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航宙機動部隊29

[504]  まっかつ  2006-12-09投稿
星間軌道公社《URPC》…航宙大植民時代のロングレンジ=ハイウェイたるスターレイルと、その出入口となるエントレンスの全てを管理・運営し、銀河中の大国が束になっても敵わない、莫大な経済力と軍事力と人材群を擁する、人類宇宙・最高の名門会社だった。
そう、エタンは正しく、ユニバーサル=エリートとして、順風満帆の人生を、歩もうとしていたのだ。 王侯貴族も羨む様な高給と福利厚生が、無条件で保証され、星邦を顎で指図し、宇宙艦隊を駒の様に動かし、億単位の人・物・富・情報の流れを統轄する程の、破格の権限や待遇を与えられる上に、大過なく勤め上げれば、この時代の定年、八0才になる頃には、無人星系の一つや二つは直ちに買える程、法外な退職金が、電子マネーと公社債の二本立てで、用意されている。 さしてパッとしないクラスでこれなのだ。 増してやこの青年の優秀さなら、役員以上の椅子を狙う事すら、決して夢ではなかった。 スコットが退出した後、エタンは社長ならぬ一国の王者の椅子に、深く身を沈めて思い出す。 そう、あの時、公社所有の研修船がスパイラルスペースの時空保持膜《グリーンチューブ》の亀裂に突っ込んでしまい、この宙域に放り出されさえしていなかったら、新米の幹部候補生として、その中に自分が居さえしなかっなかたなら、そして…航宙図にも入力されていない、未知の辺境で迷走中の研修船を、鹵獲と身代金目的で、当地の宙賊兼軍閥が付け狙ったりしなければ…自分は今、銀河最外縁全域に君臨する、軍事政権の主になど、なってはいなかっただろう。 ジャンク品の寄せ集めみたいなデザインの航宙艇群が、無数の雲霞となって襲いかかり、その背後から、艦列の統制も見事な機動集団が、突如出現して、羊を追う猟犬と化して、文字通り蹴散らしてしまった。 この一帯で、これ程強力な武装勢力が、ただ一つを除いて他には存在しない事をしらない愚鈍な人間では、エタンはない。 そう、エタン達は、宙賊に襲われた所を、統合宇宙軍に救われたのだ。 しかしそれは、目前の嵐の消滅は意味していても、より巨大な雷雲の到来を予感させずには、いられなかった。

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