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異界の住人?

[685]  朝倉令  2007-02-24投稿


「あー…、良く寝た。
cカツプ…じゃないや、愛ちゃん奇遇だね?」


「ちょっとお!
…やめてよも〜っ」


「うへぇ…、マジだったんかよ」


「本当にすけべーな顔してますね、このヒト」


「眼鏡のお嬢さん、…初対面からキツイなあ、全く」



どうやらお昼寝は、白虎にとって日課みたいだ。


…運命の出会いじゃなくてホッとした。



「あのさ、白虎さん」

「ん?何かな」


「俺も一度でいいから異次元の世界に連れてってくんない?」


「構わないけど…。
腰抜かされると厄介でね」


「俺はそんなヘタレじゃねーから!」


「悪かったわねーっ。
どうせあたしは……」


「いや、涙目でいわれるとリアクションに困るじゃん…」


「うーん、どぉしよっかなぁ…、私も行ってみたいんですよね」


「じゃあ、三人お揃いでどう? 百人くらいまでなら運べるよ」


「へっ?百人???」



再びハモる私達。




「それじゃあ、ここから黄昏の世界に移動してね」



白虎が指先で切り裂いた時空の裂け目から、我々はトワイライトゾーンに足を踏み込んでいった。




「どうやって俺達を運ぶんだ?白虎さん」


「ん?こうやってさ」



瞬時に白虎の体が“ギュン!”と反転すると、またたく間に白い塊が膨れあがり、一戸建住宅なみの巨体が全貌をあらわした。



「うわ、スッゲー…ッ。
マジ神様だったんかよ、信じられねー……」


「あ〜あ、変身の瞬間撮りたかったですぅ…。スクープとして高く売れたのにぃ」

「…由紀恵って大物?」



“グルルル……グオッ”



地鳴りのようなド迫力の重低音で促され、私達は焦りながら白虎の前脚から背中に這い登った。



(じゃあ、出発だね!)



全く緊張感のない声が脳裏に響くと同時に、猛烈な勢いで疾走が始まる。



「うひゃああっ!!」



私、島崎愛の絶叫を後に残しながら、白虎の巨体は立ち塞がるもの全てを豪快に打ち砕いてつき進む。





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