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ミステリに含まれる記事が2060件見つかりました。
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心残り
傷跡は細く、深い。痛みが彷徨う。すべてを忘れたい。どうすることも出来ない。包丁を右手に持つ。左手首を差し出す。刃先を優しく滑らせる。血が溢れ出る。が、やがては止まる。死ねない。死ねない。死ねない。死ねない。首に縄を巻く。両手に縄の端を持つ。思い切り引く。血流は止まる。が、すぐに動き始める。死ねない。死ねない。死ねない。死ねない。死にたい。そう思い立ったのはいつのことか。ただただ生きることに飽きた
雨蛙 [805] -
頼まれる女
C美は人からよく物を頼まれた。 「これコピーとって」「そこに運んでくれる?」「誰か紹介してよ」「車で迎えに来て」C美はいつも頷いて頼み事を引き受けていた。 いつしか友達ですら頼み事の用事がないとメールすら送ってこなくなった。C美は悩んだ。 私はみんなの都合のいい便利屋でしかないのかしら…。 そんな時メールが届いた。“C美元気〜? 今日はC美の誕生日だね”アドレスは見たこともないものだった。 C美
ピロリ [756] -
殺す探偵 3
「被害者はこの屋敷の持ち主で本郷グループ前会長本郷廉太郎。死亡推定時刻は深夜2時。死因はこの石製の天使像です。場所はこの屋敷の別館の一室です」「うむ、報告ご苦労。間違いはないですかな、羽賀さん。」鑑識の人間が刑事とJACK、本郷廉太郎の執事(羽賀)に向けて説明を終えた。羽賀は黒ぶちのメガネをクイッと整え、淡々と話しだす。「ええ、大方合っています訂正があるとすれば先程この屋敷の別館と述べられました
joker [638] -
A型の女
Y子はある口癖があった。「私、A型だから。」どんなときでもY子はA型を主張した。 特に相手がB型とわかると頼みもしないウンチクとため息をつき、 「これだからB型は… A型がどれだけ我慢してるかわかってないよね。A型は繊細なのよ」友人のB型K子はむっとするもののこれで彼女がモチベーションを保っているなら適当に相槌を打ち返事をしておこうと思った。ある日Y子とK子はドライブにでかけた。 相変わらずY子
ピロリ [1,029] -
見える女
B子はいつも不満を抱いていた。 『どうして誰も私を相手にしてくれないの?』本当は皆とおしゃべりに花を咲かせたいB子にとって今の職場ではなぜかそれが叶わなかった。 B子は年老いていた。そして古株根性を丸出しにし、気に入らないことは上司にすぐチクリに行っていた。皆が疎ましく思うのも当然だった。ある日、休憩室で皆が盛り上がっているところにB子が現れた。 B子は興味のなさそうなすまし顔をし椅子に座った。
ピロリ [781] -
ダラス 4
本国アメリカに着いたブラフマンは、まず『レストラン・ターリーズ』に寄って夜食をとった。 このレストランのオーナーは昔、著名なメジャーリーガーのタクシー乗降時を狙って強盗を働いた事がある。 『俺をウィルヘルムと知っての狼藉(ろうぜき)か。』 と凄まれたので、持っていた銃を手放して平謝りをしたところ、 『銃口を向けられて、俺も一人前のアメリカ人になった気分だ。』と気に入られ、強盗沙汰を座
二つ星 [493] -
my plan
休み時間の学食ほど憂鬱な場所は無い。皆意味も無く一つのテーブルをキープするくせ、いざ食べ物を前にすれば「頂きます」を最後にそれぞれ無言で空腹を満たす事に専念する。こんな風だから,いつも一人の星野伸二は,学食では座る場所に困る。ならば学食を利用しなければ良いのだが、今日に限って,母が風邪を引いて弁当を作ってくれなかった為仕方無く今に至っている訳だ。…よく意味も無く戯れてられるな…伸二は学食を一瞥し
Draemom [547] -
殺す探偵 2
都会からそう遠くはないが自然が豊かであるという、とても良い土地、それが大富豪、本郷廉太郎(ほんごう れんたろう)の屋敷のある場所である。しかし本郷邸の敷地内は、自然などお構い無しであるゴルフ場やら何やら、人工の印象を強く受ける。そこに建つ大きな木造の屋敷の一室で本郷廉太郎は死んでいた。警察の人間が駆けつけたのが午前11時50分、そして容疑者候補を集め終えたのが現在午後2時20分である。しかし、捜
joker [587] -
封印 4
次の日もミツオは見つからなかった。10日間、一帯を捜索したが結局、ミツオは行方不明のままで、夏休みが、終わってしまった。学校でもミツオの話しで持ち切りだ。ミツオは小1の時に転校してきたんだ。父親は知らないとミツオは言っていた。奥手だけど不思議とみんなに好きがられていた。12月の始めに、ミツオの母さんが町を離れた事を先生から聞いた。あの山は神隠しの山と噂され、それ以後僕らの心に封印した。月日が流れ
北原 海藤 [400] -
封印 3
道路に出たけど、ミツオの居ない事が、暗い不安な気持ちになり、誰もが無口なままだ。山の影が濃くなり道路の先も薄暗くなり始めている。でもなんか変!昼頃にあの場所に着いて、そんなに長い時間いたはずはないよな?と、不安な心の中で考えている。同時に、ミツオが帰ってなかったらどうなるんだろう?と頭の中がパニックになりはじめている。遠くからダンプカーの轟音が聞こえてきた。ああ、助かった!とみんなで振り向き、道
北原 海藤 [408]