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いつもの場所で?
翌朝、昼過ぎまで寝ていた哲彦と義人は、街中のカフェで一服していた。 「昨日はどうだった?楽しめた?」 「まあ…な」 哲彦の煮え切らないような受け答えをした。 「その感じじゃ、あまり楽しめてないんだろ?」 「そんなことねーよ。閉店の12時までいたしよ」 「閉店まで!俺は2時間で帰ったよ。あまり予算もなかったし…」 「なんだよそりゃ!お前、それくらいの予算くんどけよ! だらしねーな!」 「あのな〜
YOSI [462] -
いつもの場所で?
「あの…普段から、そんな感じなんですか?」 「そんな感じっていうと?」 「静かなってゆうか…表情変えないってゆうか…」 「そんなことないよ…そう見えてるの?」 「ええ…」 麻由の不安げな表情に気づいた哲彦は、すぐに謝罪した。 「ごめん。自分じゃそんなつもりはないんだけどさ。ただ、どうすればいいか、わからなくて」 「こういうところはじめてなんですか?」 「まあね…。友人に誘われてね。まあ、いろん
YOSI [454] -
いつもの場所で?
5分後に、「なつみ」とゆう、名前の子が来た。 「こんばんは〜『なつみ』で〜す。」 ちょっと、かん高い声である。 「かっこいいですね〜。どこからいらっしゃったんですか〜」 「神奈川…」 哲彦は、ぼそりと言った。 「どうされたんですか〜。元気ないですね〜」 元気がないわけではなく、哲彦は、ガンガンに来られるタイプが苦手なのだ。 「俺、結構もの静かな方だから、ごめんね。」 「いえ、いいですよ〜。ただ
YOSI [506] -
わからないままで[10]
「あっ、秋里さんでしたか。失礼しました」 そう言って笑う途(←もう呼び捨て)に、何だか黒いものを感じてしまうのは、必要以上に疑い深くなっているからだろうか。「えと……何で途……さんがここに?」「そりゃ君、あれだよ、あれ。ほらぁ、転入生って奴ー」 はあ? 何で転入生がここに?「新しいクラスに馴染めないって奴だよー。最初は頑張ってたけど、もう無理だってさ」 今は五月の初め。一ヶ月も持たなかった
佑久 [593] -
わからないままで[9]
私は足音を立てないように気をつけて、放送室に隣接している《準備室》へ移動した。「稲垣です。遅くなってすいません」 ガチャン、と扉を開けて室内に入って来る音。私は準備室から顔だけ覗かせて、稲垣という人を観察した。 そこでは、薄茶色の長い髪が見え、ランドセルを背負ったままの女の子が、小谷に挨拶をしていた。「あー。稲垣ね。ちなみに下の名前は?」「あ、途です。稲垣途」「そっかぁ」 自分か聞いた
佑久 [587] -
わからないままで[8]
姉を信用出来ない妹なんて、最悪だ。 私が自嘲気味に微笑んでみせると、小谷にじぃっと見られた。「何、一人でにやにやしてんの? 気持ち悪いっ」 はい、空気読めませんねー、そこの君。 私は深々と溜息をつく。 そんな私を、小谷がにこにこ笑ってみているのは、気のせいだろうか。 コンコン。 その時、急に扉がノックされた。私は身を硬くする。扉というと、どうしても恐怖の対象になってしまうのだ。「はいー? どち
佑久 [548] -
神様の言うとおり
「じゃあね」と言って電話を切る時に、必ず彼の方が先に通話を切る。そうゆうところなのだ。私が彼を心から信頼できない小さな理由のひとつ。ただの癖かもしれないし、忙しい人なのかもしれない。だけど、電話を切る時の少しだけ寂しい雰囲気と温度を、彼は感じてくれた時があるのだろうか?私には今のところ何も不満は無い。彼には妻と子供がいて、社会的にも名の知れた仕事を持っている。その彼の愛人である私は、経済的にも
葉羽 ひふみ [404] -
わからないままで[7]
私はちらりと小谷の方を見る。 私が放送室に来るようになってから、もう一ヶ月が過ぎようとしているのに、よく口出ししないよなあ。 まあ、そこがいいんだけどっ。 そういえば、小谷は姉は仲が良かったな。 私はまた考え事を始めた。 姉は秋里美奈といって、小谷のお気に入りだ。お気に入りって普通は年上が年下を気に入る気がしなくもないが、小谷にそれは通用しない。 そんな姉の性格は、よく言えばマイペース。悪く言
佑久 [448] -
わからないままで[6]
勝手に一人で納得した小谷は、またごろんと横になって(床に直接)何やら校則違反のゲームを弄り始めたので、私は床の隅に座り込んだ。 あんなことを言っているけど、小谷は決して本心からそう思っている訳じゃない。小谷なりの気遣いなのだろう。 暫く前から、私、秋里楽は教室に入れなくなった。何かを恐れているということはわかる。何で恐れているのだろう。それもはっきり形ではないものを。 まあ結局、わからないのだ
佑久 [407] -
いつもの場所で?
ラーメンを食べ終わり、例の店に向かった哲彦は、店の待合室で待つ義人を見つけた。 そこに、店のボーイが寄ってきた。 「いらっしゃいませ〜。お一人ですか?」 「ええ…まあ」 「うちは、前金制ですが…」 そのシステムは、義人から聞いてたので、「いられるだけいるよ」と言った。 「ありがとう ございます〜」と元気な声で去ってゆくボーイを、確認後、義人に話しかけた。 「人気あんのか?この店は?」 「まあな
YOSI [446]