航宙機動部隊第三章・5
『そ…そんな…諦めるわけ?』
テンペ=ホイフェ=クダグニンは三、四歩足を進め、この時ようやく向けられた同胞の煮えたぎる溶鉱炉と化した目付きに直撃されて、思わず一歩だけ後ずさった。
『奇跡みたいなもんだろうが。こうして無事戻れただけでも』
短いが気まずい沈黙が二人の間に巨大で分厚い黒灰色の城壁をそびえ立たせる。
『じゃあ誰がこんな事したんだよ』
『そ…それは』
流石にテンペも俯いてしまい、何も言えなくなってしまった。
科学的検証の重要さ等、一度起きた事態に接した人間達の心理的脆弱さから見れば、何の支えにもならない事、地球時代と大して変わってはいなかったのだ。
『太子党とは決め付けたくは無いが…でもそうじゃ無いのか!?お前も気付いてるんだろ!?もう誰も守っちゃくれない、信用出来ないだろ!!』
黒々とした頭頂を相手に、リクは鬱屈した思いのたけをぶつけた。
『あいつ等は、お前の存在を知らなかったか、知ってても軽視していた!少なく共、ネットに出てあれだけの実力を出せる何て思っていなかった筈だ!だからこそテロの対象にはならなかった!そうじゃ無いのかよ!?』
言葉も顔すらも返せなくなったままの同胞の力無き様子を見て、九割以上己に向けて苛立ちの唸り声を上げながらも、少年は続けた。
『このままじゃ、俺もお前もっ…!俺は良いさ。兄姉(代り)は幾らでも居るからな。だが、お前の所は…姉貴一人だけなんだろう?こんな所で詰まらない良心とやらで、みすみす無駄死にした所で…誰も救われはしないさ!』
『そんな言い方…!』
耐え切れずにテンペは声と涙と髪を振り払ったが、
『もう、仕方が無いんだ!!』
観戦武官も堪え切れなくなって、そう絶叫した。
『俺達の力や立場じゃ、もうどうにもならないんだ!太子党共はマエリーを殺した!あいつ等は完璧に狂っているんだよ!!仲間にまで平気で手をかける様な化物相手に戦い様が無いじゃないか!!』
『それも分かるわ…で、でもこのままじゃ…拉致された子供達とか、パレオスの星民は…また奴等の犠牲になるのかも知れないのよ?』
『放っとけよ! そんなの!! 何万光年も離れて正義の味方なんて気取ったからって何の助けにもならないって、お前も…良く分かっただろう!!』
罵倒しながら少年は、激しく自身を呪った。
テンペ=ホイフェ=クダグニンは三、四歩足を進め、この時ようやく向けられた同胞の煮えたぎる溶鉱炉と化した目付きに直撃されて、思わず一歩だけ後ずさった。
『奇跡みたいなもんだろうが。こうして無事戻れただけでも』
短いが気まずい沈黙が二人の間に巨大で分厚い黒灰色の城壁をそびえ立たせる。
『じゃあ誰がこんな事したんだよ』
『そ…それは』
流石にテンペも俯いてしまい、何も言えなくなってしまった。
科学的検証の重要さ等、一度起きた事態に接した人間達の心理的脆弱さから見れば、何の支えにもならない事、地球時代と大して変わってはいなかったのだ。
『太子党とは決め付けたくは無いが…でもそうじゃ無いのか!?お前も気付いてるんだろ!?もう誰も守っちゃくれない、信用出来ないだろ!!』
黒々とした頭頂を相手に、リクは鬱屈した思いのたけをぶつけた。
『あいつ等は、お前の存在を知らなかったか、知ってても軽視していた!少なく共、ネットに出てあれだけの実力を出せる何て思っていなかった筈だ!だからこそテロの対象にはならなかった!そうじゃ無いのかよ!?』
言葉も顔すらも返せなくなったままの同胞の力無き様子を見て、九割以上己に向けて苛立ちの唸り声を上げながらも、少年は続けた。
『このままじゃ、俺もお前もっ…!俺は良いさ。兄姉(代り)は幾らでも居るからな。だが、お前の所は…姉貴一人だけなんだろう?こんな所で詰まらない良心とやらで、みすみす無駄死にした所で…誰も救われはしないさ!』
『そんな言い方…!』
耐え切れずにテンペは声と涙と髪を振り払ったが、
『もう、仕方が無いんだ!!』
観戦武官も堪え切れなくなって、そう絶叫した。
『俺達の力や立場じゃ、もうどうにもならないんだ!太子党共はマエリーを殺した!あいつ等は完璧に狂っているんだよ!!仲間にまで平気で手をかける様な化物相手に戦い様が無いじゃないか!!』
『それも分かるわ…で、でもこのままじゃ…拉致された子供達とか、パレオスの星民は…また奴等の犠牲になるのかも知れないのよ?』
『放っとけよ! そんなの!! 何万光年も離れて正義の味方なんて気取ったからって何の助けにもならないって、お前も…良く分かっただろう!!』
罵倒しながら少年は、激しく自身を呪った。
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