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ミステリに含まれる記事が2060件見つかりました。
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からっぽ2
「ケンジ…。大丈夫?」見知らぬ女が僕を見て話しかけてきた。僕は病室のベッドで横になっていた。「記憶をなくしてまで…」女の目には涙が浮かんでいた。悲しいのだろうか?嬉しいのだろうか?僕にはわからない。「ケンジ……」女は僕の右手を強く握りしめた。僕は戸惑った。「あ、あの…」「どうしたの、ケンジ」「あなたは、誰?」僕がそう言うと、女は悲しそうな顔をした。僕にはなにもわからなかった。なにが、どうしたとい
hiro [758] -
からっぽ1
高校生の僕にとって、彼女を守ることは簡単なことではなかった。僕の彼女は、とても重い病気にかかってしまった。手術にはとてつもない大金が必要らしい。当然そうなると、僕にも、彼女の家族にもお金が用意できず、手術は行えない。僕は絶望の涙を流した。途方に暮れて街をふらふら歩いていると、怪しげな男に声をかけられた。人気のない場所だった。男は言う。「君、お金のことで困っているだろ?そんな君にいい話がある」僕が
hiro [773] -
消えた30の瞳 ?
もし、本恐神に墜落したのなら、音も聞こえただろうし、炎も見えただろう。 しかし、そうした状況を目撃した者は、誰もいない。 まして、晴れ渡った今日、墜落の残骸らしき物は、麓からは何も見えなかった。 当然捜索は、裏恐神と奥恐神を中心に行われる事になった。 矢口と野崎、その他の捜索隊30人は、5号目の山小屋から東へ向かい、奥恐神へ廻る事にした。 細い尾根から谷底を見ると、目がくらむ程であった。 立ち
内田俊章 [406] -
消えた30の瞳 ?
道中、吹雪は収まらず、休憩所に到着したのは、8時を過ぎていた。 矢口たちも、2次災害を防ぐために“捜索は明朝から”と変更して、3号目の休憩所で夜を明かす事になった。 翌朝は、昨夜の吹雪が嘘の様に晴れ上がった。 午前7時、麓で待機していた捜索隊も合流して、本格的な捜索が開始された。 ところが、目撃情報が全く無い。 飛び立ったセスナ機を、何人かの家族が見送っていたが、約5分後には、恐神岳の頂上付近
内田俊章 [384] -
消えた30の瞳 ?
交信が途絶えて30分。 直ぐに、対策本部が立ち上げられ、矢口たち、山岳警備隊や警察、地元の消防団員等、総勢80人以上で、捜索が始まった。 ところが、捜索隊が出発して間もなく、雲行きが怪しくなり、雷が鳴って雪が降り始めた。 9月中の初雪は、10年ぶりだった。 それでも、“日没までに、何か手がかりを”と、矢口たちは、山を登り始めた。 全ての捜索隊が、登山用の重装備をしてはいたが、警察や消防団員は、
内田俊章 [415] -
消えた30の瞳 ?
恐神岳は、真夏でも、広範囲に万年雪があり、秋になれば、雪の白と、紅葉の赤や黄色のコントラストが、非常に美しく、その景色を空から眺める、遊覧飛行が大人気であった。 その日は、朝から晴れ渡り、多少の雲は有ったが、遊覧飛行には、最高の日和であった。 天候にもよるが、毎日午前中に2度、午後に3度のフライトが有り、その日の最後、3時に飛び立ったセスナ機が、帰って来なかった。 急激な気温の変化で、積乱雲が
内田俊章 [472] -
消えた30の瞳 ?
矢口透は、雪の上に、長いポールを差し、その手応えを確認していた。 「ここは、2m位だな!そんなに深くない!」 その言葉を聞き、野崎博章がうなづきながら答えた。 「そうだな。この辺は、尾根に近いから風通しも良いし、日当たりも良いから、それほども雪は積もらない!」 2人は、山岳警備隊の同僚。 今日は、久し振りに、吹雪が治まって晴れ上がり、3000mを越える“恐神岳(きょうじんだけ)”の頂上迄が、は
内田俊章 [583] -
リレー小説「秘密」:ゅゅ
第二章 第二話 ユーリは洞窟を真っ直ぐ進んだ。 そして出口が見えてきた。(早く帰らなきゃ!) ユーリは気が焦り何かにつまずいて転んでしまった。(いたい!一体何なの?) ユーリは下を見た。(こ……これは…) そこにはやけに派手な携帯電話が転がっていた。(派手過ぎる!目がいたいワ!) しかしユーリはそのおかげで思い出したことがあった。(そういえば…あの女の子の水着も派手だったわね……) ユーリはもう
ゅゅ [576] -
リレー小説「秘密」:唯沙
「秘密」第二章第一話 ユーリはそっとそっと洞窟の奥へ足を運んだ。きっと、この先に何かがあると確信があるかのように足を踏み入れた。(誰かが通ったのだもの私もいけるわ!)洞窟での1分1秒はとても長く感じた。それなのに、真っ暗な中を歩いているユーリは少しワクワクしていた。そして遠くの方に小さな光が見えて来た。その小さな光を目指して歩いて行く。途中には小さな溜池みたいなものがあった。そこに落ちないように
唯沙 [647] -
平気
「マンションじゃなくも平気よ。アパートでいいわ」 同棲する事になったとき、そう彼女は言った。愛があればいいの、とほほえむ彼女を見て、俺は嬉しくなったものだ。 倹約家の彼女はとどまる事を知らなかった。 「携帯がなくても平気よね。公衆電話があるもの」 「テレビがなくても平気よね。ラジオがあるもの」 「車がなくても平気よね。電車があるもの」 かくして俺は、このハイテクの時代に昭和の生活を強いら
阿部和義 [645]