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彼の恋人

[414]  高橋晶子  2006-12-17投稿
夏休みが明け、青海市に制服姿の少年少女が戻ってきた。桜庭学園の生徒達は、夏休みに何をやったか口々に報告し合う。と言っても、選抜クラスの生徒にとっては勉強漬けで遊ぶ所ではなかった。結局、恋愛禁止の青春は夏休みも変わらなかったのだ。
修学館と青海の友達と一緒に勉強した事をみくが話すと、同級生が「信じられなぁーい!」と返してくる。泉に至っては、「友達として紹介して!!」と言われる始末。
とにかく桜庭学園は閉鎖的な世界なのだ。大半の生徒は公立コンプレックスの反動で他校生との交流を避け、やる気を無くすか、ストイックに受験勉強にいそしむためだ。そういう事情では、先生や同級生や先輩後輩と妥協の末に結婚するのは仕方ない。両親がそうだったように、私も学校の身近な存在の中から生涯のパートナーを適当に選ぶのだろうか……みくは不安に駆られる。
先生の挨拶はそこそこに、2時限目から通常授業だ。就職クラスだろうが、進学クラスだろうが、選抜クラスだろうが関係ない。この日は6時限目まで授業があった。学内清掃を挟んで、生徒は部活に課外授業にとそれぞれ打ち込む。後は直帰するのが彼等の正しい在り方なのだ。
その頃、修学館の“夜の顔”にも活気が戻ってきた。定時制の生徒は、夏休みの宿題の多さに面食らったようで、全て終わった者はクラスの半数に満たなかった。そういう人は大学の推薦入試を狙うのだ。
出来ちゃった結婚で高校を一度辞めた女性が、こんな事を言い出した。
「ねぇ、知ってる? 机の落書きから生まれる恋の伝説。全日制の子と定時制の子が一つの机に落書きし合って、お互い恋に芽生えて最後は結ばれるの。ロマンチックじゃん!?」
嬉々として同級生に語る女性を前に、佳純の表情は暗い。自分の本当の姿を恋する人に知られたら……。
授業の合間に給食を食べ、終われば部活に打ち込む。定時制の下校時間は夜10時半。その前後には、学校は静まり返っている。
夜が明け、朝7時を廻ると、博文達の時間が始まるのだ。

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