携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> 管理人用 >> 弟の手紙 ?

弟の手紙 ?

[18306]  管理人  2006-01-25投稿
俺は何でもしてやるつもりだった。
中学に入って生意気になってきたらエロ本をくれてやるつもりだった。
学校でいじめられたら、仲間連れてお礼参りしてやるつもりだった。
タバコをおぼえ始めたらぶん殴って兄貴風吹かして叱り付けるつもりだった。
単車だって、俺のお古をくれてやって兄弟で走りに行くつもりだった。
「おにいちゃん」から「兄貴」に変わる年頃になったら、
そして彼女ができたら、からかってやるつもりだった。
弟の部屋にのこのこ現れて、バカやって二人の邪魔をする。
「ふざけんなよ兄貴ぃ!」なんて言われたらとっくみ合いの喧嘩をして、
おふくろが止めに入って、二人してどやされる、そんな光景を夢に見てた。

葬式では、おふくろよりも俺の方が激しく泣いた。
友達が心配するくらいに狼狽して、一人で立っていられないくらいに。
タイムマシンがあったら、ほんの一週間前の自分に会って
胸ぐら掴んでやりたいくらいに後悔した。
もっと優しくしてやればよかった。どんな想いで手紙を書いて、
どんなに緊張して俺に手紙を渡したんだろうに。

俺は弟の代わりにおふくろを大事にしている。
この人こそが俺のおふくろだと思ってる。

『俺のおふくろを粗末にすんじゃねえぞ兄貴』
「わかってらぁ!るっせえよヴォケ!!」

弟とのそんなやりとりを、今でも空想しながらおふくろに接してる。
生きていたら、俺の弟は今年の春、大学に入学していたはずだ。
たった一回しか会わなかったが俺には、弟がいた。

※2ちゃんねるより

感想

感想はありません。

「 管理人 」の携帯小説

管理人用の新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス