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航宙機動部隊12

[621]  まっかつ  2007-04-27投稿
『くそう、まだ居やがるのか』
状況を罵りながらも再びその場に這いつくばり、リクはハンドレイを持ち直した。
しかし、第二射の気配は感じられなかった。
そこで恐る恐る起き上がりながら、撃たれた男の背中から真っ直ぐ向こうの木立を見ると、その蔭の間に逃れ去ろうとする後姿がうごめいていた。
恐らくは口封じの為に射殺したのであろう。
暗殺・テロでは割と使われる手口だ。
人々がパニックし、嘆き悲しむ声が次第に密度を増す噴水の一帯は阿鼻叫喚の修羅場と化していたが、そこに他の誰かが要請したのか、レスキューと医療隊の大群がサイレンと赤ランプの点滅を先触れに、到着した。
リクはこの場は彼等に任せ、逃亡者の追跡を決心した。

走り混んでその男がいた木々を抜けると、すぐ露天駐車場になっていて、何台もの水素四輪車が停まっていた。
その内、手前から五台めの黒塗りのブランドカーの運転席に口封じ役のあの男が乗り込もうとしていた!
『動くな!』
その後側から回り込み、息を切らしながら観戦武官は間一髪でドアを閉めようとする男のこめかみにハンドレイを当てた。
すると男は意外にもあっさりと両手を上げた。
そして、リクの顔を余裕に満ちた笑顔で覗き上げたのだ。
『車から出てアスファルトに寝そべれ。貴様を官憲に差し出す』
銃を押し付けながら少年が命じると、相手は億劫そうに、しかし抵抗するでもなく両手をうなじに回し、運転席から出てきた。
そこへ、同じ黒だがやや違うデザインの高級車が二台猛スピードで駐車場に乗り込んで来て、リク達とは反対側で乱暴な急ブレーキ音とこすれたタイヤの火花をまき散らしながら、ストップした。
程なく全てのドアが一斉に開けられ、併せて十人近い男達がアスファルトへと脚を伸ばした。
『困りますな。彼は私の忠実な下僕なのですが』
先頭に止まった車の助手席から出てきた連中のリーダー格らしき男が、こちらに声をかけてきた。
(…フーバー=エンジェルミ!)
それは不幸な再会だった。
リクは体中冷汗を浮かべながらも、手元の男をボンネット側へと突き飛ばし、声の主にハンドレイの照準を合わせた。
『このテロ行為を命じたのはお前か?お前も官憲に通報する』
左手にパネルカードを持ち素早く緊急回線を開くリクに、しかし
『くっはっは…お前馬鹿だろ!?』
相手は嘲笑で応じた。

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