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航宙機動部隊50

[682]  まっかつ  2007-04-13投稿
統合宇宙軍総旗艦《スタニドルフ》―\r
新年の祝賀会の合間をとって私室へ休息に戻った皇帝エタンは、照明を落とし、多機能壁面の一つを外部映像で一杯にして、その前に立った。
元々はれっきとした民間人としてこの最外縁にやってきた彼も、何時しか純白に金の縁取りの第一種軍装に身を固めたその姿を見ると、少なく共見た目は将帥らしい趣を漂わせていた。
目の前には投影された《占領地》惑星A=10がエメラルド色の輝きを燦然と放ちながら中央を圧し、その左右には自軍の艦列が散りばめられた銀紛と化して、漆黒の空間を飾っている。
自然と人工との意図せぬ合作は、しかし、芸術にも造詣有る皇帝の琴線に少なからず訴える物があった。
間もなく戦いが始まり、ここに居並ぶ麾下達の内、有るものは二度と帰って来れないだろう。
貧困と欠乏にあえぐ五0億人を救う事が出来るかも知れない―自分の知識と技術があれば―\r
だからエタンは皇帝になった。
その重要な局面が、パレオス―エントレンス175までを制する、最外縁統一の完了だったのだ。
(ここで負ける訳には行かない…負けたら再びここは無法地帯へ逆戻りしてしまう…)
生死を共にすべき彼等を眺めやりながら、エタンはそう決意を新たにするのだった。


《航宙機動部隊・第一章》END

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