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SFに含まれる記事が1822件見つかりました。

 
  • 航宙機動部隊第四章・42

    リク=ウル=カルンダハラが帯磁軌道発着場で見た物は、二人分の死体と七人分の気絶体、そして今しがた難を逃れた同胞とその原因を作った巫女姿の女性であった。彼は鋭敏にもその有り様を眺めてすぐさま状況の九割以上を把握した。だが、巫女姿の女性はその点に置いても少年を凌駕しているみたいで、『あなたが共和国宙邦の総領事ね』リクを認めるや即座に声をかけてきた。その彼女の傍らには、テンペ=ホイフェ=クダグニン副領
    まっかつ改  [743]
  • 航宙機動部隊第四章・41

    武装興信達はプラズマ小銃の引き金に指をかけ―厚紙を引き裂く様な音を立てて、青白く輝く幾多の光条が安史那晶子に降り注いだ。七人から集中砲火を喰らった宗教界特務の立つ辺りは複数のプラズマが練り込まれる様にぶつかり合い、その姿は伸縮と波打ちを繰り返す光の渦によってかき消される。武装興信達はその有り様を見ていったん射撃を止めた。最早あの女等、骨に至るまで分子単位にばらばらにされたに違いない―\rしかし、
    まっかつ改  [729]
  • 航宙機動部隊第四章・40

    『その娘を放してくれるかしら』テンペ=ホイフェ=クダグニン共和国副領事を拉致しようとしている武装興信達へ、不意にそんな声がかけられた。立体帯磁軌道発着場自体は乗降客を中心に大勢の人々でごった返していたが、太子党の威勢を恐れる余り、誰も助けに入る所か船内警備に通報しようとする者もいなかった。その展開を熟知しているだけに、黒スーツ姿の一団は一様にきょとんとした目差しを声の主に向けた。『聞こえなかった
    まっかつ改  [683]
  • 航宙機動部隊第四章・39

    同じ頃、テンペ=ホイフェ=クダグニン副領事は合衆国陣営貴顕との十何度目かの会合を終え、リクの待つであろう自邸へ帰るべく、二人の護衛に伴われて船内自走歩道に足を乗せていた。会合自体は単調な決戦論の付和雷同に終始し、既に異議も対案も出せる雰囲気ではなく、ある意味不毛と言えば不毛ではあったが、ネカイア公爵クラッタ名誉元帥がやたらこちらに感謝の目差しを向けつつ、太子党のやり過ぎに恐らくは始めて苦言を呈し
    まっかつ改  [655]
  • 航宙機動部隊第四章・38

    駆け付けた憲兵や船内警備や野次馬達で、その立体帯磁軌道発着場はごった返していた。規制線の張られた内側では二人の男性が湯気を立てて床面に倒れていた。片方は俯せに、もう片方は仰向けに―\r床面にこびりつくレバー色の塊が、事件から経過した時間を物語る。リク=ウル=カルンダハラ最外縁総領事は、先程一挺のハンドレイと六挺のプラズマ小銃で滅多撃ちにされた所だ。彼は二人の被害者の一人として、野次馬達の見物に晒
    まっかつ改  [587]
  • 航宙機動部隊第四章・37

    その翌朝、遍在型ソーラーシステムの眩しい陽光を気持ち良さげに浴びながら、リク=ウル=カルンダハラは船内通路をゆっくりと歩いていた。余り気の進まない話だが、彼は新編パレオス防衛軍の作戦参謀を拝命しており、その職務を果たすためK=シャフラン少将始め司令部スタッフの待つ仮設オフィスへ向かわなければならなかったのだ。更に気の滅入る事に、今や彼は太子党総帥フーバー=エンジェルミから最優先ターゲットとして狙
    まっかつ改  [650]
  • 航宙機動部隊第四章・36

    『それにしても』エグムント=ファルフナー星間司憲局地捜査官は邪気の無い様子で、『どうして君はフーバー=エンジェルミをそうまでして憎むんだい?』尋ねられたリク=ウル=カルンダハラ最外縁総領事の胸にぶら下げられた黒い宝石が、一瞬きらりと艶を光らせた。『まあ、かつての自分なら放って置いたのかも知れません』そう言って少年も縁側下に控えるサーバントマシーンの保温盆に手を伸ばし、お茶を口にして、『大して目的
    まっかつ改  [606]
  • 航宙機動部隊第四章・35

    だが、今は連中を泳がせているとのエグムント=ファルフナーの言葉を聞いて、リク=ウル=カルンダハラは納得しかねる様子を見せた。『そんな悠長な―奴らみたいな人の皮被った化物共が毎日どれだけの生贄を喰らい尽くしているのか知ってて言っているのですか?』リクは腹部奥深くに焼石を放り込まれたような怒気と焦慮にかられた。確かにあながちこれは少年ゆえの純情さのせいばかりでは済まされない客観的事実が幾らでもあった
    まっかつ改  [613]
  • 航宙機動部隊第四章・34

    K=シャフラン少将からひとまず開放されたリク=ウル=カルンダハラは、自邸の離れにてとある重要人物と会合していた。偏在型照光システムが夕暮れを告げ、おそらくは晩秋を意識したオレンジ色が庭から建物から部屋の内部まで鮮やかに染め上げる。その決して長くはない人工の芸術は、離れにて立つ主人と客人との影を何処までも引っ張ろうと試み―やがてそれ自体が夜の暗がりに次第に飲み込まれて行く。リク=ウル=カルンダハラ
    まっかつ改  [624]
  • 航宙機動部隊第四章・33

    『その話をパレオス星民が聞いたら一体どう思うかしらね』責める様な皮肉る様な晶子の口調にしかし、『今更善人面した所で仕方なかろう―第一君だって一枚噛んでいるのだからな』けんもほろろにエンリケは切り捨てた。そして上体を思い切りソファーに押し付けながら両肘をその縁に預け、天井を見上げるかのようにして、『そもそもこんな辺域まで星間軌道を伸ばしたのが間違いなのだよ。でなければ統合宇宙軍とて所詮は一軍閥に過
    まっかつ改  [582]
 
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