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MURASAME

[605]  あいじ  2007-05-27投稿
鬼門?

「ふふ…」
冷たい嘲いとともに可王は神楽の肝を口へ運んだ。肝から流れる血を啜り、ズルズルと音をたててそれを喰らった。
可王の顔が赤黒い血で汚れ、彼は喜色の笑みを浮かべ、榊を見つめた。
「ひいぃ!」
榊は恐怖のあまりその場から逃走を図った。自分の責務すら彼女の頭から消し飛んでいただろう。
だが、彼女が前を向いた瞬間、既に可王京介は彼女の目の前で刀を構えていた。榊の悲鳴とともにその首は跳ね飛ばされ宙を舞った。
可王は再び、死体の腹部に腕を挿入すると肝をえぐった。
彼は笑みを浮かべるとその肝を喰らった。


鬼門は鬼部大社の後ろにあった。一見するとただの野山にしか見えないが、麓にまるで門のような空間があり、そこは岩戸でしっかりと封印されていた。
「これが鬼門…」
幸司が思わず呟いた。彼の腕に抱きついていた砂羽がかすかに震える。
「幸司君、君はこっちで待機だ」
蔵王丸が幸司を促し、近くの小屋に案内した。砂羽もそれに続いた。
「砂羽君もいるからね…君はここに居てくれ。いざと言う時、君は砂羽君を守りなさい」
「…なんで砂羽を?」
「勘だけどね」
蔵王丸が流すように微笑んだ。幸司には彼の真意は理解出来なかったが彼を信じることに疑いは無かった。

やがて、正式装束の幻燈斎が現れ、鬼門の前に立った。
辺りは大勢の僧兵、巫女達に囲まれ、警戒体制がとられていた。
不意に岩戸を割るように光が伸びた。幻燈斎の顔が強ばり、静かに印を組むと真言を唱え始めた。
周りの巫女達もそれに合わせて真言を唱え始める。
すると、鬼門が光の縄のようなモノに巻かれ岩戸を閉じた。これを明け方まで続けること、それが鬼門封じの儀式である。
こうして、蔵王丸、幸司の見守るなか、鬼門封じの儀式は始まった。

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