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暗闇の女?

[596]  あぶら翔  2006-12-14投稿
階段の一番上まで来ると部屋は二つしかない、この家は母の親…つまり僕の おじいちゃんとおばちゃんの家だったんだ。おばあちゃんは僕が生まれる前にもう既に亡くなっていて、アパートを出た後、僕達親子は このおじいちゃんの家に三人で今まで住んでいた。おじいちゃんも二年前に病気で他界したけど、母と僕は この家が大好きだったし壊す気にもなれなかったから古くてもずっとずっと二人で守っていこうと思っていたのに…。 「あの右側の部屋が僕の部屋です『あの女』は あそこにいるんですね?」 「そうだと思うわ、でもいやに静かね」 「ええ、でも気を付けて下さい、あいては狂っているし、いつ襲いかかって来るか分かりませんから…」 緊張の中で僕は静かに小さい声で彼女に告げた。 「少し暑いわね…」 「そうですね、僕もさっきから喉がカラカラです…」ゴクン!―――――僕は一回だけ生唾を飲んだ。 僕の部屋までの距離が長く長く感じた。家が古いせいもあって一歩進む度にキシッキシッっと音が鳴った。 「ほんと、暑くて嫌な夜ですね」僕は吹き出る汗を拭くと もう一度唾を飲んだ。 (ここです…)僕は首を振って彼女に部屋を指した。 「どうするの?」彼女が小さい声で訪ねてきた。 「うん、このまま一気に入って行こうと思う…僕に何かあったら、やっぱりあなたが警察に連絡をして下さい。僕はあなたを置いては行けないよ、母のカタキだけは絶対取りたいし…」 「ありがとう…分かったわ 」 「あと、これ…何かあったら使って下さい。」僕はアイスピックを渡した。 「ええ…あ…ありがとう。でもこれっていつ…?」 「さっき階段に落ちてました。それって うちのやつなんですよ、母さんお酒好きだったから…でも、あの女一体どれだけの刃物持ち出したんだろう?ほんと異常だよ」 「黒木って決まった訳じゃないわ…気を付けて」 「ええ、じゃあ開けますよ…」 僕は最後に もう一度だけ唾を飲んだ。

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