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?崖淵斜陽館(?)

[430]  亜樹  2007-05-26投稿
ここは崖淵斜陽館、主人は、寝室を兼ねた二階の窓から、ビロードの闇をじっと見つめていた。


風の強い晩だった。
目が慣れてくると、狂った様に揺れている、庭の樹木が、見えて来た。

暫くすると…
車のライトが、遠くから近づいて来た。

「この舘に、訪ねて来るなんて久しぶりだな」

崖淵に大きく右に左にライトは揺れて、近づいて来た。

1台の、真っ黒な上海バスが到着。

降りて来たのは…


「懐かしい昔の同級生達じゃないか」と不思議な光景を舘から見ていた主人は、窓から離れて、一階の玄関へと向かったのだった。

何故か、玄関を開けて外のバスを見ると、懐かしい昔の同級生達が薄れて行くではないか。

「おい、待ってくれよ」

悲しい叫びとは裏腹に、バスと同級生達は消えてしまった。

幻影か…

舘の主人は、考えた。
「そうか、この舘自体が幻だったな」

そう言うと、舘と共に主人の姿も消えて行った。

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