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消えない過去5

[603]  ニャオ  2006-12-19投稿
一緒に住むと、お互い普段見ることのできない部分が見えてくる。
その一つに、美紀はアンパン・・いわゆるシンナー遊びをやっていたのだ。
仕事が休みの日はいつもやっていたらしい。
俺の田舎ではシンナー遊びなんて無かった。
だから、俺にそんな経験は一度もない。
美紀に何度か勧められて、怖かったものの好奇心も有り、恐る恐るやってみた。
最初は喉が痛く、鼻に刺激を感じ、むせて咳きこんでしまう。
初めてタバコを吸うようなものだ。
慣れてくるとそれは、一種の快感に変わっていった。
幻聴や幻覚が見えてきて、今まで味わったことのない感覚で・・・何故だか無性に楽しい。
トルエン・・通称、純トロは歌舞伎町や新宿西口で、金さえ払えばいくらでも好きなだけ買えた。
見るからにやくざらしき人物が地下に降りる階段の上やコインロッカーの周りで普通に売っている。
駅のいたる所でビニール袋を口に当ててシンナーを吸っている若者がいる。
目はうつろで、どこを見ているのかもわからない。
膝の下には、唾液と吸殻が溜まっている。
空き缶を咥えたままで、ボーっとしている奴もいる。
交番のすぐ近くなのに、よく警察に捕まらないものだ。
取り締まるには、あまりにも数が多すぎるのかもしれない。
美紀との同棲生活も三ヶ月が過ぎた頃、俺達二人は、仕事の休みの日以外にもシンナーを吸うようになっていた。
吸った次の日は頭が痛くて二日酔いのひどいような感じだ。
頭痛がひどくて、吐き気がして、このまま死んでしまうのだろうかと思う日もあった。

そしてついに仕事も行かなくなり俺は喫茶店を辞めてしまった。
ひどい生活に落ちていった。
一日中セックスもするが、多くシンナーを吸っている時、彼女は俺を受け付けなかった。

受け付けないというか、何故か濡れないのだ。
濡れないからやっていても摩擦が強く、二人とも痛くて続けられない。
幻聴、幻覚が吸っていなくても来る様な気がする。
このままでは二人ともダメになる。
・・・と思いながらも、どうしてもアンパンを止めることができない。
アンパンをやっていると食事をしなくなる。
そのせいか、2人とも頬がこけ、どんどん痩せていった。
いつかどちらかが幻覚を見て窓から飛び降りてしまうのではないかと不安が湧き上がる。

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