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航宙機動部隊47

[628]  まっかつ  2007-04-10投稿
三人が座るテーブルには入れ替わり立ち代わり給仕がやって来て、手盆やステンレス製のカーゴから麺型パスタをメインとした料理を並べて行った。
『ワインは如何ですかな?ああ、監察官殿は未成年でしたな』
置かれたボトル達から星邦議長の指図を受けて、給仕は手際良く年長者二人のグラスに年代物らしき赤葡萄酒を、少女のにはフレーバードソーダを注いだ。
『当星民の反発は理解出来る。しかし、大業を前に小事にこだわるな、と言う主張も確かに有りましてな』
続いて中央に置かれた大皿に山盛りとなった海鮮パスタのクリームソース和えが三人の小皿に盛り付けられて、パンが添えられるのを前景に、議長は話を進めた。
『観戦武官首席殿にお聞きしたいのですが…共和国宙邦ならばこの事態、どう対処なされますかな』
右手にフォークを握ったまま、リクは用心して
『この宙域から三万光年離れた僻遠の国の振る舞いですよ。参考になりませんよ』
取り敢えずかわした。
そして本当に腹が減っていたので、さっさとパスタを頬張り始めた。
『いや、これは確かに、一本取られましたな』
グィツチャルディーニ氏はややオーバーに片手を額に当て、天井を仰いで見せた。
しかし、すぐに
『では、御自身としては、どうお考えです?』
両手をテーブルに載せてリクに笑顔を寄せて来た。
『あくまで私人としてですが…やはり赦せる事ではありません』
少年も良く粘るのだが、やはり議長の方が何枚も上手だった。
『公人としては如何ですかな?いや、差し支えない程度で結構ですが』
実に巧みに観戦武官を自派に引き込むべく誘導を仕掛けてくるのだ。
これでは料理を味わう所ではない。
『この件なり何か要請があれば、本国には伝えて置きますが、これ以上はどうにも約束は出来ません』
『いやいや、それで充分!固苦しい話はここまで、さあ、パスタが冷めてしまいますぞ』
存外あっさり切り上げたグィツチャルディーニ氏だったが、ここからが政治家としての本領発揮だったのだ!
『所で監察官殿はタレント志望だとか…我が星のネット番組に出てみるおつもりは有りませんか?』
三人がようやく食事に取り掛かってから五分程して、いきなりこんな申し出をして来たのだ。
(しまった…)
リクは敗北を覚悟した。
テンペの方が組みし易いと言う議長の計算は確かに正しいのだ。

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