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漂流教室 〜7月 短夜〜

[411]  タク  2006-12-16投稿
漂流教室 4月からありますのでそちらからご覧下さい。

お前は最後、俺たちになんて言った?

それだけどうしても思い出せない。

それが最後のことばになるなんて知らなかったんだ。


漂流教室 〜7月 短夜〜


あれから俺たちは何事もなかったかのように接している。

話を聞いて初めて気付く。
沢口が一歩ひいて田村に接していることを。

「まだ少し…怖いんかな」

情けないな。と言って目の前の彼女が笑った。
あのあと沢口からも同じ話を聞いたのだ。

田村と同じようなことを言っていた。もう決して傷つけたくないと。

「ええんちゃう?しゃあないよ。まだ1年もたってやんのやろ。」

「うん…。」

2人の空気が重くなる。
そこへ田村が入ってきた。

「遅れて悪い。もう始めとった?」
「遅い!お前時間通り来たことないやろ!」
「今日暇なんよな。遊ばん?」
「話を聞け!」

俺と田村の会話を聞いて沢口が笑い出す。

「2人漫才みたいやな。『タクちゃんたむちゃん』!?」
「変な名前つけんな!」

声をそろえてつっこむ。
最近は3人揃えばこんな調子だ。


「タクがいるからやよ。
最近田村といても全然苦しくならんの。」

ありがとうと沢口は言った。

俺がいることで2人が苦しくなくなるならどんな馬鹿なことでも出来ると思った。


「暇なんやったら今日夜海行って花火しよ!おばあちゃんがたくさん送ってきたん。線香花火」
「どんなばあちゃんよ。」
「ホントの線香なんちゃうん。」
「ちゃうもん!もう いい!1人でやるから!」

沢口が膨れる。
こういうとこもかわいいなと思ってしまう。

「嘘、嘘。いいよ。行こや。」
「1人でひたすら線香花火とかお前マジ怖い女やな。」
「うっさい!田村嫌い!」

…まあ蟠りがなくなるのはいいことなんだろう。
2人の仲は明るい方向に向かっていると思えた。

「まあ線香花火だけはないな。派手なのも買いに行こ。」
「じゃ今日の練習は6時までな。」

その後練習は順調に進み俺たちは海へと向かった。

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