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航宙機動部隊第二章・21

[530]  まっかつ  2007-05-05投稿
『…但し、太子党を巨悪と成すか、やはり我々帝国を魔物とするかで、大分変わります。今の所、少なくとも私からしたら、どちらも等しく魅力ある素材ですからね。ですが対象は必ず一つには絞るでしょう。そしてどちらに転んでも、結果はやはり同じ位極端な物となります』
『彼等が粉砕されるか、我等が絞殺されるか、二つに一つ、ですか…』
クレオンは慨嘆するしかなかった。
『ネット集合体は以上言った様に恐ろしくトリッキーな動きをします。ですから、彼等が何を考え、どう欲するかについては、特に耳目を光らせ、資源も人員も優先的に配備して置いて下さい』
エタンは命令を下した。
丁寧な台詞には、しかし妥協を赦さない位の厳格な眼光と真摯さが込められていた。
彼の臣下はすぐに頷いた。
そして
『失礼ながら、今程陛下が我々の主君でいらっしゃって、本当に良かったと感じた事は有りません。さもなくば、今度の戦役、真の強敵を知る事なくただ勇を振るい兵刄に頼り、必ずや悲惨な敗北を喫していたでありましょう。ではこれから、陛下の教えに従い、作戦大綱の完成を急がして頂きます』
左総長はそう謝辞を述べ、敬礼して退出して行った。
自他共に任ずる最外縁随一の戦略家が若き皇帝に与えた、これは最高の称賛であった。

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