トップページ >> SFの一覧
SFに含まれる記事が1822件見つかりました。
-
生きる者たちの物語3‐2
線路を辿って歩くと、ほんのり人工的な明かりが見えた。あった。あれがステーション。一段高くなっているホームに飛び乗る。上のほうで揺らぎながらぼんやり輝く電灯を見上げ、上から垂れているボタンを押した。ビーーーーーー!!!!!!そこいら一帯が震えるくらい大きな音が地面から響き渡る。それを合図に線路の果てから小さな明かりがどんどん近づいてきて、それはステーションの中にゆっくりと入ってきた。漆黒のそれは近
しじゅう [429] -
生きる者たちの物語3‐1
「では、医者街エリスまで行ってきます」海まで見送りに来ていたエジに私は言った。「ああ、路地裏には近づかんようにな。潜等(モグラ)には充分注意しなさい」「はい。」私はエジに背を向け、ザバザバと海に入っていった。医者街エリス。今は海に沈んだ闇の街。破滅前までは合法違法さまざまな薬が出回っていたそうだ。島には医者はいない。薬もない。唯一薬を得られるのはエリスしかない。たくさんの診療所や病院があるから、
しじゅう [404] -
生きるものたちの物語2
サカグチが亡くなって一週間。誰もいなくなった部屋。時間などいらない。暦もいらない。ただ日が昇っては沈んでその日が終わる。私にとって、あの人のいないこの世界はあまりにも切ない。今日も静かに時は流れるだけの一日。アンドロイド。私はそう呼ばれている。人のいうことを忠実に聞く人形。否定はしない。だけど人の心がある。喜び、悲しみ、他者への愛情。それが私にはある。あの人が私に残した遺言。私が壊れない限り、風
しじゅう [417] -
生きるものたちの物語
サカグチが亡くなって一週間。誰もいなくなった部屋。時間などいらない。暦もいらない。ただ日が昇っては沈んでその日が終わる。私にとって、あの人のいないこの世界はあまりにも切ない。今日も静かに時は流れるだけの一日。アンドロイド。私はそう呼ばれている。人のいうことを忠実に聞く人形。否定はしない。だけど人の心がある。喜び、悲しみ、他者への愛情。それが私にはある。あの人が私に残した遺言。私が壊れない限り、風
しじゅう [448] -
善
善(ゼン)は今年十歳です。母さん見ていますか?善はキミの望んだ通りの元気で優しい子に育っていますよ。善の母は、善が五歳の時に死んだ。それは善の持って産まれた力のせいである。善は産まれた時から声を出す事が出来ないと言われていた。実際産まれた時も泣いていたが泣き声は出していなかった。その時点で感付いてはいたが…十歳の今も声を聞いた事はない。だが善には不思議な力があった。それは超能力。それを初めて確認
アレキサンダー三世 [400] -
星の蒼さは 38
「撃たないで!」銃をこちらに向けながら少女は騒いだ。ハルの銃はというと遥か後方、コクピットの入口付近に転がっている。驚いた拍子に取りこぼしたか、あるいはもっと前から落としていたのか。「撃たないでよぅ…!」「撃たないから!」フラフラ揺れる銃口の先に立たないように宥める。だが、「撃てないから。」とは言えなかった。かなり錯乱しており、危険な状況にある。「おーい!ハル?どうした?今の悲鳴」「うっ…」今の
金太郎 [491] -
生きる者たちの物語1‐3
サカグチ曰く・・・・・「世界は、20年前に一度滅んだ。」・・・この周囲約10キロメートルの小さな島以外は。この島はエリン共和国最南端にあり、兵器の爆源地である共和国首都から離れていたおかげで助かった…らしい。その被害で共和国の3割は海に沈んだ。他国もその爆風で吹っ飛んで消えたという。…らしい、とか、だろう、とかあいまいな表現は嫌いだが…なにぶん私の生まれる前の話。すべては、主・サカグチから聞いた
しじゅう [408] -
生きる者たちの物語1ー2
「少し休憩を挟みますか?」私は疲れた様子のサカグチに聞くと、「いや・・いい。あまり時間がない」彼は笑って首を振った。「この島が海に沈むのは・・・時間の問題だからな。・・・それに私自身、そう長くはもたないよ。」「そのような弱気なことを言われては仕える者として困ります」「・・・ああ。だけど事実だ。・・・私が死んでも、君は島の者たちのために働いてくれ」「サカグチ。」「・・・それも遺言の中の一つだ」「・
しじゅう [408] -
生きる者たちの物語1ー1
「・・・ママ、ママ。僕は最後に貴女の願いをかなえて死にたい」扉の向こう、すすり泣くママの声に向かって僕は言った。「遊ちゃん、遊ちゃん。ママは憎いのよ、あなたが生きることを許さないこの街と・・この世界が・・・!」「・・・うん。・・・」・・・でもね、ママ。僕はこの世界を愛しているよ。・・・貴女を育んだこの世界を。だってこの世界がなかったら、僕は貴女と会えなかった。貴女の望みはかなえる。だけど許して。
しじゅう [562] -
A.M.nesia?
※これは投稿したものがミスタイトルだったので、再度投稿したものです。3.ジャック・オッフェンバック二発の銃声と割れる窓の音で私は目を覚ました。「なんだ!?なにが起きた!?」「侵入者です。」私の側近が言う。「侵入者だと……。どうした!?」「死にました。恐らく…。」「恐らくだと?どういうことだ?」側近は窓を指差した。「落ちました。」ここは私の設計した船の上。侵入者は私の船に乗り込み、私の側まで来て…
Y.Y [373]