわからないの?」(わからない…。いや…わかる。)洋子なら派手な携帯。ユーリは彼女がにぎりしめている携帯電話を見る。シンプルな携帯。間違いなく直子…。でも、せっかく洋子と入れ代わったと言うのに、何故今更直子が出てきたのだろうか…。「ユーリちゃ
木村蜜実 [487] -
消えた30の瞳 ?
「オヤジが、自分で自分の居る場所を教えてくれたんだ」 2人は、父親に向かって、手を合わせた。 「オヤジ!直ぐに引き上げてあげるからな」 矢口がそう言うと、野崎も頷きながら、スコップを手に持った。 その時「グオーン、グオーン!」と言う音と共に、さっきの地震とは違う、足元の揺れを感じた。 2人は慌てて、固い雪渓の上に避難した。 どうやら、雪渓の下で、何かが起こっている様だった。 「オヤジさんが、怒
内田俊章 [395] -
消えた30の瞳 ?
揺れはそれほどでもなかったが、地鳴りはしばらく続いた。 すると、2人の足元の雪が、ドボドボと音をたてて崩れ落ちた。 2人は慌てて、突き刺してあったポールにしがみつき、落ちるのを免れた。 そこには、直径2m程の穴が開いた。 中には、水が溜まっているらしく、今落ちた雪で、ユラユラと波立っているのが見えた。 野崎は、懐中電灯を取り出して、中を照らしてみた。 「や、矢口!あれは?」 矢口は、目を細めて
内田俊章 [402] -
消えた30の瞳 ?
どうやら、雪渓の厚さは3mで、その下は空洞の様だ。 矢口は、更にポールを押し込んだ。 すると、4m程で何かに当たった。 「地面か?」 矢口はそう思いながらも、更に押し込んだ。 多少の抵抗は有ったが、柔らかい地盤なのか、最後の1mも、楽に入っていった。 矢口は、その数値を手帳に書くために、ポールから手を離した。 次の瞬間、突き刺したはずのポールが、何かに押し戻されるように、1m以上も上がって来た
内田俊章 [394] -
消えた30の瞳 ?
「地図に、自信が無かったから、来なかったんだよ、あいつは!」 野崎は、吐き捨てるように言った。 「何て野郎だ!何が『様々な手を尽くしましたが……』だ!何もやってないのと同じじゃないか!」 矢口は、斉藤が3日目の夜に、家族やマスコミに向かって発表した、言葉を思い出して、改めて怒りを露にした。 「矢口!墜落したのは、この沢で間違いなさそうだな!」 「ああ。絶対に探し出してやるゾ!」 「おお!」 2
内田俊章 [392] -
リレー小説「秘密」:ミッシェル
翌朝。日差しが窓を通して、部屋に降り注ぐ。その光はベッドの上に横たわるユーリを優しく包み込み、やがてその光は心地良い夢の中に沈むユーリを現実へと引き戻した。目をゆっくりと開けば、鋭い日光が彼女の目に直射してくる。「うーん…」再び瞳を閉じ、ユーリは大きく欠伸をして起き上がる。…そして彼女は何気なく、隣りのベッドへと視線を移してみた。「…洋子?」そう呟いて隣りのベッドをマジマジと見つめてみると、案の
ミッシェル [741] -
買い取り2
「お客様のおかけになった電話番号は電波の届かない場所にあるか電源が入っていない為かかりません」「駄目ですょお、無駄ですょお」男はぶつぶつ独り言を言いながらもう一度発信ボタンを押すと携帯を耳に当てる。「お客様がおかけになった電話番号は電波の届かない…」無機質な女性ガイダンスの声を途中で切った。「いけないよ、いけないことだよ」男は被りを振りながら携帯を右手から左手に持ち代えた。ほどなく歩きだす。男の
ルカイ [777] -
消えた30の瞳 ?
矢口の父親が事故に遭った後は、斉藤が中心に作業を進めて、地図が完成したのだった。 「オヤジが事故に遭ったのは、この沢で間違いないよな!」 矢口は、改めて野崎に確認した。 「うん、間違いない。この沢の測量を始めて、間もなくなはずだ」 野崎は、矢口が何を言いたいのかを察知して、間発入れずに答えた。 「と言う事は、この沢の測量は、斉藤隊長がやったんだな?」 斉藤は、矢口が居なくなった後、測量を続ける
内田俊章 [399] -
消えた30の瞳 ?
尾根から100mも下っただろうか? 矢口は手に持っているポールを、スルスルと伸ばした。 そして、5mにもなるそのポールを、一気に突き刺した。 ところが、2・30cm位しか刺さらない。 「えっ?変だぞ」 矢口は首を傾げ、父親の地図を広げた。 「どうか、したか?」 野崎も矢口の傍へ来て、地図を覗き込んだ。 改めて見ると、古い雪渓と新しい雪渓の境目の線が、真っ直ぐ下まで延びている。 矢口が今、ポール
内田俊章 [407]