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学園物に含まれる記事が836件見つかりました。
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『はい、トモダチならたくさんいます』
ひそひそくすくすカタチだけ笑顔をつくる皮膚はこんなにもピリピリと痛む教室の隅でまた冷たい笑いが生まれる優しいあの子は騙されて可愛いあの子は妬まれて賢いあの子は謙遜され素直なあの子は利用され強い者に脅え弱い者を虐める教室は世界の縮図だ、なんて偉そうな先生みたいな思考を抱えてもう飽々した木の香りのする机に突っ伏した『今』を取り巻く狭くて小さなそれでも絶対的な『世界』家族先生友達恋人信じる先は裏切り愛
梨恵 [418] -
ほんの小さな私事(83)
高野さんとの電話は、そのあと、他愛ない話をして終わりとなった。結局、山下さんに関する事は、最初だけしかせず、あとは、明日の事などについて簡単に話したのだが、なんとなく高野さんは、山下さんの事が気になっているのか、いつもの調子とは違っていた様に思える。私自身も、山下さんの事は気掛かりだが、お互い、その話を避けて喋っていた感じだと思う。電話での話がが終わった後、改めて食卓に戻り、少し冷めてしまった残
稲村コウ [301] -
ほんの小さな私事(82)
その夜、私は藤沢さんと二人で食卓について夕食をとっていた。祖父は今日、檀家回りという事で、夜遅くになるらしい。一方、潮は、友達の所に宿泊してくるという事で、今日の夕食は、藤沢さんと二人だけでの食卓となった訳である。「あらまぁ、色々大変だったのね。それにしても、山下さんとこの和代ちゃんが行方不明だって?変な事件に巻き込まれてるとかじゃなきゃいいんだけどねぇ…。」同じ町内ということもあってか、藤沢さ
稲村コウ [334] -
ほんの小さな私事(81)
山下さんの事は心配だが、私たちは、自分の荷物をまとめて、帰路についた。「それにしてもカズちゃん、どうしちゃったのかな?ショックで自分がわかんなくなっちゃったとか…かなぁ?そんな事、ないと思うけど…。」正直な所、人は取り乱すと、人が想定しないような行動をすると言う事は、昔、人の精神について書かれた記事か何かで見たことはある。だがしかし、それはあくまで、極限状態の人が、予測不能な行動を起こすという感
稲村コウ [324] -
ほんの小さな私事(80)
林さんに諭されて、下校する事になった私たちは、林さんと共に校舎側へと移動していた。その時、渡り廊下側から、高野さんと瀧口先生がこちらにやってくるのが見えた。「沙羅ちゃーん、香取ーん、カズちゃんはー?」高野さんが遠くから手を振りつつ、そう大きな声で私たちに聞いてきたが、私が首を横に振ると、高野さんは、眉をひそめた。「うーん…あの子、どこにいっちゃたのかしら?」腕組みをしつつ、高野さんは、そう呟いた
稲村コウ [344] -
ほんの小さな私事(79)
図書館一階に降りると、そこには、先に到着していた香取君と林さんが、図書館入り口で話をしていた。高野さんの姿はまだなく、先ほど見た渡り廊下の途中で、瀧口先生とまだ、何やら話しているのだろう。私は二人の元に近づき、香取君を見る。「あ…山下さんは居た?」そう聞かれたので、私は、首を横に振って答えた。「こちらの経路には見かけませんでした。そちらも…見かけなかったのですね?」「うん…。」そんなやりとりをし
稲村コウ [344] -
ほんの小さな私事(78)
それぞれ別れて山下さんを捜し始めた私たち。二階の連絡通路方面を捜し歩く事にした私は、まず、保健室より少し西へと行った所にある階段を駆け上った。二階は既に、生徒たちが下校してしまったあとで、殆んど人の姿は見られなかった。ちらりと見える人影も、念のために見てみたが、それら人影の中に山下さんを確認する事は出来なかった。もしかしたらA組の教室に戻っていり可能性も思い付いたが、今は何にしても、連絡通路から
稲村コウ [356] -
ほんの小さな私事(77)
廊下に出た私たちは、まず、西と北を見た。東西に伸びる廊下は、西の突き当たりで外に出られる扉があり、そこから図書館に通じる渡り廊下の途中に合流する道がある。その少し手前の階段から二階に上がり、二階の西から、図書館への連絡通路がのびている。また、保健室を少し東にゆき、そこの北に伸びている廊下を進むと、途中に下駄箱があり、更に進んだ先から、校舎北側の東西に伸びる渡り廊下に出られる。基本的には、今居る位
稲村コウ [339] -
短気で不器用な俺〜十〜
玄関の奴らは、二人で十分だった。「おい野田?俺様の客はどこだ?」「黒沢さんの教室です」「三階かよ」向かおうとした時。「テメェが黒沢か?」「誰だテメェ?おい野田。コイツがそーか?」「違います」「そーか・・・邪魔」バシッ パリン パリ パリ 「グハッ・・」「バイバーイ。野田、後片付け頼んだ」「ハイ。テメェさっさと帰れコラァ」「黒沢まだか」「あんたか?俺様を呼んでんのは?」「じゃーテメェ
NIGHT [395] -
南十字学園美術部!
「梓恵里の絵って綺麗だよね」「べっ、別に、そんなに綺麗なんかじゃ……」去年。部活に入って教室の隅で絵を描いていたあたしに気づいて、話掛けてきた優しい子。日々思いは募るばかり。叶わないこの想いだって、あの子はあたしと同じ――女の子だから――「おはよう。怜那」日曜日、自由参加の部活に誰よりも早く来ていたのは、怜那だった。「おはよう。梓恵里」怜那は、画材道具に向かって、一生懸命悩んでいる。暫くの沈黙や
麻生みさ [418]