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Lovers Sweet ?

[361]  和華  2006-12-08投稿
…──それは身分違いの恋。今でこそ倒産に追い込まれてはいるが、一流企業の社長令嬢の飛希と、貧乏のどん底にいるという彼…。
そんな彼と付き合うことを、父が許してくれる筈はない。だから飛希はいつも内緒で彼に会いに行っていた。
外に出る口実を作っては彼のところに行き、その度に彼は飛希を笑って迎え、楽しい時間を与えてくれた。飛希が帰る時には、優しく腕の中に抱き寄せ、「愛してる」と囁いてキスをしてくれた…。

…もしも、あの電話が本当だったときは、飛希はその男がどんな人物でも、婚約するつもりだった。しかしそうすれば、飛希が彼と会うことは、もう二度と叶わなくなる。

だから飛希はそうなる前に、彼に会おうと思った。そして2日後の夕方、少し早めに家を出て、飛希は彼の家に向かった。(会社が倒産しそうな今、新堂家には父と飛希しか残っておらず、当然運転手もいないので、バスと電車を乗り継いで行った。)

幸い、彼とのデートで一般の交通機関の使い方を教えてもらっていたため、車なしでも彼の家まで辿り着くことが出来たのだった。

そして飛希は、溢れそうになる涙を堪えながら、彼の家のドアの前に立ち、ドアをノックした。(チャイムはあるが、壊れていた。)
いわゆる集合住宅なので、あまり大声は出せない。飛希は「冬夜!」と彼の名前を小さく叫びながら何度かドアをノックしたが、ついに返事が返ってくることはなかった。

すると斜め後ろの部屋のドアが開き、中からのっぺりした感じの男が出てきた。男は飛希に目を向けると、単調な声のトーンで、「あんた、そこの部屋のヒトの知り合い?そのヒトなら3日くらい前に出ていったよ。家賃払えなくなって追い出されたんじゃない?」とだけ言い、踵を返すとさっさと共同トイレに行った。

飛希はそれを聞いて呆然と立ち尽くし、「嘘…。」と呟くと、フラフラとした足取りでその場を後にした。

会えるのはこれで最後になるかもしれないのに…一体彼はどこに行ったの…?なぜ私に黙って行ったの…?
そういう想いが頭を去来して、歩きながら彼を探してはみた。しかし結局見付かることはなかった。

そして、いつの間にか日がとっぷりと暮れ、飛希が歩くのを止めると、そこはホテル・ラグーンの前だった。

飛希は「結局は身分違いの恋なんだから…。」と自分に言い聞かせ、ホテル・ラグーンの入り口へと足を向けたのだった…。

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