携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> ホラー >> MURASAME

MURASAME

[672]  あいじ  2007-03-07投稿
七人ミサキ?
幸司と天馬は来た道を引き返し、森を疾走した。天馬の背には由香利がおぶさっている。後ろからはもはや僧侶という姿すら保てなくなった異形達が追いかけてきていた。
「天馬!あいつら、何者だ?」
「わからん!データベースに載ってない!」
異形達は数を増して三人に迫る。幸司達も速度を上げるがさすがに疲労の色が見えた。その時だった。幸司と天馬には聞こえなかったがその声は由香利には届いた。
「お父さん…呼んでる…」
由香利は突然天馬の背中を突き飛ばし、背中から転がり落ちた。その衝撃で天馬は勢いよく倒れた。「由香利さん…!なにを…」
「お父さんが…」
由香利は譫言のように呟くと、異形達のもとへ歩いた。異形達は一斉に由香利に群がり、服を破り、由香利の肌、下腹部にかけてを切り裂いた。異形達は彼女の切り裂かれた腹を代わる代わるして貪った。彼女はただ淡々と自分が喰われる様を見つめていた。
「おい…幸司…どうにか…」
「どうにかって…体が…動かねえ…!」彼らはまるで金縛りにあったようにその場に固まった。彼らには由香利が喰われる様をじっと見ているしかなかった。
あらかた喰い終わった頃だろうか、異形達は空を見上げ鳴いた。それは歓喜に満ちた喜びの鳴き声だった。
「七人…揃った…帰れる…」
その言葉共に周囲が光に照らされ、幸司と天馬は思わず目を閉じた。

気が付くと二人は森の外へ放り出されていた。
「おい…天馬…生きてるか…?」
「ギリギリ…かな。」
「あれ…なんだったんだ?」
「さあな…」
二人が森の方を見ると森から一筋の光が伸び、天へ続いていた。光の中にあの異形達が照らされ天へ登っていく姿が見えた。
七人ミサキ 終

感想

感想はありません。

「 あいじ 」の携帯小説

ホラーの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス