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スポーツに含まれる記事が746件見つかりました。

 
  • ベースボール・ラプソディ No.66

     哲哉の問いに、綾乃は何も答えなかった。 彼女の心情を推し量る術などない哲哉であったが、それでも一つだけは明確に理解していた。 綾乃には、誰よりも八雲のそばにいる資格があるのだと。「なあ藤咲、迷惑じゃなければ、俺に八雲との仲を修復させてくれないか?」「……気持ちは嬉しいけど、もう無理だよ」「どうしてさ、さっきの様子なら八雲だってまだ藤咲に好意をもってるはずさ」 励ますように力説する哲哉をよそに、悲
    水無月密 [849]
  • ベースボール・ラプソディ No.65

     不意に背後から言葉をぶつけられ、驚いて振り返る綾乃。 そこには音もなく近づいていた、哲哉の姿があった。「結城君……」「前に振った男が急に注目されだして、今になって惜しくなったのか?」 そう思われても仕方ないと考える綾乃には、哲哉の辛辣な言葉を受け入れるしかなかった。 だが、反論しない綾乃の姿勢が、かえって哲哉を苛立たせることになる。「八雲が必要とした時には冷たくあしらっておいて、今になって言い寄
    水無月密 [816]
  • ベースボール・ラプソディ No.64

    「ごめんなさい、私……」 必至に言葉を探しながら切り出した綾乃だったが、上手く言葉を綴れずにいた。 その綾乃に、八雲が無邪気に微笑みかける。「オレは藤咲に感謝してるぜ」「……えっ?」 思いがけない言葉に、綾乃はその意味がわからず聞き返した。「あの時藤咲が突き放してくれなかったら、俺は今でも野球から逃げたままだったかもしれないからな。 だから、藤咲にはすごく感謝しているんだよ」 あの時の想いはつたわ
    水無月密 [807]
  • ベースボール・ラプソディ No.63

     どれくらいの時間をふさぎこんでいたのか、何時しか雪はやみ、気づくと哲哉が傍らに立っていた。「ようやく雪が降り止んんだな」 綾乃が立ち去った方向に視線を向ける哲哉が、世間話でもするように話しかけてきた。「……お前も、俺に野球をやれって言いにきたのか?」 虚ろな眼の八雲に、哲哉は小さくかぶりをふった。「俺はただ、小次郎の言葉を伝えにきただけだ」 顔を上げた八雲に、哲哉は静かに言葉をつづけた。「全国優
    水無月密 [849]
  • ベースボール・ラプソディ No.62

     綾乃が初めて八雲と出会ったのは、小学校に入学する少し前の頃だった。 その頃の綾乃は親の転勤でこの地を離れる事が決まっていて、大好きな町並みを記憶にとどめておくため、近所を歩き回る事が日課になっていた。 そして通りすがったこの公園で、彼女は野球に興じる兄弟に出会った。 楽しげに遊ぶ兄弟の姿に心ひかれた綾乃は、残され時間をこの公園の片隅ですごした。 月日が流れ、この地に戻ってきた綾乃は、記憶の中で色
    水無月密 [683]
  • ベースボール・ラプソディ No.61

     綾乃自身、自分が笑わなくなった事への自覚があった。 そして、その原因が目の前にいる八雲である事も。「……私と違って、真壁君はよく笑うようになったね」 静かに微笑む綾乃。 八雲は右手に視線をおとし、そして自嘲した。「結局この手は、ボールを握らずにはいられなかったみたいだ。 ……その事に気づいた時には、随分と多くの物を失ってたけどな」 多くのという言葉に、綾乃は妙な違和感を感じていた。 おそらくは、
    水無月密 [912]
  • ベースボール・ラプソディ No.60

     その少女は強い陽射し避けるように、木陰の中にそっと身を寄せていた。 時折吹く南風が少女の白い衣服を揺らし、木漏れ日を反射してその存在を風景の中で特別なものにしていた。 少女がもつ独特な雰囲気に、橘華ナインのほとんどが夢の中に迷い込んだような、幻想的な錯覚をうけていた。「あれっ、藤咲じゃねぇか、久しぶりだなぁ」 その存在に気づいた八雲が声をかけると、少女はそれを待っていたかのように微笑んだ。 仲間
    水無月密 [806]
  • ベースボール・ラプソディ No.59

     総合力では聖覧に遠く及ばないが、守備力だけを比べれば引けは取らないと、哲哉はこの試合で自信を得ていた。 その根拠は、外野の両翼を守る高野と後藤の守備の変化からきていた。 もともと守備の悪くない両名ではあったが、外野手の後逸が失点をまねくと知る彼らは、堅実な守備を心掛ける余り動きに果断さを欠いていた。 本来ならば内野陣と大差ない実力があるだけに、哲哉にはそれが残念でならなかった。 更にいえば、高校
    水無月密 [877]
  • ベースボール・ラプソディ No.58

     八雲達が参戦する地区予選のメイン球場は、四半世紀ほど前に建設された、こぢんまりとした球場である。 球場自体には然ほど特徴はなく、年に一度プロ野球の試合が行われる程度の、何処にでもある地方球場であった。 だが、その遊歩道の桜並木には人の心を引き付ける美しさがあり、無機質な建造物に彩りと安らぎを与えていた。 薄紅色の花が咲き誇る季節には見る者を魅了し、桜の名所として人々に愛されていた。 日差しの強く
    水無月密 [885]
  • 騎手・那口小夜の夢と現実と日常

    えー。こんにちは。遊佐競馬組合広報の真中裕子です。今日は、タイトル通り、那口騎手に色々と質問してみたいと思います。以下、インタビューを一部加筆したものです。☆が那口騎手、▽が私からの質問です。では。▽だいたいでいいので、身体のサイズを教えて下さい。☆はぁ?お年頃の女の子にフツーそんな事聞くの?…まぁ、身長は145cm位。体重は40キロ位じゃない?基本ジュニアサイズの21歳です( ̄o ̄)▽小夜さんの
    亜紀 [808]
 
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