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彼の恋人

[526]  高橋晶子  2006-12-23投稿
弁当の餃子をご飯ごと大口に押し込む様に、暁の苛立ちが見え隠れする。一緒に弁当を食べている惇は言葉に詰まってしまった。
暁の苛立ちの原因は、桜庭学園秋の恒例行事にある。この高校では、運動会と文化祭を1年おきに催す。みくの学年は1年生と3年生の時に運動会を、2年生の時に文化祭を催す事になっている。だが、その文化祭は単なる部活発表会でしかなく、訪れる人の殆どは親族や卒業生ばかり……。
「科学部、美術部、家庭部、吹奏楽部、合唱部、放送部、新聞部で本当に人が集まると思うか?」
「いや、生徒会と同窓会がやけに盛り上がって浮いてるだけよ!」
みくに話を割り込まれた惇は、振り向きざまにビクリとする。暁は冷静にみくに問いかける。
「なぁ、真瀬。ウチの文化祭はそんなにつまらないのか?」
「そーよぉ。一昨年の文化祭は他所の学校とかぶっちゃって、結果は散々だったのよ!」
「泉ちゃん!」
泉に話を割り込まれたみくは、堪らず泉を制止する。
「文化祭に限って卒業生が大きい顔をするんだもの。2年に一度の大イベントだから余計に張り切るのよ」
生徒は最早諦めている状態なのだ。修学館と青海はクラス参加が可能なので部活発表を抜きにしても充分楽しめるが、桜庭学園にはそれが出来ない。他校生との貴重な出会いは期待出来ず、親族や卒業生ばかり訪れる訳だ。
たった1日のためだけに、夏休み明けから1ヶ月以上かけて準備してきた。日程は他所とかぶらない。体育系部員と選抜クラスの生徒はサポーターに徹して「部活発表会」を盛り上げる。
しかし、蓋を開けてみればほぼ内輪だけのイベントだった。訪れる人は生徒の家族や親族、卒業生がチラホラ。他校の生徒が来ている気配はない。
実は、修学館と青海は模試とかぶらないように日程を組んでいて、この日は1・2年生は予備校の模試を受けていたのだ。博文達は模試を受けた後、ファミレスで佳純を巻き込んでの反省会。桜庭学園の文化祭の事は彼等の耳に入っていなかったのである。
1週間後は修学館の文化祭。青海の生徒も楽しみにしている、秋のイベントとは如何なるものか……?

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